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48. ジュニパー編⑤ 届け物

※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。

ぺルラの部屋のドアがノックされた。


「はい」


ディアバスが出ると、寮の管理人だった。

管理人は宝石店の店主を連れてきていた。

宝石とは無縁のディアバスですら知っている、超有名高級宝石店だった。


「ベトーラ家ご令嬢ぺルラ様へ、ジュニパー・ムーンストーン王子殿下からのお届け物でございます」


店主は頭を下げた。


「お届け物?」


「昨日、当店にお越しいただき、ご注文いただきました。どうもありがとうございました」


「え? 注文?」


ディアバスの動揺を店主は察した。


「お代はすでに殿下からいただいております」


「そう、それなら良かった……って、え?」


ディアバスがぺルラに詳細を確認するより前に、店主は手伝いの者と共に大きい箱をいくつか部屋に運び込んだ。


「え? え、これ全部? 宝石?」


店主は再び頭を下げた。


「これで全てでございます。またのお越しを心よりお待ちしております」


唖然とするディアバスを置いて、店主達は寮の管理人と共に去っていった。



「ぺルラ!どういうことだ!」


ディアバスは玄関から部屋の奥に戻って、ぺルラを呼んだ。


ぺルラはバルコニーで植物に水やりをしていた。


「なあに? どうしたの?」


ディアバスは玄関に積まれた箱を指差した。


箱を開けると、中身はやはり全て宝石の装飾品であった。すごい量である。

店の商品を全て買い上げたのだろうか。


「どうしてかなぁ? 私は欲しいとか、買ってとか言ってないんだけど」


「いやいや、よーく思い出せ。何かあったはずだ」


ぺルラの兄ベルデに即報告しなければならない。


ディアバスは宝石の価値に全く詳しくなかったが、中堅貴族ベトーラ家であれば数十年かかっても買い揃えられない量だと思われた。


――第二王子というのは、そんなに自由になるお金があるものなのか。


さすが大ムーンストーン王国と言われるだけある。


ディアバスも第二王子だが、ずいぶんな違いである。


「うーん。宝石店に行って、ジュニパー様にカフスを選んでって言われて」


「うん」


「ジュニパー様にカフスを選んで差し上げて」


「うん」


「お店が飲み物とお菓子を出してくれて」


「うん、そこはいいから」


「選んだお礼に私にプレゼントしてくださるって言うから、お断りして」


「うん」


「試しにつけるだけつけてみてって言われて」


「うん」


「色々つけて、感想聞かれて」


「うん。

で、何て言ったの?」


「きれいですね、すてきですね、って」


ディアバスは頭が痛くなってきた。


「ほめたんだな? そうなんだな?」


「そう、ほめた」


「ぺルラは、数日前にも同じようなことを言ってなかったか?」


ピアノ練習開始と同じ展開である。


「あっ!そうかも……

ディア、どうしよう」


「どうしようって言われても、俺もわからん」


二人は無言で宝石の箱を見つめた。

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