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22:転生の女神と教義をすり合わせる

【第十二章】転生の間と偽りの神


俺は、目を開けた。


そこは――真っ白な空間だった。


上下左右の概念すら曖昧な、何もない世界。


音も、匂いも、温度もない。


まるで、“創造”すら始まっていない、無時間の場所。


(……来たか?)


俺は、ゆっくりと前を見る。


そこに――


どエロい衣装の女が立っていた。


……エロい。圧倒的にエロい。


ソシャゲに出てきそうな、過剰装飾のファンタジー衣装。

太もものフリルが意味もなく揺れて、胸元は“もうそれ出てるだろ”レベル。

妙にハイレグ、妙に金色、そして羽根っぽいなにかが生えている。


彼女は、俺を見下ろしながら、艶やかな声で告げた。


「ようこそ、異世界転生の間へ。我は女神――」


「いやいやいやいや、待て」


俺は、即座にそのセリフを遮った。


(これは……いくらなんでも“いかにも”すぎる)


異世界テンプレでよく見る、“チートくれる系女神”。

明らかに“なろう系転生者”を歓迎するビジュアル。


……だが、俺は、違う。


「俺はナスターシャ・フィリポヴナを救うために、正教会に入信したんだ」


静かに、言葉を置いた。


「つまり――神は、ひとり。これは基本だ」


女神(?)の眉が、ピクリと動く。


「……何を言っているのですか?」


俺は顎に手を当てながら、じっと彼女を見つめた。


「お前は、本当に“神”なのか?」




俺は、深く息を吸い、冷静に言葉を続けた。


「つまり、神はひとり。これは基本だ」


目の前の女神(?)の眉がピクリと動く。


「……何を言っているのですか?」


「いやいや、待てよ。お前は本当に神なのか?」


俺は、疑問を抱きながら顎に手を当てる。


神は唯一である。それが基本。


しかし――


現に目の前の存在は「女神」を名乗っている。


俺は、一瞬混乱したが、すぐに冷静になった。


正教の教義に反する存在なのか?


いや――東方教会は、異教の神々を否定しなかった。

むしろ、それらを信仰の枠組みに取り込み、聖人として崇敬した歴史がある。


(そうだ……)


俺は、腑に落ちた。


ならば、目の前のこの存在は何者なのか?


俺はじっと彼女を見つめ、ゆっくりと問いかけた。


「――お前は、聖人だとしたら誰なんだ?」


女神(?)は、微かに目を細めた。


「……面白いことを言うのね」


俺は、静かに言葉を継ぐ。


「スラヴの土着信仰だって、聖人として取り込まれた。

 元は異教の神であった者たちが、正教の枠の中で受け入れられた例は少なくない」


「……ふふ」


彼女は、僅かに微笑む。


「ならば、あなたは私を、何者とみなすの?」


俺は、深く息を吸った。


「……お前が本当に神であるなら、唯一の神以外に崇めることはできない」


「でも、お前がこの世界の信仰の中に組み込まれた存在であるなら――

 俺は、お前を“聖人”として認識することができる」


「ならば、お前は誰なんだ?」


女神(?)は、じっと俺を見つめたまま、ゆっくりと口を開いた。


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