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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第4章 異世界のやはりマッドな世界
50/55

■■■ 【サブストーリー】ニアラブ・ラル・バルバクス Step001 不思議な男

第4章のサブストーリーの1話目です

まさかの・・・

タニアがどこの馬の骨とも知れぬ男と行動を共にしておるらしい。


それを知ったのはトモニアからの早馬と、黒梟からの定時連絡じゃ。

その男は「リョウ・カダヤ」と言う。


突然、エルセリアの城壁内に現れたそうじゃ。

と言うのもエルセリアの門の出入り情報を確認させたが、そのような人物は「入ってこなかった」そうじゃ。


これが本当なら不法侵入なんじゃが、どこにでも穴はある。


と、最初は思ったんじゃが、あの奇妙な電龍という乗り物。あれは絶対に目立つ。

なのに、あれも突然現れ、そのままエルセリアからトモニアへの道を走っていったそうじゃ。


あれをどうやってエルセリアに入れたんじゃろうか...本当に謎じゃ。



驚愕したのは、トモニアからのあるコボルド討伐の報告じゃった。


儂は第一線から身を引いてはおるが、国王の相談役という事で、色々と情報は聞くようにしておった。


その日、国王が自ら報告書を持ってきおったのじゃ。


「父上。この報告書を読んで、感想を教えて欲しいのですが」

「報告書?なんぞあったのか?」

「読んでいただければわかります」


なんじゃ。らしくもない。

そう思って何気なく読んでおったが、すぐに改まった。



異常じゃ。



サイクロプスはかなりの強敵じゃ。それも、2匹同時にじゃ。

国の最高戦力を4人用意したとしても、簡単ではない。

最悪誰かが犠牲になるだろうし、そもそも無傷ではいられない。


誰かが骨の一本ぐらいは折るじゃろう。


それを無傷で、しかも2匹同時に。国の最高戦力ではない若者4人でだ。



討伐に参加した者たちは良く知っておる。

タニアとリアは孫じゃし、リアと一緒に冒険者をしておるミームもよく報告にあがっておるからの。


しかし、この男。リョウ・カダヤだけは知らん。



「こやつは誰じゃ?」


名前を言わんが、誰かはすぐに察したであろう。

すぐに返事が返ってくる。


「わかりません」

「調べたのか?」

「はい」

「結果は?」

「記録がありません」


全く記録にない男。

黒梟も一切知らない存在だと言う。


これほどの男であれば、よその国に居たとしても噂が流れてくるハズじゃ。


「何一つか?」

「何一つです」


ふむ。これはかなり警戒しなければならんな。


「おぬしはどう考える?」

「魔族がタニアに近づいたのではないかと」

「ふむ。確かにその考えはありえそうじゃな。じゃが、なぜタニアなのじゃ?」

「それこそ全く分かりません。そもそも魔族の事ですので、何も考えていない可能性もあります」


魔族じゃからな。

奴等は気まぐれに動く。


今は自分の国で大人しくしておるようだ。

なんでも、今の魔王は穏健派だそうで、隣国と友好関係を築いておるとか。


じゃが、個別の魔族は基本的に気まぐれじゃ。

何をしでかすか分かったものではない。


「それに、トモニアでの宴会の様子からは、かなり心を許している様子でした」

「あのタニアがのう...男の肩に頭を乗せるなぞ、想像も出来んかったわい」

「そしてリアも同じようにしております」

「ますます魔族の線が濃ゆいのう...」


思わず笑ってしまう。

あのリアが?男の肩に頭を乗せる?もたれかかる?タニア以上にありえないわ!


「父上、笑い事ではございません」


国王...ルイクスがほとほと困った顔で訴えてきおった。

いや、すまんな。

しかし、リアに関しては笑うしかあるまいて。


それはともかくじゃ。


「この報告書の内容、本当なのか?正直信じられん話なんじゃが?」

「おっしゃる通りですが、これはリアがトモニア村長の家での宴会で話をした内容だそうで...」

「つまり、討伐に参加した本人の話との事なんじゃな?」

「はい。それを裏付けるように、ギルドに提出された証拠もあり...」


聞くと、その場で新しい風景映像を映す魔工での確認。

それを見た受付は、かなり混乱したそうじゃが、実際にその場で魔工を使われ、納得するしか無かったと...。


「そもそも、リアのその話の内容じゃが、信用出来るのかの?」

「ご承知の通り、リアは見たものを大げさに話してしまう傾向はあるものの、自分で勝手に話を作るのは無理です。話半分としても、大枠事実と判断します」


じゃろうな。


「サイクロプスの討伐に関しては、かなり緻密な作戦...ではないの。じゃが、効果的じゃな」


強力な魔法の一撃でサイクロプスを行動不能に追い込み、剣で足に一撃を加える。

危険な賭けのような作戦じゃが、理にかなっておる。


足に一撃を加えれば、サイクロプスの移動に制限がかかる。逃げるのも容易くなるという事じゃ。


「はい。特に初撃の電撃魔法が功を奏しておりますな。ただ、威力が桁違いのようですが」

「タニアの電撃魔法はここまでの威力にはならんと思うが?」


電撃魔法は即効性があるが、発動させるのが難しい魔法じゃ。

発動したとしても、効果が薄い事も多い。

特に、距離がある場合は思った威力にはならん。


今の最高峰の魔術師であるタスバークでも、2匹同時じゃとそこまでの威力にはならんじゃろう。


「報告によると、リョウがタニアの魔法を強化したとありますが...」

「そのような事が出来るのか?」


通常、それぞれが個別に魔法を放つ事しか出来ないはずじゃ。

相手の魔法を強化する。


そのような魔法は儂は知らんし、タスバークも知らんはずじゃ。


「分かりません。魔法軍の方にも聞きましたが、そのような魔法は無いとの事です。が、可能だろうとも」

「出来るかもしれないと言う事か」


可能性はある。と言う事じゃな。


「はい。これから研究してみるとの事でした」

「新たな魔法の開発か。しかし、これが出来れば強力な一手になりえるの」

「魔法軍もそのような事を言っておりました」


そもそも、そのような発想は無かったからな。

今までは、どれだけ魔法の威力を上げるか。それだけしか考えてはおらんからのう。


「まぁ、新しい技術が出来るのは良い事じゃが、問題は、どうしてリョウがそれを出来たのか?じゃな」

「はい。ますます魔族疑惑が濃くなっております」

「魔族であるかどうかの判断は?」

「こちらに招聘した際に確認しようと考えています」

「王城に呼ぶのか?」


大胆な事を考えておるの。

魔族を城内に入れると言うのか?


もっとも、現段階ではあくまでも「疑惑」じゃがの。


「はい。この報告書の内容を本人に確認したいと思っていますし、なによりもタニアを招聘出来るまたとない機会です」

「そういや、マークがぼやいておったのう...」


奴は妹が大好きじゃからのう。

そういや、タニアが首都に来なくなって2年ぐらい経つか。


「タニアもあの事件以降、首都に近づかなくなりましたし、リアもタニアに懐いていましたので、あっちに行ったままになってしまいました」

「リョウという者が魔族かもしれないという事も判別出来るという事だし。よかろう」

「では、早速タニアとリョウを招聘するとしましょう。リアはいかが致しますか?」

「呼ばなくてもタニアにくっついて来るじゃろう。そこは心配せんでもええ」

「確かに」

「それにしてもリョウという者は異常じゃな。洞窟前のコボルドを全部1人で倒しおったか」

「出来なくはありません」


たかがコボルドじゃからな。

上級の冒険者や、軍の中隊長以上の者ならば可能じゃろう。


「しかし、こやつの武器はなんじゃ?弓矢ではないようじゃが?」

「はい。全く分かりません」


長い筒のようなものから、矢のようなものが飛び出し、それでコボルドを倒しておるらしい。


「それに、どうしてその武器をサイクロプスで使わなかったのか...じゃな」

「それで言うと、ボスコボルドの時に使用した武器がサイクロプスに有効だと思ったのですが、サイクロプスでは使わなかったというのも謎ですね」


全く持ってその通りなのじゃが、まぁ色々考える事は出来る。


「おそらく、1つしか用意できなかったんじゃろう。かなり強力な武器のようじゃしな」

「なるほど。では、それをボスコボルドに使ったのは?」

「単純にボスコボルドが手強かったというのと、その日の内にサイクロプスが来るとは思ってなかったっていうのもあるじゃろうて」

「行き当たりばったりな対応ですな」


ま、確かに行き当たりばったりに見えるわな。

だが、普通に考えてもサイクロプスが同日に現れるとは思わないだろうな。


「いや、そうではあるまい。おそらく、その場その場で最適な対応をしておるだけじゃと思うぞ。儂でもそこにおればボスコボルドに強力な武器を使ったじゃろう」

「そうなのですか?」

「現場では想定外の事はよくあるじゃろ?冷静に物事を判断する力があれば、何事も対処は出来るじゃろ。最悪逃げれば良いんじゃしの」

「おっしゃる通りですな」


要は自分の身を守ることが出来れば良いんじゃからの。


「で、魔物かどうかの確認はどのようにするのじゃ?」

「謁見の間に判定魔法をかけておきます。入った瞬間に化けの皮が剥がれる仕組みです」

「それは確実なんじゃろうな?」


他で実験は出来んしの。

そもそも魔族はこの首都にはおらん。はずじゃ。


「タスバークが直接施すそうです。問題ありますまい」

「ほ。それは大層な事じゃ。まぁ、愛娘に関わる事じゃから、そうなるか」

「魔族と分かれば一撃で葬ってやる。と、息巻いておりました」

「さもありなん」


さて、招聘については問題なかろうて。


あとはリョウがどう出るか...。



そして、謁見当日になった。


まず、判定魔法が反応しなかったので、人間である事は確定じゃな。

ある意味、一番の不安が消えた訳だ。


しかし、それは『異常』である事が明確になる。


何者なんじゃ?



謁見の間での会話は素直に...面白かった。


一般人であれば、謁見の間で普通に喋る事は不可能じゃ。

儂も市井の者を数人、謁見の間で話をした事があるが、ここまで普通に話すものなどおらん。


しかも、タスバークの圧にも耐え、あまつさえ返しておる。



こやつは『異常』すぎる。『危険な奴』じゃ。



足さばきを見たが、一応武術は心得ておるようじゃが、知っておる動きではない。

素人ではないが玄人でもない。中途半端じゃのう。


しかし、その話す内容は、一国の主に匹敵するものじゃ。


儂があの領域に達したのは、おそらく50を過ぎてからじゃ。

その半分ぐらいの年齢の若造がその領域に到達しておるのは『脅威』じゃ。


こやつは、放置して良い類の人間ではない。


さて、どうしたものかのう...。



直接接触した方が良いじゃろう。


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