表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/75

59:強敵!ドフトエフスキー四天王

「ふふ……ついに姿を現したな」


ケンジが腕を組み、低く呟く。


そして――


「聞け……我らこそ、ドフトエフスキー文学の守護者!!!」


ザッ……ザッ……ザッ……!!!

四人の男たちは、まるで舞台役者のように一糸乱れぬ動きで前に進み出る。

その足音は重く、夜の闇にこだまする。

不気味な静寂が広場を支配し、まるでこの瞬間のために時間が止まったかのようだった。


すると――


「聞け!!」

「知れ!!」

「畏れよ!!!」


「我らこそ、ドフトエフスキーの遺志を守護する者!!!」

「混沌の闇より生まれし、文学の審判者!!!!」

「“先生”の思想を乱す愚者に、ここで鉄槌を下す!!!」


「我ら、罪と罰の宿命にあり!!!!」


一人目が足を踏み出し、冷笑する。

「知性の月は闇を裂く……!」

「理論と哲学の刃を振るう者!!!」

「ペトロフスキー、ここに推参!!!」


二人目が腕を組み、肩を揺らして笑う。

「烈火の意志は揺るがぬ!!!」

「誇りと信念の槍を貫く者!!!」

「アレクセイ、ここに見参!!!!」


三人目が天を仰ぎ、ゆっくりと手を広げる。

「兄と妹、魂は対になりて!!!」

「血と宿命を背負う者!!!」

「ウラジーミル、ここに降臨!!!!」


そして――最後の一人。

髪をかき上げ、ニヤリと笑いながら言う。

「裁きの雷は神に代わりて!!!」

「文学の審判を下す者!!!」

「ミハイル、ここに降臨!!!」


四人が同時に腕を広げ、声を揃えて叫ぶ。

「罪は裁かれ!!!」

「罰は下る!!!」

「ドフトエフスキーの理想のもとに!!!」

「貴様らの存在は赦されぬ!!!」


「我らドフトエフスキー四天王!!!」


――圧倒的な外連味。

スーパー戦隊か、はたまた歌舞伎か。

その完璧な統制美に、一瞬息を呑む俺とケンジ。


俺は、信じられないものを見た気分でケンジの肩を揺さぶる。

「な、なんなんだ、こいつらは……!!!」

ケンジは、険しい顔をしたまま呟く。


「21世紀なのに、ドフトエフスキーを愛読しまくって転生した原作厨だ……!!!」


「えええええええええ!?!?!?」


俺は思わず絶叫した。


「いやいやいや!!! 21世紀の人間が、どうしてそこまでドフトエフスキーに入れ込む!?!?!?!?」


「それだけじゃない……」


ケンジがさらに言葉を続ける。


「そもそも……こいつら、全員日本人だ。」


「えええええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?」


驚愕。

衝撃。

いや、もう意味がわからない。


見た目はロシアの闇に潜む秘密結社みたいな風貌なのに、

全員日本人とか、どういうことだよ!!!!!!!!


だが、それだけでは終わらなかった。

俺はじっと四天王の中で、一人の男に視線を向ける。

……なんか、微妙に空気が違う奴がいる。


「お前……もしかして……」


俺がそう言いかけた瞬間、その男がカッと目を見開いて叫んだ。


「ちょっと待ったあああああ!!!!!!」


「うわっ!!???」


突然の大声に俺もケンジも思わずのけぞる。


その男は一歩前に出ると、どこか誇らしげに言い放った。


「俺はな!!! ロシア文学が好きでここにいるわけじゃない!!!!!」


「……は?」


「ロシアの文化が好きでここにいるんだ!!!!

そう!!! 俺が愛するのは、ロシア好きのあの声優だ!!!!」


「……ええええええええええええええええ!?!?!?!?!?!?!?」


俺の理解を超えた。


「ちょ、ちょっと待て!! お前、それでなんでドフトエフスキー四天王に混ざってるんだよ!!?」


「いや、俺も最初は文学とか興味なかったんだけどな……」


男は天を仰ぎ、遠い目をしながら呟く。


「推しの声優がな……ロシア文学好きだって言ったんだよ……!!!」


「……」

「……」


俺とケンジ、完全に無言。


「それで、俺は必死に勉強して上智大学に入学。そして、ドフトエフスキーを読んだ……! 『罪と罰』!! 『カラマーゾフの兄弟』!! 『白痴』!!! いやもう、意味わかんなくても、とりあえず読んだ!!! そしたら、いつの間にか詳しくなってた!!!! そして気づいたら転生してた!!!!!」


「なんでだよおおおおおお!!!!!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ