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24. ミリス編⑨ 香水

※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。

数日後。


王都守備隊の執務室で、ベルデは机に積まれた書類に目を通していた。


「おはようございます」


ミリスが入室してきた。


「おう。おはよう」


ミリスは手にしていた書類を差し出した。


「昨日の件ですが、こちらで確認したところ……」


ふわりと香った。


ベルデの手が止まった。


みずみずしく、ほのかに甘い花の香り。


ペルラが最近使っている香水と同じ香りだった。


「それで、こちらが修正後のものです」


「あ、ああ」


ベルデは書類を受け取った。


また香った。


間違いない。


――なんでミリスからペルラの香りがするんだ。


市販されている香水なのだから、同じものを使う人間がいても不思議ではない。


男が花の香りを身につけることも、別段珍しくない。


しかし。


――よりによって、今?


ベルデは退室するミリスを見送った。



その日の夜。


「なあ、ペルラ」


夕食後、ベルデは居間で本を読んでいた妹に声をかけた。


「なあに?」


「今日、ミリスに会ったか?」


ペルラが本から顔を上げる。


「ミリス様? 会ってないよ。

この前、お兄様がお断りしてから会ってないけど……」


「そうか」


「どうしたの?」


「いや。何でもない」


ベルデは少し離れたところにいたディアバスを見た。


「ディア」


「はい?」


「今日、ミリスからペルラと同じ香りがしたんだけど」


ディアバスの動きが止まった。


「……」


ベルデはその反応を見逃さなかった。


「何か知ってる?」


ディアバスは少し迷ってから答えた。


「……この前、王宮で会った時に、ペルラの香水の店を聞かれました」


「ミリスに?」


「はい」


ベルデは黙った。


「それで?」


「教えました」


「……そうか」


「隠すようなことでもありませんし……」


「まあ、そうだな……」


それはベルデにも分かる。


香水をどこで買ったかなど、秘密にするような話ではない。


「……」


「……」


ベルデとディアバスは、無言で顔を見合わせた。

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