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33:目指すは結婚式

俺は、一歩前へ出る。

エパンチン将軍と、静かに向き合う。


この男――ただの貴族ではない。

ロシア帝国の軍人である。


その鋭い眼光、堂々とした立ち姿、油断のない構え――


(……さすがだ)


俺の脳裏に、19世紀ロシアの戦役の歴史が蘇る。


ナポレオン戦争、クリミア戦争、コーカサス戦争、そして、中央アジアの征服戦争――

この時代、世界は帝国主義に包まれ、ロシアもまた、その渦の中で戦い続けてきた。


そして、今――その歴史を生き抜いた男が、

俺の前に立っている。


(だが、俺は負けない!!!!)


俺は、戦闘態勢に入った。


将軍の目が細められる。周囲の貴族たちが息を呑む。


ナスターシャ・フィリポヴナが、驚きと緊張の入り混じった表情で俺を見つめている。


「……いいだろう」


将軍が、静かに言った。


「貴様がどこの誰かは知らんが、これほどの混乱を起こした以上、簡単には逃がさん」


そして――


「構えろ!!!!」


ドンッッ!!!


床を踏み鳴らす音。

将軍が一気に間合いを詰めてくる!!!


(くる!!!!)


俺は、すぐさま対応する!!!


――交錯する拳!!!

――鍛え抜かれた身体同士の激突!!!

将軍の拳が、俺の腹部を狙って突き込まれる!!!俺は寸前で避け、カウンターを狙う!!!

だが――硬い!!!


(こいつ……見た目以上にタフだ!!!!)


将軍は微動だにせず、すぐに体勢を立て直し、

今度は足払いを仕掛けてきた!!!


(くそっ、さすがだ!!!)


俺は素早く跳びのいて距離を取る。


「……悪くない」


将軍が、低く笑う。


「だが、まだまだだ!!!」


一気に踏み込む!!!


俺も、それに応じて――


「うぉおおおおおお!!!!!」


会場のどよめきが最高潮に達する!!!

決闘は、熾烈を極めた――!!!!

俺は、歯を食いしばる。

エパンチン将軍――やはり、強い。


だが、俺は負けるわけにはいかない!!!!


ナスターシャ・フィリポヴナのために、

ここで倒れるわけにはいかない!!!!


将軍が、再び拳を構える。

次の一撃で決めにくるつもりだ――


だが――

俺の方が速かった!!!!


「うぉおおおおおお!!!!!!」


俺は、全力で突っ込む!!!


「なっ!?」


将軍の目が見開かれる!!!


――一本背負い!!!!


ズシャアアアアアアアアアア!!!!!!!


将軍の身体が、宙を舞う!!!!!!


「ぐおおおおおお!!!!!」


床が揺れる。周囲の貴族たちの悲鳴が響く。


ナスターシャ・フィリポヴナが、呆然と俺を見ている。


ロゴージン(多分)、まだ動けない。

公爵(多分)、完全に沈黙。

トーツキイ(多分)、動く気配なし。


そして――

エパンチン将軍、床に転がる。


俺は、荒い息をつきながら、ゆっくりと立ち上がり、将軍を見下ろした。


「……まだ、やるか?」


将軍は、仰向けのまま、しばらく天井を見つめていた。


そして――


「……フッ」


小さく笑うと、ゆっくりと上体を起こした。


「……やるな」


将軍は、膝に手をつきながら立ち上がる。

俺は、構えを解かない。


だが、将軍は戦意を解き、ふっと笑った。


「なるほど。お前の覚悟は本物か」


俺は、強く頷いた。


すると――

将軍は、大きく息を吐き、俺の肩をガシッと掴んだ。


そして――


「行け!!!」

「……!!!」


俺は、一瞬驚いたが、すぐに理解した。


(……許された!!!)


俺は、迷わずナスターシャ・フィリポヴナの手を取る。


「行くぞ!!!!」

「えっ、ちょっ、待っ――」


ナスターシャが驚きながらも、俺に手を引かれ、夜会の会場から駆け出した!!!


こうして――

俺は、ナスターシャ・フィリポヴナを連れ去ることに成功した!!!!


(次の目的地は……!!! 結婚式だ!!!!)


俺は、ナスターシャ・フィリポヴナの手を引き、夜会の会場を飛び出そうとする。

だが――


「待て」


またしても、背後から鋭い声が響いた。


(……今度はなんだ!?)


俺は、振り返る。

そこには、さっき投げ飛ばしたエパンチン将軍が、ゆっくりと立ち上がり、俺をまっすぐに見つめていた。


「……お前はいったい何者だ?」


将軍の問いかけに、俺は、ほんの一瞬だけ迷った。


(何者……?)


いや、答えは決まっている。

俺は、堂々と胸を張り――


「あ、海山商事の山田タカシです!!!」

「………………は?」


将軍の眉がピクリと動く。ナスターシャも、目を見開く。

貴族たちは、完全に困惑。


「えっと……文房具の仕入れとかでしたら、弊社にご相談を……」

「……」


エパンチン将軍、完全にフリーズ。


ロゴージン(多分)は呻きながら「こいつ、狂ってやがる……」と呟く。

公爵(多分)、気絶。

トーツキイ(多分)、未だ動かず。

ナスターシャ、頭を抱える。


だが――

俺は気にしない!!!!


「さあ、行くぞ!!!」


俺はナスターシャ・フィリポヴナの手を再び取り、全速力で夜会の会場を飛び出した!!!!!

目指すは――結婚式!


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