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ノンデリ男の敗北 ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~  作者: アル


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第23話「凛ちゃん、大好き!」

十月上旬。

昼休み、俺は田中と小川を大学の中庭へ呼び出した。


二人に報告したいことがあったからだ。

付き合い始めてから何度も言おうと思っていたのに、凛と一緒にいるだけで浮かれてしまい、すっかり後回しになっていた。


「二人に大事な話があります。」


俺が改まって切り出すと、田中はベンチに座ったまま面倒そうに俺を見上げた。


「冬城さんと付き合った話なら、もう知ってるぞ。」


「えっ!?」


思わず大きな声が出た。

隣にいた小川も、小さくうなずく。


「詩織から聞いた。」


「それを小川から俺が聞いた。」


「なんで!?」


俺が一番に報告して、二人を驚かせるつもりだったのに。


「お前なら、もっとすぐに言うと思ってたわ。」


「言おうとは思ってたんだよ。でも、付き合った凛ちゃんがかわいすぎて、それどころじゃなかったっていうか。」


「はいはい。」


田中が呆れた顔で手を振った。


でも、待てよ。

小川が詩織から聞いたということは、凛が先に詩織へ話したということだ。

凛の性格を考えれば、わざわざ自分から恋愛の話をするなんて珍しい気がする。

俺より先に、付き合ったことを報告してくれていたんだ。

俺だけが浮かれているわけじゃない。


そう思うと、頬が勝手に緩んだ。


「なに一人でにやけてんだよ。」


「だって、凛ちゃんのほうが先に言ってたんだなって。なんか、すげえ嬉しい。」


「お前、本当に冬城さんのことになると単純だな。」


田中に笑われたところで、中庭へ向かって歩いてくる三人の姿が見えた。

凛と美奈、それから詩織だ。

凛は俺たちに気づくと、いつもの落ち着いた足取りでこちらへ近づいてきた。


「何を話してたの?」


「凛ちゃん!」


「なに?」


俺は凛の前まで駆け寄った。


「みんなに、俺たちが付き合ったこと話してくれたの?」


凛は一度だけ瞬きをした。


「話したけど。隠すことでもないし。」


「そっか。」


「何か問題あった?」


「ない。全然ない。むしろ、めちゃくちゃ嬉しい!」


嬉しさを抑えられず、その小さな身体を抱き上げるように抱きしめた。


「凛ちゃん、大好き!」


「ちょっと、夏樹くん!」


挿絵(By みてみん)


凛の足が一瞬地面から離れる。


腕の中で慌てた凛は、すぐに俺の肩をぽかぽかと叩き始めた。


「下ろして。みんな見てるよ。」


「痛くない。」


「痛くしてないから!」


顔を上げた凛の頬は、分かりやすく赤くなっていた。


その顔がかわいくて、俺はますます離したくなくなる。


「夏樹、そういうのは二人のときにしなよ。」


美奈が呆れながらも楽しそうに笑っている。


その隣では、詩織が少し頬を赤らめながら俺たちを見ていた。


「人前で抱きつくとは思わなかった。」


「俺も。」


小川と田中まで冷静に眺めている。


「ほら、みんな見てるって言ったでしょ。」


「別にいいじゃん。凛ちゃんが俺の彼女だって、みんなに見せたいし。」


「そういうこと、大きな声で言わないで。」


もう一度肩を叩かれたけれど、やっぱり少しも痛くなかった。

俺が腕を緩めると、凛は慌てて地面に足をつけた。


けれど、すぐに離れていくことはなかった。

恥ずかしそうに顔を伏せながらも、俺の服の裾を小さくつかんだままだった。

その手に気づいた瞬間、また抱きしめたくなったけれど、今度はどうにか我慢した。


付き合えただけでも夢みたいなのに、凛が俺とのことを友達に話してくれていた。

たったそれだけのことが、どうしようもなく嬉しかった。


「凛ちゃん。」


「今度はなに?」


「やっぱり大好き。」


「……知ってる。」


そっけない返事だった。


それでも凛の手は、俺の服から離れなかった。



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