39:エパンチン家での立場を確立する
俺は、さっそく
用意された豪華な朝食に手を伸ばしていた。
考えてみたら、転生して最初の食事だ。
「うめえ!!!!」
だが――
その時だった。
「……ちょっと、あなた何者なの?」
背筋が凍るような冷たい声。
俺は、朝食をかき込んでいた手を止め、
ゆっくりと振り向いた。
そこには――
エパンチン家の三姉妹と、
その母であるエパンチン夫人が立っていた。
(……やべえ。)
敵意むき出し。
特に、エパンチン夫人……
リザヴェータ・プロコフィエヴナの表情がヤバい。
完全に
「得体の知れない変な男が、嫁入り前の娘たちの家に入り込んだ」
としか思っていない。
「お父様、一体この男は誰ですの?」
「……どうしてナスターシャ・フィリポヴナがここにいるの?」
「あなた、どこから現れたの?」
俺に向けられる、三姉妹の詰問。
(こ、これは……想定外!!!!!!)
俺は一瞬怯んだが――
(いや、負けるな!!)
俺は堂々と立ち上がり、
エパンチン家の女たちに向かって高らかに宣言した!!
「俺は、海山商事の山田タカシです!!!」
「「「「…………は???」」」」
一瞬の沈黙。
そして――
場の空気が、完全に凍った。
ナスターシャ・フィリポヴナが頭を抱えた。
(……マズったか???)
しかし!!!
ここで怯んではならない!!!!
「俺は、この家に住む!!!」
「将軍が俺を後見する!!!」
「そして、ナスターシャ・フィリポヴナと共に、ここで新しい人生を歩む!!!!!」
三姉妹、ドン引き!!!!!!
エパンチン夫人、
もはや「何を言ってるのこの男?」という顔。
将軍、なぜか笑ってる。
ナスターシャ・フィリポヴナは、もう完全に諦めモード。
……俺のペテルブルク攻略、最大の壁にぶち当たった。
俺は、立ち上がった。
「……仕方ない」
そうだ、もう言葉で説得などできない。
ならばすることは決まっている。
三姉妹、警戒。
エパンチン夫人「な、何をするつもり!?」と身を引く。
将軍だけ、やけくそ感の混じった興味津々な顔。
ナスターシャ・フィリポヴナは完全に「もう知らん」と、紅茶を飲んでる。
俺は、ゆっくりと構えを取った。
「俺を認めさせる方法は、ひとつ!!!!!」
「エパンチン家、全員投げる!!!!!」
「ふざけないで!!!!」
アグラーヤ・イワーノヴナ・エパンチナが突っ込んでくる!!!!
エパンチン家姉妹の三女にして、公爵にガチ恋していたツンデレ令嬢。
(よし、まずはお前からだ!!!!)
「うぉおおおおおお!!!!!」
俺は、アグラーヤを投げた!!!!!!
ズシャァァァァァ!!!!!!
「なっ――――!?!?」
エパンチン夫人、絶叫!!!!!!
「ちょ、ちょっと!!??」
「問答無用!!!」
エパンチン夫人を投げる!!!!
「きゃあああああああ!!!!!」
「お母様!!??」
長女・アレクサンドラを投げる!!!!
「ひぃいいい!!!!」
次女・アデライーダを投げる!!!!
「ぎゃあああああ!!!!!」
エパンチン家、全員投げた!!!!!!!
将軍、大爆笑。
いや、もう完全に現実逃避しているだけだ。
ナスターシャ・フィリポヴナはといえば、
呆れすぎて逆に興味が湧いてきた顔をしている。
俺は、エパンチン家の女たちが
床で転がっているのを見下ろし、静かに言った。
「俺を認めろ」
全員、言葉を失っている。
俺は、ふぅっと息を吐いた。
「さあ、メシの続きを食おうか」
こうして――
俺は、エパンチン家での立場を(物理的に)確立した。




