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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第6章 やるならちゃんとやりましょう
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■■■ 【サブストーリー】セミア Step001 新しい未来と初めての幸せ

生きる事はずっと辛いと感じていました。



お母様は男爵である旦那様のお屋敷で、侍女として働いていたのです。

私のお母様は綺麗な方でした。

だから、旦那様に見初められて私が生まれました。


旦那様の奥様は非常に怒ったそうですが、旦那様が沢山謝り、なんとか許してもらえたそうです。



でも、妹のレミが生まれた時は許してもらえませんでした。

私たちは奴隷に落とされました。



旦那様は私たち姉妹を買い戻されましたが、お母様はダメでした。


私たちは旦那様の子どもですが、奴隷なのでお父様とは呼べません。


ただ、旦那様は私たちを奥様に隠して育ててくれました。


奴隷の身ですから、子どもでも仕事をしなければなりません。

5歳を過ぎたらお掃除、お洗濯から教えられました。


とても大変でしたが、生きていく事は出来ました。

レミと一緒に奴隷として頑張ろうと思っていました。



奥様に見つかるまでは。



私たちは奴隷です。なので、お屋敷の裏側の仕事をします。

私は主に水仕事です。お洗濯やお掃除、あとは水汲みです。


ある時、水汲みをしていたら奥様に呼び止められました。

なぜ、あの女がここに居るんだと...。


私は知りませんでしたが、私とお母様はそっくりだそうです。


だから、奥様は間違われたのですが、私たちが奴隷として屋敷に居る事がばれてしまいました。


旦那様は奥様に謝りましたが、やはり許してもらえなかったそうで、私たちを奴隷商人にお売りになりました。



私たち姉妹は、しばらくの間奴隷商人の「商品」として並べられていたのですが、姉妹で買われました。


新しいご主人様はアブマーク様という、クラスタンプ軍の将軍様です。


ジョーチェ法皇国に攻め入るとかで、私たちを戦いで勝利した時のご褒美として買われたそうです。

ご主人様の元にはすでに9人の女の子が居ました。



チャムはみんなのお姉さんです。

年齢は私よりも下の17歳ですが、しっかりとした人で、私たちをいつも励ましてくれます。


ミリは14歳ですが、背が高くて胸も大きい女の子です。

泣き虫な所があるので、よくチャムに抱き着いていますが、いっぱい頑張っている女の子です。


スーは私たちの次に新しい16歳の女の子です。少しのんびりとした性格です。

大人しいというよりも感情が薄い人です。生きる気力が薄くなっているようですが、最近少し笑うようになったって聞きました。


アミーナは最年長で20歳。ご主人様の所で一番長く奴隷をしていて、ご主人様の子どももいます。

その子は3歳だそうですが、育てながら働いています。


フェシーは色黒で赤い髪の少し怖い目をしている女の子です。言葉遣いも少し乱暴ですが、心は優しい16歳です。

力仕事を進んでやってくれます。


テロンはふわふわの髪の女の子で14歳です。一番元気でおしゃべりさんです。だから最初に仲良くなりました。


バミーは17歳の金髪の美人さんです。ご主人様のお気に入りだそうですが、ご主人様の事が大嫌いだそうです。

まぁご主人様が好きな奴隷は一人もいませんが...。


ルルは15歳だけど一番胸が大きい女の子です。お掃除が得意だそうで、部屋が綺麗なのはルルがいつもお掃除しているからだそうです。


ポリィは最年少の13歳。お母さんもご主人様の奴隷で、ご主人様の子どもなのですが、奴隷の子どもは奴隷です。

ご主人様には可愛がられているようですが、実のお父さんという事もあってバミー以上にご主人様を嫌っています。


他にも奴隷は居ましたが、ご主人様の身の回りをお世話する奴隷は、私たちを含めた11人です。

なので、みんな一緒の部屋なんだそうです。



ご主人様に買われた翌日、私たちは皆と一緒に隣の国、ジョーチェ法皇国に連れていかれました。

数日馬車で移動して、ジョーチェ法皇国のエルセリアという街を攻めるんだと聞きました。


知らない国に行くのは少しドキドキしますが、戦争で行くというので、あまり良い気分にはなりませんでした。


4日目にコープルという村に到着しました。すでに村人はいなくなっていました。

私たちは村長さんの家だった所にまとめて入りました。ご主人様はこの家を使うからだそうです。


その翌日、ご主人様が戦いに行き、亡くなりました。

なんでも、馬よりも速く走る何かにぶつかられて、首の骨を折ったんだそうです。


村の中は怪我をした人たちでいっぱいになりました。


私とレミは怪我の治療をする技術があったので、怪我をした兵士さんたちのお世話をする事になりました。

ですが、他の女の子は色んな指揮官に連れていかれてしまいました。



私たちはご主人様であるアブマーク様の奴隷です。ご主人様以外の人の言う事も聞く必要はありません。

ですが、ここは戦場でご主人様は亡くなられました。周りは強い兵士ばかりで、言う事を聞くしかありません。



ご主人様が亡くなられた翌日、私たちは荷馬車に乗せられ、怪我をした兵士さんの治療をしながら移動する事になりました。

他の女の子はいません。まだ、コープル村のようです。


首都に戻ったら、ご主人様の家に戻る事になります。その時にみんなを助けてもらえるようにお願いしようと思いました。



しばらく荷馬車に乗っていたら、前の方で物凄い火柱が立ちました。

あれは魔法の火柱ですね。私たちはもうダメだと思いました。


お馬さんではないものに乗った人が近づいてきました。

女の人と男の人が二人乗っているようです。


近づいて私たちの周りを周っています。そして、どんどん兵士さんが倒れていきます。魔法なのでしょうか。

気が付けば私たち姉妹以外はみんな倒れてしまってました。

荷馬車の上に寝かされていた兵士さんも動かなくなっていました。



「大丈夫よ。私たちはあなた達を助けに来たのです」


女の人が近寄ってきて話しかけてくれました。


私たち姉妹は助かったのでした。



男の人はとても優しい人でした。

言葉遣いもとても丁寧で、私たちの事も丁寧に扱ってもらいました。


危ないからと言う事で姉妹だけ少し離れた所に連れていかれました。

変わった食事も用意してくれました。とても美味しかったです。


しばらくすると男の人と女の人が戻ってきてくれました。

もう戻って来ないかもと思いましたが、なんとなく約束を守ってくれそうだと思っていました。

ともかく、また会えて良かったです。


そこから村に向かう事になりました。

その時、みんなの事を教えてもらいました。



...やっぱり...。



みんなの事を聞いた時に思ったのはそれだけでした。



村に戻ると、みんなが真っ白になっていました。

本当は真っ白になる前に一度会いたかったよ。これじゃ誰か分からない。


だけど、そのままにしてたら狼に食べられちゃうからね。

男の人はそう言って、みんなを燃やしてくれたようです。



なんとなく、もう会えないと分かってた。けど...会いたかったよぅ...なんで?どうして?わたしたち、ちゃんと言われた通りにしてたのに...。



「そうね。悲しい事は悲しいわよね。だから泣いて良いの。ここには私たちしかいない。だから、今は泣きなさい」


女の人にそう言われて、私たちは泣きました。

みんなとは数日しか一緒にいませんでしたが、年も近かったので仲良くなったんです。


女の人...カラー様に抱き着いて泣いていたのですが、気が付くと男の人...リョウ様も泣いていました。

胸に手を置いて、目を閉じて、静かに涙を流していました。


レミも泣きながらリョウ様を見ていました。


哀しい気持ちと嬉しい気持ちが混ざって、とてもよく分からない気持ちになってしまいました。


私たちはカラー様に優しく抱かれながら、力の限り泣く事になりました。



気が付いたらエルセリアという街に来ていました。

私たちは泣き疲れて眠ってしまったようです。


リョウ様はもう居ませんでした。

とたんに不安になりましたが、カラー様が居て下さったので良かったです。


カラー様に連れられて小さな家に入り、そこでお風呂という物に入りました。

とても気持ち良かったです。


その後、タニア様、リア様、ミーム様に色々と聞かれました。

そこで今までの事を説明しました。

皆さん、話を聞きながら泣いていました。優しい人たちだと感じて、安心しました。


最後に「今後はどうしたいのか」と聞かれました。


レミと顔を見合わせてしまいました。

そんな事を考えた事がないからです。


すべてご主人様が決めていました。

私たちは何も決めた事がありません。

だから、何も決める事が出来ません。


「わかりません」


それしか言う事が出来ませんでした。


「分かった。じゃあ、リョウ...さっきの男の人に仕える気はあるか?」


とタニア様が優しく聞いてきました。


「奴隷として仕える...ですか?」

「いや。奴隷ではない。普通の人間としてだ」

「私たちは奴隷です、奴隷は普通の人間にはなれません」

「普通はそうだな。だが、お前たちが奴隷だった事実を知る者は私たちだけだ。問題はない」

「いえ...私たちが奴隷である証が身体に刻まれています。それを見れば奴隷だと分かってしまいます」


左手の甲と左の太ももに一つずつ、焼きごてで刻まれた奴隷の証「∵」の印が見えています。

これが奴隷である証。一生消えない証なんです。


「気にする必要はない。リョウはそもそもそういう事は知らないし、気にしないからな」

「そうなんですか?」

「とにかく、リョウに仕えてみると良い。色んな事を体験出来るし、奴隷という事も忘れるぐらいに楽しいと思うぞ」


優しく、でもちょっといたずらっ子のような顔でタニア様がそう言って下さいました。


「それにリョウはとっても優しいから、絶対に二人を大切にするしね」

「そうだね。下手に他所に行くよりも安全だと思うわ」


リア様とミーム様もそう言って下さいました。

だったら、リョウ様を新しいご主人様として仕えようと思いました。


私たちの中では、あの時静かに涙を流してくださったリョウ様がとても安心出来る人だと思っていました。

だから、今はとても嬉しいと思っています。


生まれてから今までで、一番幸せな気持ちになりました。


その瞬間、私はご主人様が好きになっていました。

きっとレミもご主人様が好きになっているはずです。


だって、私たちは姉妹なんですから。


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