54:新たなる修行
「タカシ」
佐藤ケンジが、真剣な目で俺を見つめた。
「つまり、お前、ナスターシャ・フィリポヴナを本気で救いたいなら、このままじゃ無理だぞ。」
「な……」
「確かに、お前の柔道は素晴らしい」
「だがな――」
「柔道一辺倒では
ドフトエフスキーには勝てない!!!!!!」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!!!!!!!!」
「いいか、ドフトエフスキーは“文豪”だ。ただの作家じゃない。あれは、思想を超えた存在だ」
「やつは、ただの肉体的な戦闘力だけじゃない。哲学、心理学、宗教、文学、あらゆる知識を武器にしてくる。」
「だから――俺たちも、武道だけではなく、
あらゆる戦い方を身につける必要がある!!」
「空手!! 少林寺拳法!! サンボ!! ムエタイ!!
すべてを学び、ドフトエフスキーの“物語の修正力”を打ち破るんだ!!!!!!!」
「ぐっ……!!!!!」
「さらに、お前に足りないものがある」
佐藤ケンジが、拳を握りながら続けた。
「心を磨け!!!!!!!!!」
「ドフトエフスキーは、拳だけでは倒せない!!!!!」
「その根底には、人間の本質に迫る哲学がある!!!!」
「やつは、戦闘だけではなく、言葉でも攻めてくる!!
お前が『俺はナスターシャ・フィリポヴナを救う』と言い張ったところで、
やつはお前の心の隙をついてくる!!!」
「だから、お前は強くなるだけではなく、人間としての深みを持たねばならない!!!!!!」
「ぐっ……!!!!!」
俺は拳を握りしめ、ケンジの言葉をかみしめる。
「わかった。」
「俺は、強くなる!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「じゃあ、準備をしよう」
ドゥーニャがクローゼットを開けた。
そこから取り出されたのは――
新しい道着。
そして、白帯。
「……これは?」
俺は、思わず息をのんだ。
「ケンジがいつか、あなたのような男が来ると思って用意してたのよ」
ドゥーニャが、優しく微笑む。
「さあ、着替えなさい」
俺は、静かに道着を受け取り、
自分の服を脱いで、袖を通した。
新しい道着が、俺の体を包む。
そして――
帯を締める。
俺は、深く一礼した。
「――よろしくお願いします!!!!!!!!!!」
ケンジも、道着を着込みながら頷く。
「よし。修行開始だ」
「いくぞ!!!!!!!」
「押忍!!!!!!!!!!!!!!」
こうして、
俺の 「異世界転生ロシア文学バトル修行編」 が、
幕を開けた。




