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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第1章 異世界は光の向こう側
8/56

■■■ Step008 夕食に現れた新たなマッドが場を盛り上げる

やっと一日が終わります。長かった~。

今回はリアの相棒のミームが登場し、さらにもう一人登場します。


第1章を連続投下していきます!

はじめて正面入り口から通してもらい、そのまま食堂に案内される。

「それほど大きくはないのだが」と前置きされたが、いやいや、普通に大きいだろう?

単純に高校の教室ぐらいの大きさの食堂だ。そこに大きなテーブルがあり、真っ白いテーブルクロスが敷かれている。


一番奥にも席があるが、そこには誰も座っていない。奥の席は『主の席』だろう。


左側の奥から2番目にリアが座っており、さらにその隣に褐色肌をした大柄な若い女性が座っている。

萌葱色の厚手のチュニックに深緑の麻のズボン。膝下まであるブーツを履いている。

美人と言って差し支えない容姿をしているこの娘が、おそらくミームだろう。


その反対側、右側の一番奥も空いており、その隣に男性が一人座っていた。

見たところ、年齢は20代前半といった所だろうか。

身に着けているものを見る限り、貴族なのだろう。結構良いものを着ている。

この男性がタニアの言っていた「もう1人の客」なのだろう。


「すまない。皆を待たせたようだな」


と言いながら左側の奥に向かって歩く。その際、私を右側に行くように促してくれた。右の一番奥が私の席らしい。ふむ、奥のいわゆるお誕生日席は本日は空きのようだ。

席に座る前に簡単に紹介するという事だったので、席の横に立ってみた。

それを待っていたかのようにタニアが私を紹介し始める。


「彼は私の友人、リョウ・カダヤだ。たまたま今日この街に訪れた際に私と会い、魔術の話で意気投合したのだ。彼は遠い東の国から来た。この国の作法には疎いので、多少の事は目をつぶってやって欲しい。よろしく頼む」


そこで私に目配せをする。

どうやら、私にも自己紹介をしろとの事らしい。そういうのは先に言っておくべきだろ?と、軽く睨んでやるとまたちょろっと舌を出す。

タニアには「てへぺろ禁止令」を後で出しておかなければならないな。


「リョウ・カダヤという。とにかく何も知らないと思って色々教えてもらうと非常に助かる」

「ふん。田舎者のようだが、意外とキチンとしているではないか?」


隣の男性が蔑んだような目で私を見る。

う~ん...初対面だから疎まれるような事はないはずなんだが?


「スバン...私の友人に」

「いや、田舎者なのは間違いないから別にいいよ。それよりも、紹介してくれないか」


かなり不機嫌な気配を漂わせたタニアの声に被せるように、私は無難な話をタニアに振る。

揉め事は流すに限る。


「あぁ...彼は」

「自己紹介しよう。俺はスバン。スバン・ハルルだ」


名前しか言わない。タニアたちとはどういう関係なんだろうか。

まぁ、別にどうでも良いか。あまり興味はないしな。


「リョウ・カダヤ。よろしく」


と、短く挨拶をして席に座る。

そうそう、マントと帽子と杖は部屋に入る際にメイドさんに渡してある。


「で、私はミームだ。ミーム・グラウド。話は聞いている。明日はよろしく頼む」


斜め向こうから落ち着いた声がかかる。

見るからに戦士という事が分かる身体つきだな。リアよりも若干年上のようだ。


「リョウ・カダヤだ。明日の討伐依頼に同行する事になったので、よろしく頼む」

「ああ、わかった」

「顔合わせは終わったな。では食事にしよう」


タニアが着席を促したので席に座り、食事が開始された。マッドな食事会の始まりだ。



前菜やら、スープやら、主菜やらが並べられ、食事が開始された。

当然、私は日本人なので手を合わせて「いただきます」と言い、食事を開始する。


「それはどこの宗教だ?」


さっそく左隣から「いちゃもん」が飛んでくる。

説明については、やぶさかではないが、まともな反応が返ってくるとは思えない。

さて、どうしようか?と思ったら、もっと無邪気な質問が飛んできた。


「リョウは東の方の国なんだよね。そこではそういうのが普通なの?」


リアが不思議そうな顔でこちらを見ている。

まぁ、確かに外国の人から見たら不思議な呪文だよな。


「あぁ、そうだ。我が国の考え方では、その命を食するのだから、食事の際には『いただきます』と言って食べ物に感謝するんだ」

「食い物も満足に食べられないという事なんだろ。貧しい国みたいだな」


初対面なのになんでこんなに噛みついてくるんだろうな。

タニアを見るとかなり険しい顔をしている。どうやら、こうなるとは思っていなかったようだな。

リアはなぜか楽しそうな顔をしている。ミームは...食事に夢中のようだ。


私としては別に何を言われても問題はない。そもそも悪の科学者たるもの、陰口が怖くては何もできないではないか!

が、友が悲しい思いをするのは少々いただけない。さて、どうしたものだろうか?


「貧しいか...そうかも知れないが、感謝を忘れない、心豊かな国だと私は思っているよ」


と、背中に哀愁を漂わせ、しみじみと言ってみた。

案の定、それに対しての反撃は来なかった。どうやら沈静化させる事は出来たようだ。

が、逆に場が白けてしまったようだ。ちょっと反省。


気を取り直すべく、一口ワインを口に含む。

おぉ!?これはなかなか...。


と、思っているとタニアがスバンをちらりとも見ずに質問をしてくる。


「今日のスバンはどうしたんだ?」


タニアは流してくれなかったか...ありがたいが流してくれた方が嬉しかったな。


「俺が来たのは迷惑か?」

「そうは言わないが、私の客につっかるのはどうしてだ」

「つっかかってないよ。思ったことを口にしているだけだ」

「それを私に信じろと?」


アカン...なんかタニアはん...マジで怒ってるよな?

それが分かったのか、スバンは気まずそうにそっぽを向く。自業自得だな。


「あら?お姉様はスバンがそういう態度をしている理由、分かんないんだ?」


その様子をニヤニヤしながら見ていたリアがおもむろに爆弾を落としてきた。


「リアは分かっているのか?」


驚いたタニアの顔にリアのあの表情。そして、スバンが耳まで真っ赤になって引きつった顔。


ははぁ~ん...なるほど、私にも読めてきた。これは楽しい状況だったわけだ。

まだタニアは分かっていないようだ。しかし、リアは私が「気が付いた事」が分かったらしい。

私を見てニヤリと嗤い、そして私も同じようにニヤリと嗤う。そして、隣の人物を眺めやる。当然、ニヤリ嗤いのままで。


それを見ていたスバンの表情が赤から青に一気に変わる。

スバンの喉が、ごくりと鳴った。


「もちろん!お姉様、あのねぇ...スバンはねぇ...」


と、わざと語尾を伸ばすリア。

すると、当然そこにかぶせてくるスバン。


「わぁ!!ちょっと待てリア!!お前は何の話をするつもりなんだ!!!」

「え?そりゃあ、スバンがぁ...お姉様にぃ~...」


怯みもしないリア。良い根性している。


「わあわあわあわあわあわあ!!!!!!」

「なんだ!?騒々しいぞ!?」


何がどうなっているのか全く分かっていないタニアは、非常に困った顔をしてリアとスバンの顔を見比べている。マジでわかってないようだ。


「本当よぉ~...落ち着いて食べれないじゃない。あ...これお代わりね」


マイペースなミームだな。あ、ワインを一気飲みしてまた注いでもらっている。

ん?そういや、この世界の成人は何歳なんだろうな。

昔の日本は15歳が元服で成人扱いになるが、この世界も似たような感じなのだろうか?


しかし、こういう面白い話は長引かせるに限る!先ほど私につっかかってきた件もあるので、ここで私が介入しても不思議はない。

瞬間、リアと目配せをするとリアも目でOKを出してきた。


「そうだな。ちょっと騒がしいな。しかし、スバンが初対面の私にどうしてつっかかってくるのかが分かるのであれば、それに越した事はないと思うのだ。リア、私にも分かるように出来るだけ詳しく教えてくれないか?」


私は憂いを持たせた表情で、リアに懇願する。ちなみに「出来るだけ詳しく」の部分はかなり強調しておいた。

当然、スバンは私に体ごと向き、驚く。


「をい!!」


とは言ったが、それ以上は何も声が出ない。というか、何を言っていいか分からないのだろう。口が金魚か鯉のようにパクパクしているだけだ。

いやぁ~...楽しい!!


「そうだよね、リョウも気になるよね。ちゃんと説明すると...あれは何年前だったかなぁ...」


すかさず、リアが詳しく説明をしようとする。

そうか、どうやら昔からタニアに惚れていたようだ。まぁ、あれだけ美人であれば、さもありなん。


「そこまでさかのぼるような事が、今日初めて会ったリョウに関係があるのか?」

「そうなんだよ、お姉様。そうそう、あれはスバンが引っ越してきた翌日だったかなぁ~、その時にスバンが...」

「待て!リア!!俺が悪かったから待ってくれ!!」


泣きが入った。が、そこで許してやるほど私は良い人ではない。私は「悪の科学者」なのだからな。


「いやいや、リアが待ったら私がどうして良いか分からなくなるのだ。すまんがちゃんと説明をしてくれ、リア」

「おっ...お前!!俺に何か恨みでもあるのか!!」


私たちがすべてを理解して話を進めているという事は、理解しているようだ。

だが、ここで止まる訳には行くまい。


「まさか?ただ、辛く当たられる原因は知りたいと思うので...」


そうそう、恨みは全くない。ただただ楽しいだけだ。


「リョウにとってはそうだよね」

「すまんが私も気になるのだが...」


ついにタニアが乗ってきた。

これで私とリアの勝ちが確定した。


「お姉様もそうこなくちゃ!!」

「そうなのか?」


ただ、タニアは分かっていない。


「じゃあ満場一致で説明を始めます。スバン君はぁ~...」

「待て待て待て!!ちょっと急用を思い出した!すまんがこれで俺は帰らせてもらう!すまんなタニア!!じゃ!!」


脱兎のごとく部屋を飛び出したスバン。呆気に取られて見送るタニア。それをニタニタと笑いながら眺めるリアと私。我関せずと食事を続けるミーム。

給仕をする為に部屋にいたメイドさんたちは、それぞれが苦笑を浮かべながら我々を見守っていた。


「なんだったのだ...スバンは?」


呆気にとられた表情で、タニアはスバンが出て行った扉をまだ見つめている。

ふむ。まるでアニメのような展開になってきたぞ。

それはともかく、情報収集をしようか。


「さぁ?言葉通り急用を思い出したんだろう。そもそも彼...今日は何をしに来たんだ?」

「リョウと別れて屋敷に戻ったんだ。そうしたらスバンが屋敷にやってきて、昼に一緒にいた男は誰なんだと聞かれたのだ。どうやら街で私とリョウが一緒にいる所を見たんだろう。今夜はリョウを食事に呼んでいると言ったら、紹介して欲しいと言ってきたので夕食に誘ったんだが...」


なるほど。

ようするにだ。昼間に私と仲良く(か、どうかは主観によるだろうな)昼食を食べていたのを、見たのか聞いたのか...。

で、気になって、ちょっと確かめようとしたら、そいつ(私の事だな)が夕食に招待されていると知った。で、そいつを見に来たっていうのが本筋のようだ。


「正直こういう事になるとは思っても見なかったのでな。リョウには申し訳ない事をした。後でスバンにはちゃんと話をしておこう」


いやいや、よけいにこじれる事しか想像できないぞ、それは。

それに、それではみんなが(タニアも含め)楽しい方向にはならない。


「いや、私は大丈夫だ。全く問題ない。だから『私たち』に任せておいてくれ」


この場合の『私たち』は私とリアだ。


「いや、しかし...リアはスバンが私にと...」

「あぁ、ごめんなさいお姉様。一番早い解決はそこなんだけど、やはりちゃんと順番が大事だよねぇ~...リョウ」

「そうだな。だから、タニアは何も気にする必要はないぞ?」


これは今後もリアと2人で楽しむネタになりそうだ。


「はぁ...お腹いっぱい」


ミームは食べ終わったようだ...私を含め、タニアもリアもまだ半分も食べてないぞ。



さて、楽しい食事が済み、部屋に案内された。


「こちらがリョウ様のお部屋になります」


私の担当となったメイドさん...キャリーに部屋まで案内してもらった。

なお、ざっと見たところの年齢は恐らく25歳前後。ほぼ私と同い年だな。

小さく、可愛らしいメイドさんだが、不思議な雰囲気がある。なんだろうな?ちょっと懐かしい雰囲気なんだが...


「ありがとう」

「何か御用がありましたら、私、キャリーが隣に控えておりますのでご用命ください」


昔読んだ本では、担当の召使やメイドは近くの部屋で待機しているらしい。


「分かった。が、もう休むつもりなので君も休んでくれ」

「承知いたしました。では、おやすみなさいませ...」


キャリーは優雅な挨拶。いわゆるカーテシーだが、映像で見るよりも小さいな。

ま、私は客だが貴族ではないからな。そういう所なのだろう。


さて、割り当てられた部屋を眺める。

部屋の奥を見ると、自宅のものよりも比べ物にならないぐらい立派な寝台...ベッドが目の前にある。天蓋...いわゆるベッドの天井はない。

壁際には結構豪華な椅子と燭台。ろうそくを数本立てれる照明だな。

ちなみに燭台は部屋には合計3本ある。そこそこ明るいが、地球の照明と比べると圧倒的に暗いな。


今日は朝からずっと動き続けていたので、もう体が休息を求めて悲鳴というか...あくびが出てきた。


非常に大きく、見る限りクッションも良さそうな感じだ。思わず我を忘れてダイビングしそうになったが、そうもいかない。

きっと隣ではキャリーが私の声がかかった場合に備えて、部屋に聞き耳を立てているだろうからな。

と、変な小説の読みすぎか?


まぁ、どちらにしても今の時間は「21:48」。

いつもだと寝るにはちょっとだけ早い時間だが、明日は「07:00」には出発する予定なので、「06:30」には食堂に集合だそうだ。

念のため、全員に私が作ったアラームを「06:00」にセットして渡してある。


簡単に使い方を説明しておいたが、リアとミームは大丈夫だろうか?

止める時は光っている場所(液晶タッチパネルの事だ)をタッチするだけなのだが、それさえも覚えているかが心配だ。


そうそう、食事の間にスバンの事を聞いておいた。単なる「お隣さん」というだけのようだ。

今から3年前にタニアの隣に引っ越してきてからの付き合いだそうで、ちょくちょくこの家に顔を出してくるとの事。


まぁ、タニアが目当てで来ているようだが、告る勇気がなく、いままでズルズルとなってたんだろう。

そこに「私」という、見た目「異性の親しい友人」が現れて、非常に気になって偵察に来た。で、夕食の事件が発生したっていう事か。


...とりあえず、当分スバンには楽しませてもらおうか。


まぁ、それはともかくだ。部屋の中にかなり立派な机があるので、持ってきたものを机に出してみる。携帯充電器とノートパソコン、そしてスマートフォン。

実は家からゲートを通って、納屋にWi-Fi中継器を置かせてもらっているのだ。

おかげでWi-Fiがここからでも使えるので、いつものようにメールのチェックを始める。



いきなりスマートフォンでSNS経由での電話が鳴る。

相手は「江上えがみ ひかる」だ。しまった...面倒な奴の事を今の今まで忘れていた...。

無視するわけにもいかず、恐る恐る「受話器を取る」ボタンを押してみる。


『もしもし!!了!?...ちょっと!!なんで今まで出ぇへんかったん!!』


第一声がこれだ...。まぁ、予想の範囲内なので、スピーカーからは耳からはかなり遠ざけておいた。

そういえば今日初めて聞く、聞きなれた関西弁やなぁ...。


「あぁ~...悪りぃな。ちょっと用事で遠いところに行っててな」

『えぇ!?そこどこなんよ!?電話は電源が切れているとかで繋がらへんのに、こっちは繋がるし...』

「そうなんか?なんや、電話の調子があかんのんかなぁ?」


と、盛大にとぼけてみせる。実のところ電話回線の調子も何も、こっちはWi-Fiしか通じていないんだよな。

そうそう。私は大阪在住のコテコテの関西人なのだ。


『えぇ~ぇぇぇえ!!!!なんでよ!!また、急に居なくなって!!』


と、こちらも盛大にぼやいてきた。


「リョウ様?いかがなされましたか?」


あ...しまった。輝の声がキャリーにまで聞こえてしまったようだ。


「えぇっと!すいません。ちょっと、魔法の通話実験でして...」


とっさに本当のような嘘をついてしまった...。まぁ、この世界の人たちであれば魔法のようなものだとは思うが...。


「あ...そうなのですね。失礼いたしました...」


と、キャリーの気配が遠のいていく。

うむ、普通に騙せてしまった。まぁ、よかろう。


『ちょっと!!今の誰!?女の人の声みたいだったんだけど!!』


会話はこちらの世界の言葉なので、輝には話の内容は分からない。

が、声を聞けば男性か女性かは分かるので、そこをツッコんできた。


「あぁ、ちょっと外国の貴族の人ん所に泊まらせてもらってて、さっきのは俺の担当のメイドさん」

『メイド!?なにそれ!?』

「ここはそれが普通なんやって...」


嘘ではない。


『ふ~ん...まぁえぇわ。で、いつ帰ってくるんよ?』

「う~ん...一週間ぐらいはこっちやろうな」

『えぇ~!!!長いって!!明日帰って来られへんの!?』

「無茶言いなや...用事があって来てんのに」

『用事って...なんよ?』

「えっと...コボルド討伐の依頼とサイクロプス討伐の依頼が来てて、両方やる話になったんや。現場までの往復と、現場での活動で目算一週間って感じやね」

『なんやねんそれ...まぁ、えぇわ。帰ったら教えって欲しい事があんねん。よろしくな』


と、本当の事を言ったのにもかかわらず、全く相手にされない。


まぁ、いままでも出張先での用事については荒唐無稽な話ばかりを言ってきたので、信じてもらえないのは仕方がない。

輝も仕事については守秘義務があるのは理解しているので、基本的には荒唐無稽な話でも気にしないようにしてくれている。

ただまぁ...今回はマジだったんだよね...。


それはともかく、輝が教えて欲しいという事について聞いておく。


「なんや?また数学か?」

『ちゃうわ。今度は物理や』

「さよか。まぁ、戻ってからやな。他に用事はあるんか?」

『ん~ん...ないけど...しばらくは電話もでけへんの?』


と寂しそうに言う。

そう言えば、輝が高校になってからはほぼ毎日電話がかかってくるな。

ご両親からスマホを買ってもらってからだな。


「あぁ~...どうだろ?夜は大丈夫かもしれへんけど、ここってネットが繋がりにくいみたでな...」

『そうなんや...夜に電話したら...アカン?』


今度は不安そうに聞いてくる。

今までそんな事を聞いてくる事は無かったのに、どうしたんやろ?


「アカン事ないけど、繋がらん可能性があるで?」

『わかった...そん時は諦めるわ...』

「悪いな。お土産用意しておくから。そんじゃ、切るで?」

『は~い。おやすみ~。お土産は変なのは嫌よ?』

「分かった。おやすみ」


プチっと受話器切断のボタンを押す。

ふぅ...相変わらず言いたい事だけを言ってくる奴や...。おっと、標準語、標準語...。



彼女は「江上えがみ ひかる」。高校1年生でご近所さんだ。

彼女が5歳ぐらいの時から知っており、なぜか妙に懐かれ、よく家に遊びにやってくる。


ともかく、電話を終え、メールのチェックとリモートで家の実験器具を操作しての実験をいくつか実施。

終わったのは「23:18」だ。今日はこれで寝るとしよう。


いや...マジで長い1日であった...。

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