表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第4章 異世界のやはりマッドな世界
51/55

■■■ 【サブストーリー】カラー Step001 不思議な男

第4章の二つ目のサブストーリーはカラーです。

「目覚めなさい、カラー。目覚める時がやってきました」


瞬時に意識が鮮明になる。

体内の魔力炉が活動を開始し、魔力が身体のあちこちに行き渡る。


真っ暗な空間ですが、私が起き上がるのと同時に淡い魔法の光が灯り、部屋を照らし出しました。


私が眠る前と何も変わらない部屋。

私が眠る前と時間が違う部屋。


私の上には大量の埃が降り積もっていました。

そして床にも大量の埃。


かなりの時間経過が伺われます。


ですが、それよりも気になる事があります。


「イスフォーン様?どこにおられるのですか?」


愛と自由を司る、私の創造主である女神イスフォーン様の姿が見えません。


「私の可愛いカラー。ごめんなさいね。私の肉体は存在していないのです」


イスフォーン様はこの星に舞い降りた神々の一柱です。

その方が存在しない?どういう事なのでしょうか。


その後、イスフォーン様が語られたのは神々の間で勃発した戦争の話。


結局イスフォーン様が戦争を起こしてしまわれたのですね...。


「私の愛は自由なのです。それを縛られることは耐えられませんもの」


そうなのです。イスフォーン様は「愛と自由の女神」と言われていますが、その実「愛は自由である」というのが正しいのです。


それにしても、かなり派手にされたようで、ドラゴンなども含め全てが無に帰したようですね。


「そんな事があったのですね」

「そうなのです。あの時代のもので残っているのは貴女と、いくつかの魔具と書物だけです」

「それはまた...しかし、どうして私は?」

「貴女にお願いがありまして...」


おっしゃるには、ある男性に仕えて欲しい。その方を見ていて欲しいとの事でした。

理由は一切おっしゃいません。しかし、仕えるという事は、その方の為に動けという事に他なりません。一体どういう事なのでしょうか?

少々不思議に思いましたが、元々不思議な方なのです。あまり気にはなりません。


「分かりました。では、そのようにさせていただきます」

「お願いしますね。あ、それ以外の行動は全て自由です。貴女の好きなように行動してください」

「その方に仕えておけば、それ以外は自由との事ですね」

「そうです」

「分かりました。では、そのようにさせていただきます」

「まず、その方に関する情報を見せましょう」


と、心に直接見せていただいた画では普通の男性のようです。

が、かなり変な背景ですね。


私の知っている世界ではないようですが?


「そうです。この方は異なる世界の男性なのです」

「異なる世界?そんなものがあるのですか?」

「はい。私も知らなかったのですが、私の肉体が滅びる際に知る事が出来ました」


そこに至るいきさつは説明していただけませんでした。

おそらく、何かがあるのでしょう。


「今、この男性...『リョウ・カダヤ』と言うのですが、『タニア・ソフリート』という女性と、『リア・ソフリート』という女性と一緒に移動していて、貴女の近くを通ります」

「この近くですか?ですが、簡単に会えるものなのでしょうか?」

「難しくはないかと思います。まず、東に向かって歩きなさい。そうすれば貴女の感覚に反応が出てくると思います」

「感覚に反応ですか?」

「はい。魔力探知に反応があると思います」

「わかりました」



それから、私は眠っていた遺跡から出て、東へと歩きました。



どういう訳か、困った人たちも付いてきます。

鎧を脱げとか言ってきますが、意味が解りません。

なので、無視をしていたら突然剣で殴られてしまいました。


多少の衝撃はありますが、どうという事はありません。

私はイスフォーン様に創造された、堅牢不滅型ゴーレムです。神の力以外では傷つく事はありません。


ただ、攻撃は出来ないのです。堅牢不滅を維持する為、そのように創られたのです。

なので、うるさいけれども問題はないので、放置しましょう。


さて、うるさい人たちも一緒なのですが、歩いていると確かに魔力感知に反応がありました。

大きな魔力の塊がこちらに向かってきます。

これはすごいですね。


ここで待っていれば大丈夫だと思っていたら、突然魔力の塊が停止してしまいました。

困りましたね。

ひょっとして、こちらから出向かなければならないのでしょうか?


と、しばらく悩んでいたら、あちらからリョウ様...いえ、ご主人様ですね。が、来てくださいました。



そして、このうるさい人たちを蹴散らしてくださり、私を魔力の塊の中に招き入れて下さいました。



ともかく、不思議な方です。


女性を2人侍らしておられるので、愛の強い方なのでしょう。

確かにイスフォーン様が気に入られるような男性ですが、たかだか人間です。



魔力の塊...夜霧というらしい乗り物に乗り、移動します。

どうやら、この国の首都セルドイという所に行き、国王に会うとの事です。


「カラーさん。貴女は本当にイスフォーンに創られたのですか?」


タニアという女性から質問されました。


イスフォーン様を呼び捨てにするのは少々気に入りませんが、たかだか人間の事です。気にするだけ無駄でしょう。


丁度いいですね。この女性と話をして、情報を得る事としましょう。


リアという女性は...あぁ、話を聞いているだけなのですね。分かりました。



そこで分かった事は、イスフォーン様が肉体を失ってから、かなりの年月が経っているという事。

今では「神話の時代」と呼ばれ、はるか遠い過去として伝わっているだけのようです。


また、その神話も断片的な話しかなく、得るものはあまりありませんでした。


神々もまた伝えられたのは少ないですね。他にも沢山の神が居たのですが、かなり端折られています。


それだけの年月が経ったという事なのでしょう。

あの時代を知るものとしては寂しいですね。



この時代の王城というものに初めて入りました。


確かに大きいとは思いますが、それでもイスフォーン様の宮殿に比べると小さいです。


どうやらご主人様と一緒にここの王と会う事になりそうです。


それにしても困りました。

私はイスフォーン様に仕えるゴーレム。イスフォーン様以外には膝を折る事はありえません。

こんな事でしたら、先ほどの部屋で待っていれば良かったですね。


悩んでおりましたら、ご主人様が割って入って来られました。


私は堅牢不滅型のゴーレムです。

神の一撃以外で傷がつく事はございません。

ですから、何をされようが全く問題はないのです。


ただ、状況的にはかなり不利でした。


それなのに、ご主人様は私を庇うように、声を上げて下さったのです。


私がご主人様に仕えると言ったので、私の主人としての責務を果たされようとされているのだとすぐに分かりました。

正直、イスフォーン様の命令とは言え、かなり強引に迫りましたので、そこまで思っておられるとは思っていませんでした。


タニアが助け船を出そうとしたのも止められていたので、本当に私の主人として一人で責任を負うつもりだったのでしょう。


それに、瞬時の判断で妥当な解決策に持っていくとは...。

ご主人様が「敬意を見せれば良いので、膝を折らずに腰を折れ」と言ってくださり、それによって問題が解決してしまいました。


なるほど。

そういう方法もありますね。


「敬意」ですか。良い言葉ですね。



それにしても、さっきの近衛将軍という者は頭が固いですね。

ご主人様を見習ったら、もっと世界が開けるでしょうに、残念です。



しかし、ご主人様は不思議な方です。


色々とお話をさせていただきましたが、私の知っている人間のどれにも当てはまりません。

やはり、異世界の人間だからでしょうか?


これはとても面白いと思います。


そうですね。

この方にしっかりと仕え、もっと面白い体験をさせていただける様に、私も誠心誠意務めさせて頂く事に致しましょう。


人間であるご主人様は、あと50年もすれば稼働できなくなりますが、それぐらいの時間はどうという事はありません。


しばらくは、この方の人生を楽しんで観てみましょう。



イスフォーン様。


目覚めた時は、貴女の居ない世界に一人にした事を、少し恨めしく思ったのですが、貴重な体験をさせて頂けそうです。


いずれ、お会いした時にはきちんと報告できるように致しますね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ