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013-草原で経験を積もう


「――えいっ!」


 ラナの突き出した槍が、モンスター……草むらイタチの胴に突き刺さる。


 相変わらずへっぴり腰だが、突くだけなら問題なくなってきた様子。

 後の問題は命中精度だが、この草原に出るバッタとイタチは体が細いので、槍初心者に戦わせるのは、少し難易度が高いかもしれない。


 現に、今倒した草むらイタチは、俺がある程度戦って傷をつけた後、散々に槍の練習台として的にされた為、傷だらけのズタボロ状態で、動けなくなった所にようやくクリーンヒットが入った次第である。


「うむ。段々と当たる様になってきたな!」


 偉そうに頷きながら言う。

 多分、俺の槍の腕前は、ラナとたいして変わらないと思う。ただ、ラナよりは度胸があり(人並とも言う)、効率的な物の考え方をするので、総合では俺のが上だろう。現時点では。

 ラナはこのまま槍の技能を伸ばして、中衛ポジに置く予定だ。


「じゃあ、回収をしよう」


 スマホを取り出して、イタチの死体にかざす。


 草むらイタチの回収素材は毛皮だ。

 毛皮と肉がお金になるのだが、肉は少ない上に安いので、回収機能で消えてしまっても気にならない。

 それに、回収機能の利点として、モンスターの死体が傷だらけであっても、回収した素材には傷が付かない事が判明している。

 だから、こうやってボロボロにしたイタチをスマホで回収すると、一瞬でキレイな毛皮が手に入る訳だ。

 とは言え、肉がお金になるのは確かなので、傷の少ない奴はスマホに回収せず確保している。


 スマホのチュートリアル『パーティーでモンスターと戦おう!』は既にクリアしているが、その後に続くモノが無かった。

 今までの経験から言うと、何らかの状態、もしくは事件が発生した際に、『○○をしよう!』と出てくるパターンだと思う。

 だからまあ、現状維持。モンスターを狩って経験を積んで、冒険者生活を続ければいいか、と考えている。


「えっと、周囲にモンスターは、居ない、と思います」


 ラナが戦闘終了後、周囲の警戒をしてくれている。

 今までは、慣れない戦闘でいっぱいいっぱいの彼女であったが、戦闘後に周囲を気に掛けるぐらいにはなった。後は戦闘中にもそれが出来れば文句はない。

 元々、モンスターとは戦わずに採取生活を送ってきたラナの索敵能力は、俺より上である。今後も頼りにさせてもらおう。


「そろそろ昼だから、休憩しよう。……あの辺り、草が少なくて見晴らしが良い。休憩に丁度いいんじゃないか?」

「……ああいう場所は、草むらイタチの、巣穴があったりしますよ?」

「えっ、そうなの。……まあ、行ってみよう。あればしゃーなし、なければよし、だ」


 結局の所、巣穴は無かったのでそこで昼食と休憩をとった。


 休憩中、草原を見回していると、チラチラと人影が見える。同業者――つまり冒険者。しかもこんな草原に来るとは。

 このテッサ北の草原は、モンスターが弱く、数も少ない為、”星無し”の中でも底辺の連中が来る所、らしい。経験者談。底辺のラナさん曰く、である。


 まぁ、俺も好きでここに来ている訳ではない。モンスターの数が少ない、イコール複数敵と戦う危険性が低い、という事であり、戦い慣れていない俺達には都合のいいフィールドだからだ。

 現に、今まで遭遇したモンスターで複数なのは一度だけ、草むらに男爵バッタが二匹居た程度だ。一匹はラナが槍を振り回して牽制し、俺が一匹ずつ仕留めた。ラナの槍は一度も当たっていなかったが、一人である程度善戦?できた事が嬉しかったらしい。


「うわぁぁー」


 遠くから叫び声。

 見ると、誰かが走っている。あ、こけた。

 そこに飛び掛かる影。……あの大きさは男爵バッタだな。

 しばらくガサガサした後、つんのめりながら走り出す人影。

 対する男爵バッタは、バッタらしい跳躍からの滑空攻撃! ミス! 方向がずれた!

 人影はそのまま走り去って行った。バッタの奴も諦めずに追って行った。


 助けに行かないのかって? いや、遠いし。離れて行っちゃったし。赤の他人を助ける趣味は無いよ?

 第一バッタに負けるなんて、冒険者向いてないんじゃ。

 チラリと、バッタに負ける自信のある狐耳ちゃんをチラ見する。他人事とは思えないのか、不安げな表情で走り去った方向を見ていた。



 昼休憩の後、さらにモンスターとの戦闘を重ねていた際。

 ラナの槍アタック(振り下ろし)によって潰れたバッタをスマホで回収した瞬間、


 ポン!


 『レベルが4に上がった!

  ダンジョンマップ機能が解放された!』


「ファッ!?」

「ふぇっ!?」


 おおおおおお脅かすなよお前! 何なん? レベルアップ!?

 え? 今、このタイミングで?


「どっ、どうかしたんですか?」

「え? ああ、いや、うん、何でもない」


 レベルアップ……てっきり、チュートリアルのクリア数なんかを規定数満たすと行われるもんだと思っていたが、素材回収時に起きるとは……。条件が複数あるのか?

 いや、それよりも解放された機能だ。


 『ダンジョンマップ機能』。


 あるのか、ダンジョン。


「なあ、ラナ。ひとつ聞きたいんだけど」

「何ですか?」

「この辺にダンジョンってあるの?」

「ダンジョンですか? いえ、聞いたことありませんが……」


 マジかよ。何なん? 何々なん? 解放する機能間違えてない?


「あの、この辺じゃないですけど、テッサから南に行った先の荒野になら、たまに遭遇するらしい、ですよ?」


 テッサの南か。モンスターはここよりだいぶ強いという話だが……って、あれ?


「”遭遇”? ダンジョンって”遭遇”する物なの?」

「はい。えっと、入り口だけがぽっかりと空いていて、中は別世界が広がっていて、最奥の核を壊せば討伐する事ができる、モンスターです」


 ラナは頭を捻って記憶を絞り出しながら、そう語る。

 ええー、別空間式ダンジョン型モンスターかよ。

 次の目標それなの? いきなり難易度高くない? もっとこう、進行度に合わせた順番をだな……


「いや、そんな話をしている場合じゃないな」


 顔を振って話を切る。ここは弱いとはいえモンスターの出るエリアだ。油断厳禁。


「周囲を警戒、モンスターは居ないな? なら、そろそろ街へ帰って――」

「あっ、はい。……えっ?」


 ラナが突如、目を見開いて固まった。

 急に何が。俺もその方向を見ると、ラナと同様に固まってしまった。


 何故なら、そこには、草原のど真ん中に、木製の扉が、ぽつんと立っていたから。



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