124. 海の離宮編(35) 光
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
オーニチェとピレイが謁見の間を退出して、大きな扉が閉まった。
謁見の間が静かになった。
ペルラは大きく息を吐いた。
「……終わった」
「疲れたか?」
「うん」
ペルラは自分の頭に触れた。
「すごく重い……」
ディアバスに手伝ってもらいながら、ペルラは一番大きな頭飾りを外した。
淡いミントグリーンの短い髪が現れた。
「兄上は張り切り過ぎなんだよ」
「ディアもすごいよ」
「俺?」
「うん」
ペルラはディアバスを見た。
「王子様みたい」
「王子なんだけど」
「あ、そうだった」
「忘れるなよ」
ペルラが笑った。
ディアバスも笑った。
だが、すぐに真剣な顔になった。
「……ペルラ」
ペルラは座ったまま、不思議そうにディアバスを見上げた。
「なに?」
ディアバスはペルラの前に立つと、跪いた。
「聞いてくれ」
ディアバスはペルラの手を取った。
「ペルラには俺よりいい相手がいるんじゃないかって何度も思った」
ディアバスは一度、目を伏せた。
「でも、俺にはペルラが必要だ」
ディアバスは顔を上げた。
「何も起こらないなんて約束はできない。
それでも、俺はペルラと生きたい。
俺にできることは全部する」
ディアバスはペルラをまっすぐ見た。
「ペルラ、幸せにする」
ディアバスはペルラの手を両手で包むと、額につけた。
「だから、結婚してください」
ペルラは、跪くディアバスを見た。
ずっと怖かった。
けれど、ディアバスは今、自分の意思で、一緒にいたいと言ってくれている。
「……はい」
ディアバスは顔を上げて、ペルラを見た。
ペルラは椅子から立ち上がると、跪いたままのディアバスの頭を抱きしめた。
「ディア、大好き」
指に、いつもの黒髪が触れた。
腕に触れる金と水晶の冠は、ゴツゴツとして、ひんやりと冷たい。
どちらもディアだった。
ペルラは光の中でそっと目を閉じた。




