103. 海の離宮編(15) 寝室
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
寝室のドアが開いた。
窓は割れ、ベッドの横の壁に剣が突き刺さっていた。
衣装棚の前で、ペルラが座り込んでいた。
ペルラが振り返った。
顔と手に血がついていた。
「ペルラ!」
男が立ちはだかった。
「ディアバス殿下ですね。魔女に心を許してはなりません」
「魔女?
そこをどけ!」
ディアバスが叫ぶと、男も叫んだ。
「ムーンストーン人をバサルクに入れてはなりません!
バサルクもアルマンディンと同じ道を歩むことになります!
全てのムーンストーン人を今すぐに追い出してください!
王家を愚弄するこの女も、我々の石油を掠め取る奴らも!」
ディアバスは静かに言った。
「バサルクにはバサルクのやり方がある。
もう一度言う。
そこをどけ」
男は首を振った。
「ムーンストーン人の血の一滴も、バサルク王家に入れてはいけない。
ムーンストーン人が二度とそんなことを考えないように、思い知らせなければいけない。
ディアバス殿下には、ご理解いただけないようですね」
男は剣に手をかけた。
「殿下は誰よりも分かっていらっしゃるかと思っていたのに、残念です!」
男が切りかかってくるのと同時に、ペルラの後ろに立つ男がペルラに剣を振り下ろすのが見えた。
ディアバスは切りかかってくる男の剣を左手の短剣で崩すと、走り込んで右手の長剣でペルラの後ろの男の腕を切った。
血しぶきが散って、男は剣を手放した。
ディアバスは返す刀で剣を弾きつつ、ペルラの前に立った。
ディアバスはペルラを素早く抱き上げると、前室に下がった。
ペルラは虚ろな表情のまま、震えていた。




