↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
38/81

38. 巡航都市プリズマ編④ 宿

※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。

夜。


宿へ戻ったあと、ペルラとアクアとルビーは同じ部屋へ入った。


ディアバスはアルモンドに頼んで、その隣の部屋を取っていた。


三人が部屋へ入るのを見届けて、ディアバスも自分の部屋へ戻った。ローエンと同室だ。


荷物を置いたところで、ローエンが言った。


「アーバス、飲みに行こうぜ」


「行かない」


「早いな!」


「もう夜だろ」


「だから飲みに行くんだろ」


「疲れた」


「嘘つけ。全然疲れてない顔してるぞ」


ディアバスは上着を脱いだ。


「ペルラたちもいるし」


「いるから何なんだよ」


「何かあったら困るだろ」


「何もないって」


ローエンは笑った。


「ホテルの中だぞ? しかも店はすぐ下の階。ちょっとくらいいいじゃん」


「……」


「一杯だけ! ほんとに一杯だけ!」


「お前の一杯は信用できない」


「わかった。アーバスは一杯で帰ればいいだろ。俺はもっと飲むから」


「じゃあ、そういうことで」


「よーし、決まりだ! 行こうぜ!」


店は本当にすぐ下の階にあった。


プリズマらしく、客の服装もさまざまだった。


奥では何人かが大声で笑い、別の卓では仕事帰りらしい男たちが酒を飲んでいる。


歌ったり、楽器を演奏したりしている人もいた。

時々、手拍子や拍手が起きていた。


「いいなあ、こういうの」


ローエンは上機嫌だった。


「何が?」


「旅行って感じするだろ」


「そうか?」


「するよ」


ローエンはさっそく酒を頼んだ。


「アーバスは?」


「少しだけ」


「そうこなくっちゃ」


「一杯で戻るからな」


「分かった分かった」


絶対に分かっていない。


しばらくして、ディアバスは店の入口近くを見た。


「……ガレナ?」


一人の男が振り返った。


私服だった。


だが、見間違えるはずもない。


「アーバス?」


ガレナも驚いた顔をした。


「久しぶりだな」


「ああ」


「どうしてここに?」


「今はプリズマにいる」


「王都守備隊は?」


「辞めた。今はプリズマ軍にいる」


ディアバスは少し驚いた。


「プリズマ軍に?」


ガレナはうなずいた。


「傭兵として雇われてる」


「傭兵か。いつまでいるんだ?」


「まだ決めてない」


「そうか」


ガレナはディアバスの向かいにいるローエンを見た。


「ああ、こいつはローエン。同じ学校の」


「ローエンです。よろしく!」


「ガレナだ」


「ガレナ! 飲んでる?」


「まあ……少し」


「じゃあ一緒に飲もうぜ!」


「え?」


ガレナがディアバスを見る。


ディアバスもローエンを見る。


「いきなり誘うなよ」


「いいじゃん。アーバスの知り合いなら俺の知り合いだろ」


「どういう理屈だよ」


ガレナは少し考えた。


「……まあ、一杯くらいなら」


「ほら!」


「何が、ほら、だよ」


ローエンは嬉しそうに席を詰めた。


ガレナも座る。


そこからは、ほとんどローエンが喋っていた。


学校のこと。


プリズマへ来てから見たもの。


今日食べたもの。


やがてディアバスは立ち上がった。


「俺、もう戻る」


「え? もう?」


「一杯って言っただろ」


「まだ早いって!」


「ペルラたちの近くにいないと」


「同じホテルの中じゃん」


「お前は好きなだけ飲んでろ」


「じゃあ、俺はこれからガレナと飲みまーす!」


ローエンはガレナの肩を軽く叩いた。


「なっ? 俺たちもう友達だよな?」


「あっ? え、そうだな……」


「かんぱーい!」


ガレナは流されるまま杯を持ち上げた。


ディアバスは二人を見た。


「ガレナ、無理するなよ。程々でいいからな」


「分かった」


「あと、泊まってる部屋は上の階の二〇七だ」


「……」


ディアバスは店を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。