↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第7章 領地運営は苦し楽し
89/103

■■■ Step070 いつまで経っても安定しない日々

「私たちとの昼食会を辞退しようとしたって聞いたけど、本当なの?」


シャーリー様が前髪で目を隠しながら問いただして来た。

いやいや、本当に怖いから勘弁して欲しいのですが?


「いえ、皆様との昼食会とは聞いておりませんでしたよ?そもそもニアラブ様が脅したからであって、それがなければ辞退なんてしようと思ってませんでしたよ」


と、我ながら良い言い訳だな。情けないけどな。


「本当かしら...クウィル、そこはどうなの?」


リリャン様が実の息子であるクウィルお兄様に尋ねる。実母からの質問に嘘は言えないだろうという事だろうが、そこは問題ない。


「リョウの言っている事は正しいですよ?お爺様が『恐ろしゅうて無理』とおっしゃってましたから」

「もう...お義父様ったら...まぁ良いわ。この件は不問にしてあげます」

「ありがとうございます」


危なかった~...このまま追及されたら絶対に負ける所だった。実は、奥様方との昼食会だと分かっていたという事が...。


「ねぇリョウ。本当に私たちとは思わなかったの?ルーヴが『綺麗な花園』って言ったのに」


おぉう...ヨルージュ様はそこを突いてきますか...。


「すみません。本当に美しく綺麗な花園が王城の中にあると思ってしまいましたもので...もちろん、皆様も美しく綺麗なご婦人である事は分かっていますよ」

「まぁお上手ね」


嬉しさ半分、疑い半分という顔だな。まぁ、あからさまな褒め言葉だから警戒させたかもな。


「はいはい、奥様方。食事を始めさせていただいてもよろしいでしょうか?料理が冷めてしまいますよ?」

「あら?それはいけないわね。ルーヴ、始めて下さいな」

「承知致しました」


やっと昼食にありつける...。ちなみに私の後ろにはカラーが控えている。カラーは食事が出来ないからな。だが私から離れるのは嫌がるので結局こうなったのだ。


食事が出てきたので、喋るよりも咀嚼する方で口を使う事に専念する。うん、お城の食事は本当に美味しいな。場所がこんな花園の檻でなければもっと美味しく感じられるんだろうが...。ん?それにしても何故こんな事になっているんだ?


「そう言えば先日、ルーヴをエルセリアに連れて行ったそうね。急に連れて行ったのでビックリしたわよ?」

「そうよね。しかも夜に連れ去ったって聞いて、リョウもなかなかやるじゃないって思ってたんだけど、翌日の朝にはルーヴが居たのでもっとビックリしたわ」

「聞けば女子会?をエルセリアでしたんですって?どうして私たちを呼んでくれなかったの?」


リリャン様、シャーリー様、ヨルージュ様の三段攻撃...さしずめジェットストリームアタックだな。何気に攻撃力が高いぞ。


思わず傍に控えているルーヴをちょっと睨む。一切こちらを見ず、薄く目を瞑って俯いている。「ゲート以外は口外禁止って聞いてません」と言っているようだ。まぁ確かにそうなんだけど。


「皆様方を夜連れ出すのは流石に無理でしょう。そんな事を言えば旦那様方に確実に殺されますよ...」


これは本音だ。


それを聞いたリリャン様がため息をつきながらつぶやく。


「確かにそうですね...特にヨルージュは身重ですから絶対にダメでしょうからね。じゃあ、今度私たちでしましょうか?」

「それが良いですね」


リリャン様が納得してさらに提案する。うん、それが一番の解決方法だと思うよ。

シャーリー様も賛成しているし。


「でも...私たちだけって...いつも通りですよね~...」


おっと、ヨルージュ様って結構鋭いのかも?確かにいつも通りなのかな?


「確かに...じゃあルーヴを入れて」

「シャーリー様、お待ちください。私を入れたとて、それでもいつも通りではないかと...」

「あ...それもそうですね...どうしましょう?」


シャーリー様が悩み始める。


「やはり、エルセリアに行くしかないのではないのかしら?」

「そうよね~...私としてもタニアとリアと女子会をしてみたいし...」


ヨルージュ様はエルセリアにどうしても行きたいみたいだな。

あとシャーリー様は娘達ともっと色々とお話をしてみたいようだし...う~む...。


正直、奥様方をエルセリアに連れていくのは無理だ。そもそもヨルージュ様は安定期に入っているようだけど、無理は禁物だ。

お子様が生まれたら女子会どころではないからな。出来れば生まれる前にするべきだろう。とは言え、すぐに決める事はどうやっても無理。


「あの...女子会の件は一度帰ってタニアたちに話をしてみたいと思います。ただ、皆様もそうですが、タニアたちも直ぐには動けません。女子会をするならば王城に参加する女子を集めるのが良いでしょうから、この件は一度私に預けて頂けますか?ヨルージュ様のお子様が生まれる前に実施する必要はあると思いますが、まだ猶予はあると思いますので...」

「まぁ!じゃあ女子会が出来るのですね?」


ヨルージュ様が目を輝かせて喜ぶ。が、絶対ではないんだよなぁ~...。


「皆様には正直に話をさせていただきますが、女子会が出来るとは確約は出来ません。が、尽力させていただきます。それで良いでしょうか」

「どういう事でしょうか?」

「先ほども申しましたが、奥様方は簡単に首都から動く事は出来ません。そして、それはエルセリアの女子たちも同じです。多数の女子を首都に移動させるのには調整する時間が必要です」

「はぁ~...確かにそうですよね...ごめんなさいね...」


リリャン様は納得されたようだ。いや、謝られても困るんだが...。


「いえ...私は男子ですので女子会の事は分からないですが、参加した女子は翌日は本当に元気で...楽しかったというのがよく分かります。ですので、皆様も参加いただければ、とても元気になられるかと...是非実現出来るようにしたいと思います」

「女子会ですものね~...確かに男子は参加不可だわね~」

「あ!じゃあ私たちだけの女子会に参加する?私たちは歓迎するわよ?」


なぬ!?それは却下!!


「いえ...その...過去に一度参加しちゃった事がありまして...」

「え!?本当!?」


シャーリー様が驚かれる。まぁそうだよな。ちなみにあれは私が大学四年でユリが大学二年、輝が中一で葵が小四の時だ。


「幼馴染みと年少の少女たちがパジャマパーティー...あ、女子会をするからって参加要請をされまして...」

「ほうほう!それで!?」


ヨルージュ様がものすごく興味津々になっている。が、何を期待されているんだ?


「結論から申し上げますと...女子会での会話内容は男児には刺激が強すぎるので、本当にそれは勘弁していただきたく...」

「え?そうなの?」


当時はユリが二十歳になったので、お酒を飲みたいと言い出し、輝が気を利かせて私を招いたのだが...あれはカオスだった...。


「あ~...奥様方、リョウ様の話は納得出来ます。私も先日参加しましたが、リョウ様は本当に参加出来ません」


と、先日パジャマパーティーに参加したルーヴが言いづらそうに補足してくれた。

援護はありがたいが、何かあったんだな...。


「私たちだけでもですか?」

「一応お聞きしますが、どういう話にリョウ様を巻き込むおつもりですか?」


シャーリー様の質問に、さらに質問を返すルーヴ。こういう率先して整理してくれるのは助かる。


「そりゃあ...旦那様の事とか?」

「それ、生々しい話ですよね?」

「あ...」


うん。皆さん仲良しさんなんですね。でも、本気で勘弁してくださいね。旦那様方と話しづらくなるので...。


「絶対に無理ですのでご勘弁ください」

「こほん...そうですわね~...」

「え?でも、そういうのを気を付ければ大丈夫なのでは?」

「無理だと思います。女子だけの会話って解放されがちじゃないですか?皆様も私だけが立ち会う東屋での会話は旦那様にも聞かせられない内容かと...」

「う...」


リリャン様が頬をポリポリ掻きつつ納得された。が、ヨルージュ様はまだ抵抗している。が、結局ルーヴにトドメを刺されて敢え無く沈没...。


「ともかく、女子会については実施出来るように考えますので、猶予をください」

「分かりました。お任せしますね」


ふう~...矛先がずれて良かったよ~...。

男子としては女子会の内容に興味があるのは事実だけど、あの居たたまれない思いは勘弁なのだ...。



昼食会も終わったので、ルーヴにお願いしてニアラブ様に面会させてもらった。色々と報告する事があったからな。


「なんじゃ?儂は忙しいのじゃぞ?」

「もちろん承知しております。が、カリナからの報告書を預かっておりますので、それを渡さなければと...」

「そういう事は早く言うのじゃ!!」


何故私が怒られるんだ?理不尽すぎる。まぁ、良いけどね。


「あと、私からも報告があります」

「お主からの報告?なんじゃ?」

「クラスタンプにて怪しい動きがあります」

「なんじゃと!?」


そりゃビックリでしょうね。40日前の領主暴動後、追加の軍を送ろうとしていたが、私の嫌がらせで諦めさせたのだが、またしても蠢動を始めたからな。

ちょっと間隔が短いんじゃないのか?


「3人一組の隊が3組、クラスタンプの王城から出て、こちらに向かっております」

「いつ出た?」

「今朝ですね。私がエルセリアを出たのと同じ時間です」

「諜報活動か...」

「まず間違いなく」

「お主の考えは?」


え?そこで私の意見?

と、驚いている私を鋭く見ているニアラブ様。う~ん、これは単純に試されているんだろうな...私は政治には興味はないのだが...。


「まず、今回の諜報活動の目的が知りたいので、しばらく泳がせます」

「で?」

「行動を監視して、目的が分かった所で捕らえるつもりです」

「最初から捕えておけばよいじゃろう?」

「本人たちが知っている可能性は低いですよ?調査対象だけを指示された可能性もあります」

「ふむ...それこそ単なる道具という事か。よかろう。こちらも黒梟を動かす。任せたぞ」

「はい...え?」


任せたってどういう事?


「え?とはなんじゃ?」

「任せるって...なに?」

「お主に任せるんじゃ。それが一番早いじゃろ?」

「なんで?」

「情報を持っとるのはお主じゃろ?お主が黒梟を使って対処しろ」


まさかの丸投げ!?


「...ちなみに、黒梟は何名ですか?」

「3人一組が3組か...では4人じゃな。今日中に見繕ってエルセリアに向かわせる」

「決定事項なんですね?」

「決定じゃ」


そういうと机の上に置いてあった竜の置物を捻る。

ん?置物じゃなくって、何かの装置?そういや、この部屋には防音の魔法がかかってるんだよな...要は呼び出しベルみたいなものか?


と思っていると、ドアを叩く音がする。


「はいれ」


ニアラブ様の許可を得て、黒ずくめの壮年の男性が入って来た。


「ガルド、クラスタンプから3人3組の諜報員がこちらに向かって来ている。黒梟から4名選び、今日中にエルセリアに向かわせよ」

「承知しました...が、その情報は本当ですか?私は何も聞いておりませんが?」

「このエルセリア領主の副官からの情報じゃ。今朝、クラスタンプの王城から出たので、お主たちが知らぬのも当然じゃ」

「ほう...この方が悪名高き副官殿ですか...」

「悪名って...いや、否定はしないけど...私がリョウ・カダヤだ」

「私は黒梟の部隊長を務めている。ガルドと呼んでくれればよい」

「4名には一時的にリョウの配下になってもらう。エルセリアに到着後はリョウに従うように」

「承知しました」


それだけ会話をすると、ガルドが部屋を出ていく。っていうか、本当に決定しちゃった~...。


「他に報告はないのか?」

「あ~...えっと、あります。テクスについてです」

「そう言えば、そういう話もあったのう。こっちはまだ調査中じゃが...」

「テクスは手記を残しておりました。そこから分かったのは、『邪魂霊書』という書物を読み、その記載内容を解読してヴァンパイアになったようです」

「『邪魂霊書』じゃと?」

「はい。タニアは近隣の年端も行かぬ少女を拉致して実験に使ったと言ってましたが、実際にはヴァンパイアになる為の生贄にしたようです。具体的な方法は言いませんが、本当に愚か者の所業ですよ」


年端も行かぬ少女...正確には10歳前後の少女に、ある儀式を行い...「ある事」をする。それを100日間実施する事で下地が出来る。その後は食事を...「ある物」に変え、身体を馴染ませていく。そして最後は儀式によって自害するのだ。

身体の馴染み具合にもよるが、テクスの場合は死後14日でヴァンパイアとして復活したらしい。

そこからは約300年かけてヴァンパイアとして完成させる為に、15歳以下の少女の血を啜り続ける。だから、エルゼは出来るだけ永らえさせられていた訳だ。長く血を啜る為だけに...。


あの廃墟がアンデッドの巣だったのは、奴によって殺された少女たちの魂と肉体が彷徨っていたって事か...。


もう終わった話だが、やはり俺以上の悪だったな!


「ご主人様!」

「おっと!失礼しました...」


また黒いオーラが噴き出していたようだ。ルーヴが固まっている。が、ニアラブ様は鋭い目で見ているだけだが、ふっと息を吐きいつもの表情に戻る。つまり、好々爺の顔にだ。


「良い。なるほど、儂も聞かぬ方がよさそうじゃな...ともかく『邪魂霊書』という書物を中心に探れば良いのじゃな。それは任せよ」

「お願いいたします」

「そうじゃ、例の魔狼の事なんじゃがのう?」

「あ...はい」


そろそろ結論が出るんじゃないかと思っていたんだよな。


「お主の事じゃから、難しい問題だというのは分かっておろうが、そもそも魔狼狩りは貴族の嗜みじゃからな。止めるのは無理じゃし、そもそも魔狼は危険な魔物じゃ」

「でしょうね。私もその意見に賛同します」

「じゃが、その『ロボ』という魔狼が率いる群れは保護するんじゃろ?」

「出来る限り」


これは私だけの誓いだからな。


「じゃあ、これはお主に任せる。正直お主が勝手にする事の尻ぬぐいをこっちがするつもりはない」

「私になんとかしろ...とおっしゃるのですね」

「そうじゃ。あと、これも申し伝える。もし、この件で貴族を殺した場合はお主は罪に問われる」

「当然の処置ですね」


ここで法を曲げるのは良くないからな。


「なら、分かっておるな」

「バレなきゃ良いんですね」

「...それがどれほど難しいか、分かっておるのか?」

「分かっていますよ。ですが、大丈夫です。私もむやみに貴族を傷つけるつもりはありませんから」


それを聞いて、ニアラブ様が深いため息をついた。


「ふぅ~...本当に問題ばかり持ってきよるわ...」

「申し訳ありませんね。ですが、何も言わずに勝手にする訳には行かないと思いましたので、カリナには悪いですが報告してもらったんですよ」

「お主にカリナを預けたのは間違いじゃったかの...」

「そうでもないと思いますよ?で、ニアラブ様にはこれをお渡しします」


と、懐から出したのはスマートフォン。300gはあるけどね。


「そ...それは...」

「はい。これでいつでもカリナと連絡が出来ますよ。あと、大変申し訳ありませんが、連絡できるのは私とカリナだけにさせていただいています」

「タニアとリアとは連絡できんのか!?」

「あ~...あとで出来るようにしておきますよ。ともかく、カリナがしっかりと仕事をしているので、これはその御礼です」

「ふん...まぁありがたく貰っておくわい...ん?これはルーヴには連絡できんのか?」

「できません。同じ王城に居るのですから不要でしょ?」


本当は、ルーヴから拒絶されたのだが、それを言うと角が立つからな。

ちらりとルーヴを見ると小さくウィンクされた。「ありがとう」の意味だろう。


「う~ん...そうなんじゃが...」

「基本的に、これは遠くの人と連絡を取るためのものです。近くなんですから不要ですよ。それに私は王城にはニアラブ様とルーヴ以外にはこれをお渡ししません」

「...あい分かった...」


王城での用事も終わり、ニアラブ様にお暇を告げる。

扉から出る時、ニアラブ様から声がかかった。


「黒梟は三日後にはエルセリアに到着するハズじゃ。あとの事は任せる」

「分かりましたよ...」

「嫌そうじゃな」


嫌なのではなく、面倒なんだよな...人を使うっていうのは面倒なんだよな...。

あ、そうだ。


「そんな事はありません。人手を出していただけるのは助かります。ただ、私の下に付くのは良いのですが、間にカリナを入れるので、カリナの直下になる。という事はあらかじめ伝えておいてくれませんか?」

「なんでそうなるんじゃ?」

「カリナの訓練も兼ねてますので...」

「はぁ~...分かったわい。ちゃんと伝えておこう」

「よろしくお願いします」


よし。カリナには頑張ってもらうぞ。



さて、今回の王城訪問の目的、クウィルお兄様にレイピアを渡す件、クラスタンプが動いた件、テクスの件は伝えた。

結果として、黒梟が4人来る事が決まり、ロボの事は丸投げされた。あ、黒梟の件も丸投げと言えば丸投げか...。まぁ、人手が増えるのは助かるか。


じゃあ、エルセリアに戻ろう。



帰りは素直にトモニア近くの橋を通る事にした。電龍で河を渡る実験は成功しているので、もういいだろう。

電龍のみなので、それほど心配して橋を渡る必要もない。


なんだかんだで、3時間程でエルセリアに着いてしまった。

やっぱり電龍は速いな。


「ただいま。予定通り、今日中に帰って来たよ」

「おかえり。予定通りだな。知ってはいたが、やはり電龍は速いな。今度は二人で首都まで行ってみたくなったぞ」

「そうだな。領主を辞任したら、世界を周ろうか」

「約束だぞ?」


予め到着予定時間をタニアに伝えておいたら、砦の門前で待っていてくれたようだ。


「お兄様、お帰りなさい」

「お帰りなさい」

「うん、ただいま」


うんうん。可愛い妹たちのお出迎えは嬉しいな。


「お帰りなさいませ、了お兄様」

「お帰りなさいませ、了お兄様」

「あ...あぁ...ただいま、葵、輝...」


あ~...うん...なんか殺気が見え隠れする大阪の妹たちなのだが...なんでだ?てか、なんで輝が私を「了お兄様」って呼んでいるんだ?


「あはは~...了くんお帰り。往復130kmなら一日で往復出来るんだね~」


冷や汗をかきながらユリが私を迎えてくれた。輝と葵の空気を読んでいるんだろう。


「...リョウ様...お帰りなさいませ...早速ニアラブ様から連絡がきました...」


と、青い顔をしたカリナが一歩前に出て報告してきた。


「あ~...こっちに戻る前に渡したんだが...なんかあったか?」

「私の先輩4人がこっちに派遣され、私の配下になると...」

「...えっと~全員先輩なのか?」

「私が一番下っ端だったんですが...」

「...頑張れ~...」

「そもそも、何をするのか聞いてないんですけど!?」

「それはあとで説明するよ」


まだ夕食前だし、一旦タニアの執務室に戻って報告だな。



「さて、色々報告と相談があるんだよね...」

「報告は分かるが相談?」


タニアの執務室にはいつものメンバー、タニア、リア、ミーム、パストング、カラーと、新規メンバーのマリア、カリナ、そして何故かユリ、輝、葵が居る。あ、キャリーも当然の如く部屋に居るな。

私を含めると12人。過去最多だな。


「あぁ、王城でリリャン様、シャーリー様、ヨルージュ様から頼まれたんだけど...女子会がしたいと言われたんだよね」

「女子会!?パジャマパーティーを!?お母様たちが?なんでまた?」

「ルーヴが報告したんだそうだよ」


リアの疑問に答えておいた。っていうか、本当の疑問はそこではないんだろうけど。


「え?会話の中身を説明したんやろか?」

「それは無いみたいだったぞ?単に楽しそうだからしてみたい、体験したいって事だったし」

「...お母様は新しい事が大好きだからな...」

「アタシの好奇心はお母様の影響だもんね」


私はパジャマパーティーの内容は全く知らないが、また危険な話をしていたのか?あと、シャーリー様は好奇心旺盛なのね。


「で、お母様たちが女子会をしたいのは分かったが、相談って何だ?」


そうだよねミームさん。知りたいのはそこだよね。


「奥様方だけでの女子会だと、いつものメンバーになっちゃうから、結局いつも通りの会話になるって事らしくてね。で、参加人数を増やしたいって言っててな...みんなに参加して欲しいんだよね」

「私たちが?」

「おいおい...王妃様に皇妃様に大将軍婦人相手に女子会をするのか?」

「そういう事だよ」


キャリーが驚き、ミームが簡潔に状況を説明した。てか、分かるか。


「え!?すご~い!!」

「滅多にない機会やね!」

「あんたたちはポジティブやね~...まぁ、私も楽しみではあるんやけど」


葵と輝が喜び、ユリもまんざらでもないらしい。


「大阪組は参加希望って事か...あと、タニアとリアは問題ないとして、他には?」

「私は遠慮しますね」

「私は興味ないので」


カリナとマリアは不参加ね。まぁ、強制ではないからな。


「私はご主人様の指示であれば参加しますが...奥様方にはゴーレムは興味ないでしょう」

「それはどうだろうね。シャーリー様は好奇心旺盛って事は、カラーにも興味があるんじゃないか?」

「そうですか...ご主人様が参加しても良いとおっしゃるなら、私は参加しますが...」


う~ん...カラーにはちゃんと自分で考えて欲しいんだけどな。


「いやいや、私は指示は出さないよ。ちゃんと自分で判断してくれ。参加するのも辞退するのもカラーの自由だ」

「自由ですか...私は女子会よりもご主人様の傍にいる方が意味がありますので、辞退致します」

「辞退の理由はともかく、カラーが決めたのならそれで良いよ。あとはキャリーだけど、ルーヴも参加だろうから、君も参加する方がいいんじゃないかい?」

「そうですね。私は参加の方向でお願いします」

「よし。じゃあ、参加者はタニア、リア、ミーム、ユリ、輝、葵、キャリーだな」


大阪組参加だと、基本は土日...いや、土曜日の夜しかないな。でもまぁ、なんとかなるだろう。


「当然ながら、副官と私は不参加ですよね?」

「女子会だからな」

「じゃあ、男子会でもすればよかろう?お爺様に言えば...」

「やだ!」

「まぁ、そうだろうな...」


そもそも男子会って言うよりも単なる飲み会ぐらいで良いだろう。


「王家の方々は不参加の方向で、こっちは飲み会でもするか。パストングやエリーズ、アラノスと...そういやスバン君も呼んでみようか?」

「スバン...誰だ?」

「お屋敷のお隣さんじゃないですか...お姉様、もうお忘れでしたか?」

「興味が無かったからな。そういやそうだったな」

「ひでぇ...」


ともかく、女子会の件は調整のみになったな。


「あと、報告だけど、今朝私が首都に向かったタイミングでクラスタンプから3人一組の諜報部隊が3組、こっちに向かっている」

「それは本当か!?」


タニアが驚く。っていうか、カラーを除く全員が驚いている。


「本当だ。そして、その事をニアラブ様に伝えたら、黒梟を4人こっちに派遣して下さると言っていた。三日後にエルセリア到着予定だ」

「あ、カリナが頭を抱えていたのはこの件だったのか」

「はい...先輩が4人も...本当にどうしましょう...」


タニアはカリナから何も聞いてなかったようだな。まぁ、カリナは私の配下になったし、タニアもカリナが私の配下になった事はちゃんと伝えておいたから気にしてはいないようだな。

ちなみに、タニアの任せる所は任せるっていうのは、なかなか出来る事じゃない。


「ま、全部カリナに丸投げするつもりはないから安心して。ただ、私から指示を出すよりも、良く知っているカリナからの方が良いと思ったんだ」

「うぅ~...おっしゃる事は分かるのですが...いえ、仕事はちゃんとさせていただきます」

「ごめんね。さっきも言ったけど丸投げしないし、相談にはちゃんと乗るから」

「お願いします」


さて、残る報告はあと一つ。


「で、ロボの事なんだけど」

「ロボ?ロボットでも作ったん?」


最速で輝が反応した。目がキラキラしているが、残念でした。


「ちゃうわ。狼...魔狼に『ロボ』って名前を付けてやったの。あと、その奥さんは『ブランカ』な」

「マジ?」


残念そうな表情と、意外そうな表情をしている。器用だな。


「マジ。で、そのロボの事なんだけど、丸投げされた」

「丸投げ?」

「私の方でコッソリとやれ。バレるな。って言われた」

「ま、そうだろうな」

「それしかないわよね」

「そもそもリョウが勝手に誓いを立てたんだから、自分で尻拭かなきゃな」


タニア、リア、ミームの順に言いたい放題言われた。まぁ、否定出来ないんだけどな。



「で、最後の相談...というか、決定事項ではあるんだけど...」


直近での行動計画について話をするべく、口を開いた。


「エルゼの生まれ故郷に明日行こうと思っている。行くのは私とカラー、そしてカリナだ」

「ん?ブルラトに行くのか?それはまた急な話だな」

「あぁ、忙しくなる前に確認しようと思ってな」


出来ればエルゼが歩けるようになる前に確認しようと思っていたからな。


「しかし遠いぞ?電龍でも日帰りは難しいんじゃないのか?」

「日帰りは無理だな。それにクラスタンプ領だろ?目立ちたくない。電龍は持っていくけど、移動後はベールナル大森林に隠れてもらおう。移動には裏技を使うよ」

「裏技?」

「ゲートを使って移動するんだ」

「あ~...アレね」


領主の暴動が確認出来た際に、首都から一気に戻る際に一度だけ使った裏技だ。

リアも裏技は体験したからな、思い出したのだろう。


「だったら日帰りも可能だな。で、目的は両親にエルゼの生存を伝える事か?」

「そうだ。だが...エルゼ自身は家に戻りたいと思っていないようなんだよな...」

「そうねぇ~...私もそんな雰囲気を感じるんよね~...」

「そうなのか?」


ユリが自分の感想を思わず口にするが、タニアはそうは感じてないようだな。


「エルゼは恩返しでここで働きたいって言ってるけど、一度も家族に会いたいとは言ってないからな」

「そう言えば、そういう話を聞いてないな...どういう訳だ?」

「だから、それを確認する為に両親に会うんだよ。おそらく、エルゼは教えてくれない。だったら、それ以外から聞くしかない」


ただ、分かっている事がある。エルゼには会いたくない人がいるという事だ。


「確かにな...エルゼには幸せになってもらわなきゃならん。全てリョウに任せる。が、ちゃんと私たちにも協力させてくれ」

「もちろん。今はエルゼが負担に思わないように、この件は秘密にしておいてくれれば良い。お願い出来る?」

「それこそ任せろ。エルゼとは楽しい話をするだけの話だ」

「よろしく頼む」


ともかく、相談も報告も終わったので、場も和んだところで、クウィルお兄様にレイピアを渡した時の出来事を皆に話した。



テクスの件は胸糞悪いので、後は私とニアラブ様の間で解決する事にした。

もう、エルゼのような被害者は出さない。少なくとも、俺が目を光らせている間はな...。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。