40. 巡航都市プリズマ編⑥ 翌朝
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
翌朝。
朝食の席で、ローエンは上機嫌だった。
「おはよー」
ディアバスはローエンを見た。
「二日酔いじゃないのか」
「全然」
「ガレナは?」
「帰ったよ。明日仕事だからって」
「今日だろ」
「そうとも言う」
「今日しか言わない」
ローエンは朝食を取ってきて、ディアバスの向かいへ座った。
「昨日楽しかったな。ガレナいい奴だな」
「そうだな」
「最初全然喋らないからどうしようかと思ったけど、話せばちゃんと喋るじゃん」
「お前が喋りすぎなんだよ」
「そう?」
「そうだよ」
ローエンは気にせず食べ始めた。
ディアバスが言う。
「昨日、お前が飲んでる間に大変だったぞ」
「何が?」
「女子の部屋に酔っ払いが入ってきた」
ローエンの手が止まった。
「え?」
顔つきが変わる。
「アクアは? 怪我してない?」
「してない。ペルラも大丈夫。ルビーも怪我はない」
「そっか……」
ローエンはほっと息を吐いた。
「よかった」
そしてすぐ顔を上げた。
「で、なになに何? 俺にも詳しく教えてよ!」
「……なんで急に楽しそうなんだよ」
「楽しんでないって! 心配してんの! で、何人来たの?」
「三人」
「三人?! それで?!」
「ルビーが一人蹴った」
「えっ、ルビーが?! すげえ! どんな感じで?!」
「知らない。俺が来た時には終わってた」
「えー! 見てないのかよ!」
「何で残念そうなんだよ」
「残念じゃないって! 状況を把握しようとしてるんだよ!」
「もう終わった話だろ」
「それとこれとは別だろ!」
「何が別なんだよ」
「詳しく知りたいじゃん!」
「やっぱり楽しんでるだろ」
「楽しんでないって!」
その後。
シナモンが女子三人の様子を見に来た。
「大丈夫だったか?」
「はい」
アクアが答える。
「ご心配ありがとうございます」
「怪我は?」
「ありませんわ」
ペルラも頷いた。
「私も大丈夫です」
「そうか。よかった」
シナモンは今度はルビーを見た。
「ルビーも?」
「はい。大丈夫です」
「聞いたぞ」
シナモンが笑う。
「酔っ払いを蹴り飛ばしたんだって?」
「……蹴り飛ばしたというほどでは」
「いやあ、すばらしい判断だった!」
ルビーは少し照れたような、困ったような顔をした。
シナモンはそんなルビーをしばらく見ていた。
「実は前から、君の剣も上手いと思っていたんだ」
ルビーが顔を上げる。
「ルビー。君さえ良ければ、カオリン付きの近衛候補に推薦しようか?」
「……私を?」
「ああ」
ルビーはすぐには答えなかった。
王女付き近衛。
騎士家系にとっては大きな名誉だった。
「……光栄です」
アクアも目を輝かせた。
「まあ、カオリン様付きなんて……!」
「もちろん今すぐ決めなくていい。帰ってから家族とも相談するといい」
「はい」
ペルラはルビーを見た。
「すごいわね!」
「まだ候補だよ」
「でもすごいじゃない!」
「……ありがと」
ルビーは少し照れた。
シナモンたちが帰ったあと、ペルラはルビーに抱きついた。
「ちょっと、まだ何にも決まってないって!」
アクアも笑った。
「私もうれしいですわ」
「二人とも気が早い」
そう言いながら、ルビーも少し笑った。




