22話
ごめんなさい。
この話はラブ関係ないです……
それどころかカイン殿下も関係ないです……
4。
これは私がカイン殿下の訪問、もとい視察でロスしても構わない日数です。
3.5。
これはすでにロスした日数です。
カイン殿下が倒れた日から12日と10時間が経ちました。
ちなみに今はまだ日も出ていません。
時刻で言いますとだいたい午前3時ごろでしょうか。
とにかく時間がありません。
このままでは女子会に間に合わないのです。
皇都までこのペースで進めばあと3日ほどかかるでしょうか?
あの伯爵もあの子爵も余計に時間を取らせやがっ……んんっ!
貴様らの長ったらしい演説の間にどれだけ私が暇してたか知っているのでしょうか?
全く……暇だったから不正という不正の証拠の全てを持ち帰ってきてやりましたわ。
ふぅ……落ち着きましょう。
その資料のどこにも女子力について記していなかったのは少し残念ですが仕方ないでしょうね。
馬車に揺られるのも悪くありませんが急がねば。
「殿下。私用で先んじて都に戻ります。警備は私が天使を呼び出しますのでご安心を」
殿下は寝ていらっしゃるが一応話かけておく。
「はっ?!なにを言ってるんですか?!」
「ラナン、殿下のお休みを妨げるのですか?」
「いや?そうじゃないけどさ?!問題がさ?」
全くもって問題ないでしょう。……いえ、少し警備に不安が残りますね。
「問題ないでしょう?いでよ『アバドン』」
「誰だそれ?」
私の呼びかけに対し黒い渦が発生する。
「冥府の最深部の牢番をしていた天使ですね。
それも冥府に長く居すぎて本来の主人に忘れられた挙句、堕天してしまったヤサグレシャイボーイです」
「なんかすっごい濃いキャラ呼んでる〜!?」
黒い渦がおさまると『守護神』とプリントされた白のTシャツにダメージ加工がされていないジーパン、そして背中に黒い翼を持ったフチなしメガネをした男がいた。
「あ、ども」
「じゃ、その人任せた」
「おけ」
アバドンは片手をあげ了承の意を示した。
そしてこの世界に似つかわしくない携帯ゲーム機をどこからか持ち出し遊び始めなさった。
しっかり仕事をして欲しいところではありますが彼は仕事に忠実ですからね。
よし、これでカイン殿下は安全です。
「よし。」
「いや、『よし』じゃねーよ?!完璧に堕天使じゃねーか!?」
「いえ、冥府のNo.2ですから。裏のドンですから」
「いや?!ますますよくねーよ?!ねぇ?アバドンさん?!」
なにをトチ狂ったのか知りませんがラナンが狂喜乱舞していらっしゃいます。私としてはお前のよそ見運転の方が怖いから前見てくれ。
「いやー久しぶりのシャバはサイコーだな」
「ほら見て!絶対この人!この堕天使あかん人だよ!」
「そうですか、よかったですね」
とりあえず殿下が眠っているうちにことをすませましょう。
私は馬車の窓を開け、外に向かって笛を吹く。
転移魔法よりもこっちの方が確実ですし。
何より、あれはちょっと疲れますし。
それに確かめたいこともありますし。
「し、シルフィさん。それ……」
ラナンが私の持った笛を見てなぜか震えています。
なぜ震えているのでしょう?
これは……何の変哲も無い
「ただの竜呼びの笛ですが?」
「えぇ……嘘ぉ」
「あと二、三分で来てくれるはずですから安心してくさい」
もしかしたら竜なら、私の友達の竜王なら女子力を知ってるかもしれない!ま、多分知らないけどね。
ちょっと懐かしい顔を見たくなっちゃってね。
前世ぶりか〜。殴り合って斬りつけあって酒を酌み交わしたのが最後だったなー。
ちなみに竜王は代々女性です。男の台もあったそうですが……すぐに妻の尻に物理的に敷かれるらしく権威がないことから女性優遇の社会なんだそう。
突如月明かりに陰りができる。
『ガッ……………………』
馬車が少し揺れる。
まさか見知らぬ竜が来るとは思いませんでした。
私が間違えて真空状態の空間を突っ込ませた結果、窒息して気絶したようですね。
でも竜ですし。それぐらいしないと止まりませんし。
叫ばれたらカイン殿下起きちゃいますし。
後始末と私の移動手段の確保を兼ねて、私は走行中の馬車から飛び降りて竜の元へ向かう。
「起きてください」
竜に近づくと私は思いっきり逆鱗を蹴り飛ばした。
『フワァグ?!…………?!…………?!』
竜の逆鱗は戦闘時に触れると竜が激怒する事で有名ですが城壁をぶち破るレベルの衝撃を加えると悶絶するという事実を知っているでしょうか?
交渉タイムです。
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「いい子ですね」
「も、もうやめて……」
どうやら竜王のドラ娘だったようです。
「えーあんなに小さかったのにねぇ?!
あの時は竜王も私もあたふたして生まれた時はあいつ泣いてたよ?何で家飛び出してきちゃったの?!」
「うわぁぁぁあああ、わかった。わかったから!」
「それと6歳の誕生日は食べ過ぎて吐いてたし7歳の時はお漏らししてたのにねぇ、時間が過ぎるのは早いねぇ」
「やめろっていってるでしょぉぉおおおお」
私が話しかけるたびこのドラ娘は嫌な顔をして皇都へより早く着くよう飛ぶ速度を上げるのでした。
「あ、ところでさ女子力って何?」
「は?女子力?それが何かは知らないけどお母さんが言うには恋をすれば勝手に磨かれるらしいよ?」
「……恋って何?」
「しらねぇよぉぉおおお!」




