109/144
109. 海の離宮編(21) 裸足で
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
講義を受けていたディアバスを、使用人が呼びに来た。
「ディアバス殿下、すみません。
ペルラ様が」
最後まで聞かず、ディアバスは部屋を飛び出した。
ペルラの部屋へ走って向かうと、廊下の先に、おろおろする使用人と離宮守備隊を振り切って、自室から裸足で走り出るペルラが見えた。
ディアバスは全速力で追った。
ペルラは飛ぶように軽く階段を降りると、驚く守備隊と近衛の前を素通りして、砂浜へ走って行った。
ペルラの美しい長い髪が、ペルラを守るようにまとわりついていた。
「止めろ」と守備隊に命令して力づくで制止するのは簡単だったが、それは違う気がした。
どんな形であっても、数日ぶりに動き出したペルラの心を見たいと思った。
ペルラは砂浜の途中からひどくゆっくり歩いていた。
ディアバスも走るのをやめて、距離を少し空けて、ついて行った。
太陽がついに沈み出し、オレンジ色の光が赤くなり始めた。
遠くの海は黒くなり、海上油田の炎がまたはっきりと見えた。
ペルラは波打ち際で立ち止まって、海上油田の方を見た。
ディアバスがペルラを呼ぼうとした時。
突然、ペルラが海に向かって走り出した。




