29:ナスターシャ・フィリポヴナ、再び宙を舞う
バチィィィィィィンッッッッ!!!!
衝撃が走る。ナスターシャ・フィリポヴナの強烈なビンタ。
(……これだ!!! それでこそ、ナスターシャだ!!!!)
俺は、確信した。この女こそ、俺が救うべき運命の人!!!
ならば――
俺は、叫びながら再び大外刈り!!!!
「それでこそ、ナナスターシャ・フィリポヴナァァァァァ!!!!」
「はぁあああ!?!?」
ズシャアアアアアアアッ!!!!!!
ナスターシャ・フィリポヴナ、再び宙を舞う!!
しかし、驚くべきことが起こった。
(……はやい!!!?)
ロゴージン(多分)がまだ呻いて転がっているというのに、
ナスターシャ・フィリポヴナは、ロゴージンよりも早く起き上がった!!!
その目には、炎が燃えていた。
「……あんた、なんなの!?!?!?」
(やべえええええ!!!)
次の瞬間、ナスターシャが突っ込んでくる。
鋭い目つき、肩を怒らせた姿、そして何より、この世界の誰よりも気高い女の怒り!!
(ヤバい!!! ビンタされる!!!)
俺は、反射的に手を伸ばした。
「ぐぉおおおおおお!!!!」
そして、彼女の細い肩を掴み――
そのまま抱きしめた。
「えっ!??」
ナスターシャが、一瞬、驚きに目を見開く。
しかし、その瞬間――
俺は、勢い余って前のめりになり――
――唇が、重なった。
……。
………。
…………!!!!!!!!???????
会場、再び、完全な沈黙。
ロシア貴族たちの悲鳴が上がる。
「な、な、な、なにをしているの!?!?!?」
「うそだろ!!!?」
「見たか!? ナスターシャ・フィリポヴナがキ、キスを……!?」
ナスターシャの体が硬直する。
俺の脳もフリーズする。
(……え?????????)
次の瞬間――
バチィィィィィィィィィィィン!!!!!!!!
――俺の顔に、ナスターシャの鉄拳が炸裂した。
会場、阿鼻叫喚。
俺、吹っ飛ぶ。
ナスターシャ・フィリポヴナ、完全にブチ切れ。
ロゴージン(多分)、ようやく呻きながら起き上がる。
公爵(多分)、まだ転がってる。
トーツキイ(多分)、気絶したまま。
会場のロシア貴族たち、もう訳がわからない。
そして、俺――
(やっっっっっっっっっっっっっっっっっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!)
夜会の場は、完全に混乱の渦へと突入した――!!!!




