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32:もう誰も俺を止められない

俺は、ナスターシャ・フィリポヴナの手を取った。


「行くぞ!!!」

「……えっ、どこに?」

「結婚式だ!!!!」

「…………は???」


完全に理解が追いついていないナスターシャ。

しかし、ここまできたら、勢いだ!!


「今から、俺たちの結婚式をするんだ!!!!」


結婚式は、たった今思いついただけだ。

しかし、俺の熱量に押され、ナスターシャは――


「……はい……」


と、小さく頷いた。


(よし!!! よし!!! よし!!!!)


これで決まりだ!!!

ロシア文学史上、

最も悲劇的なヒロインを、俺が救う!!!!


俺は、ナスターシャの手を強く握りしめ、

会場の出口へ向かって駆け出した!!!


だが――


(……待て、こいつを忘れてた)


俺は、まだ昏倒しているロゴージン(多分)に目を向けた。


「……悪いな。最後にもう一度だ」


そして――


ロゴージン(多分)を、

もう一度、投げた!!!!!!!!


ズシャアアアアアアア!!!!


「ぐおおおおおお!!!!」


ロゴージン(多分)、またも宙を舞う!!!!

豪華なカーペットに、盛大に叩きつけられた。


(よし!!! もう誰も俺を止められない!!!)


俺は、ナスターシャの手を引き、

夜会の会場を飛び出そうとした。


だが――


「待て!!!!!!」


鋭い声が響いた。

俺は、反射的に振り向く。


そこには、貴族たちとは明らかに違う、雰囲気の男が立っていた。


(……誰だ?)


しかし、すぐにわかった。


エパンチン将軍!!!!!!


そう、アグラーヤの父親か。

ナスターシャを救う俺にとって、こいつは直接の敵ではない。


いや、退役した今は実業家としてトーツキイと商売をしている。

だから、間接的には敵だろうが、どちらかといえばどうでもよい存在だ。


だが、今や、実業家となった男もロシア軍人としての誇りを持っているのだろう、この混乱を黙って見過ごすつもりはないらしい。


「貴様……なかなかやるようだな」


鋭い目つきで、俺を睨むエパンチン将軍。


その体は、すでに構えを取っている。


「ならば――俺と戦え!!!!」


(……くるか!!!!)


俺は、ナスターシャの手をそっと放し、ゆっくりと前に出た。


「望むところだ。」


夜会の会場が、最後の決闘の舞台と化す――!!!!


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