21話 王が代々受け継ぐモノ
カイン殿下の父親の話
この話はネルフィリア皇国の王のみに代々受け継がれているものである。
まずネルフィリア皇国の皇族の血筋が勇者のものであることは皇国民ならば誰でも知っていることであろう。
ネルフィリア皇国の初代の王は何人かの仲間を引き連れその当時猛威を振るっていた魔王と呼ばれる存在を倒した。
ここまでは皇国民も知っている。
そしてその仲間の血筋が公爵家や一部の侯爵家、そして一部の辺境伯家であることは貴族の一部のみ知っている。
だがこれから先のことに関しては王しか知らない。
なぜ第1皇子が王になることが少ないのか。
なぜ当時、聖女と呼ばれた女性の血筋が残っていないのか。
それは皇族の血が呪われているからだ。
時は遡り、勇者が魔王を追い詰めた時。
その時の魔王は勇者に呪いをかけた。
その呪いは『王の子孫全てが、次の魔王になる』というものだった。
この呪いは魔王が自らの命を代償にかけたものだと伝えられており代々全ての子供に受け継がれるものだった。
しかしそこで聖女が自らの命を引き換えに呪いに反発する。
結果として魔王になるのではなく、可能性を持つ程度に呪いは抑え込まれ、可能性を持つのは子孫全てではなく長男、又は長女のみとなった。
故に皇国の王は第2皇子が多い。
現に魔王と化してしまった第1皇子や姫は何人もいる。
それは全て18歳のことである。
しかし中には18歳になっても魔王にならなかった者もいた。
その者たちに通じていたのは愛するものがいたことであった。片思いであったとしてもだ。
そこで第1皇子、姫は18歳になるまでに婚約者を見つけなければならないと王には代々伝えられている。
愛するものを見つけられず18歳を迎える時。
その時は我が子を殺さねばならぬ、とも。
だから頼むぞ。カイン。
お前を殺したくはない。
いや、殺せないのだから。
17年経っても未だに私には、我が子を殺すなんて覚悟はできていない。
私には、先の王達のように冷酷にはなれない。
乙女ゲームな設定。
真の愛を見つけた皇子は魔王になるという運命から逃れられたのでした。




