60:地獄の四重奏! 4対1の死闘
ケンジが静かに腕を組み、俺を見つめる。
「……タカシ、今のお前なら、コイツらは敵ではない」
俺は拳を握りしめる。
そうだ――熊を投げ飛ばし、牛を投げ、ウラルの山奥で修行を積み、歴史の修正力を乗り越えるために戦ってきた。
こんな奴らに負けるわけがない!!!!!!!!
「来い!!!!!!!!!」
俺が叫ぶと同時に――
「文学の名の下に!!!」
ドフトエフスキー四天王が、一斉に襲いかかる!!!!!
第一撃――詭弁の魔術師・イワノフ!!!!
「お前にドフトエフスキーの何が分かる!!!」
イワノフが詭弁のような言葉を吐きながら、まるで蛇のようにうねるステップで距離を詰めてくる!!!
「考えろ! 思考しろ! 哲学の戦いを理解しろぉぉぉ!!!!」
「うるせええええええええ!!!!!」
俺はカウンターの正拳突きを放つ!!!
だが――
第二撃――戦術家・アレクセイ!!!!
「そう簡単にはいかん!!」
影からアレクセイが現れ、素早く俺の腕を絡め取る!!!
「戦術は構築されたものこそ美しい!!」
「くっ……!!」
アレクセイはあらゆる格闘技を修めた男。
俺の動きを封じるため、関節技を仕掛けてくる!!!
第三撃――文学の拳・セルゲイ!!!!
「詩のリズムで拳を刻めええええええ!!!!」
セルゲイが高速のジャブを俺の顔面に浴びせてくる!!!!
「ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ!!!!!」
まるで詩のリズムに乗った拳!!! 速い!!!!!
「ぐっ……!!!!」
俺はなんとかガードしながら後退するが――
第四撃――原作厨・ニコライ!!!!
「お前のような改変者を!! 許すわけにはいかん!!!!!!!」
ニコライが突っ込んできた!!!!
「“原作”は聖なるもの……それを穢す者は!!! 粛清だ!!!!!」
「くそっ!! 4人同時攻撃はキツイ!!!!」
俺は防戦一方になりながら、ケンジをチラリと見る。
「ケンジ!!! 助けろ!!!!!」
だが――ケンジは腕を組み、ニヤリと笑う。
「タカシ、今のお前なら、コイツらは敵ではない」
「無責任か!!!!!!!!!!!!!」
「ぐっ……くそおおおおおおおおおおお!!!!!」
俺は、血を吐きながらも拳を握りしめた!!!
四天王の猛攻。
詭弁、戦術、詩のリズム、原作愛――
それらが、全て俺の肉体に刻まれた。
だが――
「俺は!!!! ナスターシャ・フィリポヴナを!!!!!!! 救うんだああああああ!!!!!」
ウラルの大地が震えた。
山が噴火し、天が裂ける――
俺の中の“何か”が覚醒する。
「これで終わりだ!!!!!」
俺は、拳を天に突き上げた!!!!
「破滅への詭弁崩し!!!!!!」
「イワノフ!!!! お前の詭弁はもう通用しねええええ!!!!」
「な、何ッ!? ならばさらに哲学を深く考え――」
俺の拳が、イワノフの顎にクリーンヒット!!!
「ぐぼああああああああ!!!!!」
そのまま回転しながらウラル山脈へと吹き飛ぶ!!!
「完璧戦術破壊投げ!!!!!!」
「アレクセイ、お前の戦術は緻密すぎて――逆に隙だらけだ!!!」
「なに……!? 馬鹿な!!」
俺はアレクセイの腕を取り、力の限り投げ飛ばす!!!!
「ぐぼあああああああああ!!!!!」
彼の身体はウラルの谷底へと沈んでいった。
「詩的破砕拳!!!!!!」
「セルゲイ……リズムで戦うのは確かに美しい……」
「そうだ!!! 文学とはリズム!!!! 詩の流れこそ至高!!!!」
「だがな、ナスターシャは!!!! そんなものに縛られねえんだよ!!!!!」
俺の拳が、セルゲイの美しく構えた腕を砕く!!!
「ぐぼおおおおおおおお!!!!!」
セルゲイの身体は宙を舞い、氷河の裂け目に飲み込まれた!!!
「原作至上主義粉砕ドライバー!!!!!」
最後の一人、ミハイル。
「俺は信じている!!!!! ドフトエフスキーの世界は絶対だ!!!!!」
「違う!!!!! 俺たちは物語の中に生きてるんじゃねえ!!!! 俺は俺の意思で!!!! ナスターシャを救う!!!!」
「そんなことが許されるわけがない!!!!!」
「うるせえええええええ!!!!!」
俺はミハイルの身体を抱え、全力で地面に叩きつけた!!!!!!
「ぐぼおおおおおおおおおお!!!!!!!」
ウラルの大地が砕ける!!!!
地割れが広がり、噴火とともに洪水が押し寄せる!!!!
四天王は――全滅した。
俺は、肩で息をしながら、ケンジを見た。
ケンジは静かに頷く。
俺は、肩で息をしながら、ケンジを見た。
ケンジは静かに頷く。
「ドフトエフスキーが送り込んだ刺客にしては、
案外弱かったな」
「当たり前だ」
「こいつらはドフトエフスキーが送り込んだわけじゃない。ただの厄介なファンだ」
「えええええええええええ!!!!???」
「ほら、お前、現代日本にもSNSにたくさんいただろう」
「例えば?」
「『この改変は許せない!』『キャラの解釈が違う!』『公式が一番わかってない!』……そういう連中を」
「いる……いるな……」
「だろ?」
「でも、公式が一番わかってないって、
どういう理屈だ?」
「簡単だ。やつらは原作を“自分のもの”だと思い込んでる。だから、公式が少しでも違う解釈をするとブチ切れる」
「え、でも、それってファンとして普通じゃないのか?」
「普通のファンならな。でも、厄介な連中は『公式よりも俺たちのほうが分かってる』っていうスタンスでいる」
「うわぁ……」
「例えば、いるだろう。旧作至上主義のやつら」
「ああ、いるな」
「『リメイクなんて認めない!』『あの時代のあの空気感が至高!』『何も変えるな!』って叫ぶやつらだ」
「でも、それって作品を愛してるからこそじゃないのか?」
「愛してるなら、新しい形も受け入れろよ。原作者が作るものを、勝手に“俺の解釈”で上書きして、『本来こうあるべき』とか言い出すから厄介なんだ」
「いや、わかるけど、SNSで暴れてるだけならまだいいだろ? ここまでガチで戦闘仕掛けてくるとか……」
「それが行き過ぎた厄介ファンってもんだ」
「じゃあ、あいつらは……?」
「おそらく、異世界転生した瞬間に『これは先生の作品を守らねばならない!』とか思い込んだんだろうな」
「うわぁ……マジかよ……」
いや、強さ自体はそれなりにあったけど、
目的がキモすぎる。
「じゃあ、行くか」
俺は肩を回して、深く息を吐いた。
ケンジは腕を組みながら頷く。
「ああ、ここで足止め食らってる暇はない」
「ドフトエフスキーのもとへ」
「そして――ナスターシャ・フィリポヴナを
迎えに行く!!!」




