25. 【閑話】小箱のその後
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
※【21. ミリス編⑥ 小箱】、【22. ミリス編⑦ 帰宅】の続きです。
ベルデが屋敷へ帰ると、ペルラとディアバスがほとんど同時にやってきた。
「お兄様に話があるの」
「兄貴、俺も言いたいことがある」
「何だ?」
「今日、ミリス様が……」
「飴が……」
「待て待て。一人ずつ言え」
まず、ペルラからミリスのアルマンディン行きについて聞いた。
一通り話を聞き終えたベルデは、今度はディアバスを見る。
「それで、お前は?」
「これ」
ディアバスが金の小箱を見せた。
ベルデにも見覚えがあった。
ディアバスが幼い頃、バサルクから送られてきた母王妃の遺品だ。
「これがどうした?」
「開けて」
ベルデが蓋を開けた。
「……」
数個の飴が溶けていた。子供の頃にペルラがお気に入りだった飴だ。金細工の細い溝や凹凸に入り込んで固まっている。
ベルデはペルラを見た。
「ペールーラー!」
「ごめんなさい!」
ペルラがすぐに謝った。
「ディア、ごめん。許して。もう時効じゃない?」
「他人の大切な物を汚しておいて、時効なんかあるか!」
「そうだ!」
ディアバスも頷いた。
「ごめんなさい……」
ペルラはしゅんとした。
ベルデは小箱を指差した。
「責任を取って、しっかり掃除しろ!」
「ん?」
ディアバスがベルデを見た。
ペルラは顔を上げた。
「そうよね。分かりました!」
力強く宣言する。
「一番強力な洗剤と爪楊枝を使って、力いっぱいゴシゴシ掃除しますわ!」
「よし! その意気だ!」
ベルデは満足そうにうなずいた。
「え? 待って待って」
ディアバスは慌てて小箱を引き寄せた。
「やらなくていい。もう時効。時効だから大丈夫」
「え? そんなこと言わずに」
「そうだ、ディア。お前、ペルラを甘やかしちゃダメだぞ」
ディアバスは小箱を抱きしめた。
「お願いだから何もしないでくれ」
そう言うと、ディアバスは部屋を飛び出して行った。
〜閑話 終わり〜




