38:お前が俺の後見人
ペテルブルクの朝焼けの下、俺は堂々と名乗った。
「海山商事の山田タカシです!!!」
ナスターシャ・フィリポヴナ、完全にフリーズ。
しかし――
俺は次の瞬間、ある重大な事実に気づいてしまった。
(……待てよ……?)
俺、異世界転生したわけだが――
この世界に、俺の身分証明、何もない!!???
(しまったぁぁぁぁぁ!!!!!!)
(異世界転生したら、
まず身分確保が最優先だったのに!!!)
俺は、あまりにも勢いだけでナスターシャを救い、
結婚式まで挙げてしまった。
だが――
俺の身分証明、ゼロ!!!
貴族の称号なし!!
市民登録なし!!
戸籍なし!!!
俺、完全に「何者でもない」状態じゃねえか!!!???
(転生の時に、
ちゃんと注文しておくべきだった……!!!!!)
だが――
そんなことで怯んでいる場合じゃない!!!!
俺には、まだ9万ルーブルと少しが残っている!!!!
この時代、9万ルーブルはとんでもない大金だ!!
(よし!! この金を使って、身分を確保するぞ!!!!)
俺は、ふと横を見ると――
さっきの御者が、まだ馬車の前で感動しながら俺を見ていた。
「……旦那様……あなたの祈り……
私は見ておりました……なんと神聖な……」
(よし、こいつ、まだ俺に感動してるな!!!!)
俺は、一気に勝負に出る!!!!
「よし!! もう一度サービスで乗せろ!!!」
「はっ、はい!!!! もちろんでございます!!!」
行き先は――エパンチン将軍の屋敷!!!!!!
俺は、再び馬車に乗り、ナスターシャ・フィリポヴナとともにエパンチン将軍の屋敷へと向かった。
「おはようございまーす!!!!!」
門番、びっくり。
俺は、取り次ぎを完全に無視してそのまま屋敷の中へ突撃する。
「将軍いるだろ!!!!!」
「なんだ貴様!!!!!」
奥から、目を覚ましたばかりのエパンチン将軍が出てきた。
(よし、いた!!!)
俺は、堂々と胸を張り、要求を叩きつける!!!
「とりあえず、メシを食わせろ!!!!!」
「……は???」
「それと!! 俺はしばらくここに住む!!!!!」
「お前が俺の後見人をしろ!!!!!」
「………………はぁ!?????」




