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128/144

128. 海の離宮編(38) 下賜

※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。

コンミフォラ卿の海上油田保全作業が終わり、コンミフォラ家の船は明日バサルクを発つことになっていた。

ペルラとディアバスとベルデは、その船に同乗させてもらい、ムーンストーンへ戻る予定だった。


出発前日の朝。

ベルデは、バサルク王宮の謁見の間にいた。


正面には、水晶と金を連ねた簾(すだれ)が垂れていた。


その向こうに、オーニチェがいた。


ベルデは定められた位置まで進み、深く頭を下げた。


「ベルデ・ベトーラ。顔を上げよ」


オーニチェの声が響いた。


「はい」


ベルデは顔を上げた。


「明日、ムーンストーンへ発つと聞いている」


「はい」


オーニチェは、少し黙ってベルデを見ていた。


「我が弟ディアバスと、その妃ペルラを頼む」


ベルデは、再び深く頭を下げた。


「はい。承りました」


オーニチェが傍らへ視線を向けた。


控えていた臣下が一礼する。


「バサルク王家より、ベルデ・ベトーラ殿へ下賜の品にございます」


別の臣下が、一振りの短剣を捧げ持って進み出た。


金の鞘に、太い幾何学模様が連なっている。


角張った大粒の宝石が三つ、間を置いて嵌め込まれ、その周囲をいくつもの小さな石が取り巻いていた。


柄にも金の装飾が施され、光を受けるたびに宝石が鮮やかに輝いた。


「国王陛下御所有の短剣にございます」


臣下はベルデの前まで進んだ。


差し出された短剣を、ベルデは両手で受け取った。


ずしりと重い。


ベルデは短剣を手にしたまま、深く一礼した。


「ありがたく頂戴いたします」


きらめく簾の向こうで、オーニチェが静かに頷いた。

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