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28. イグニス編③ ジュニパー

※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。

最近、ペルラはすてきな場所を見つけた。


学校の時計台の一番上である。


この辺りでは一番高い建物なので、遠くまでよく見える。


しかも、ほとんど人が来ない。


ゆっくりするのにもちょうどよかった。


ディアバスは最近、学校の鍛錬場を見つけて、剣の練習に行くようになった。


ペルラはその間に学校を探検し、この場所を見つけたのである。


しかし、今日は先客がいた。


「こんにちは。私もお邪魔していいですか?」


ペルラが声をかけると、大きな窓から外を眺めていた相手が振り返った。


「こんにちは。どうぞ」


男は優雅に微笑んだ。


風に長い髪が揺れていた。


そのとき、別の男の野太い声がした。


「すみません、お名前を」


見ると、部屋の隅に近衛が一人立っていた。


まさか、王族だったとは。


ペルラは自分にがっかりした。


王族の顔が分からなかったなんて、貴族失格である。


「名乗らず申し訳ございません。ペルラ・ベトーラと申します」


「ああ、ごめんね。僕はジュニパー・ムーンストーンです」


男は穏やかに言った。


「僕を知らなかったんでしょう? あまり外に出ていないから」


「いえ……」


ジュニパー王子といえば、このムーンストーン王国の第二王子である。


ペルラも名前だけは知っていた。


病弱で王宮で静養していることが多く、滅多に人前に姿を見せないと聞いたことがある。


しかし、目の前の王子はほっそりとはしているものの、やつれた感じではない。


普通に健康そうである。


成長するにつれて、体が強くなったのだろうか。


言われてみれば、シナモン王太子やカオリン王女と、容姿は似ている感じがする。


兄弟だから当たり前か。


「ペルラ嬢も、ここの景色を見に来たのですか?」


「はい。気持ちいいですよね」


ペルラはようやく本来の目的を思い出した。


そう、景色を見に来たのだ。


遠く、地平線まで見渡せる。


やや強いが、爽やかな風が吹いていた。

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