■■■ Step039 晩餐は何かとマッドな事件が起こる
書き溜めたものが少なくなってきたので、投稿ペースを落とします。
書き溜まったら毎日でも投稿したいんだけど、毎話5000文字程度書くので難しいかな・・・
ルーヴに断りを入れて、一旦夜霧に戻って来た。
ちなみに、ルーヴが目を輝かせて「あれを見せてください」というので連れてきた。
なんか、城内で夜霧の事が噂になっているようだ。
流通させるつもりはないが、今あるものは見てもらったり、使ってもらう分には問題ないと思っている。
なので、夜霧の説明をタニアに任せてみた。
自分で説明すると、自分も色々と気が付く事もあるからな。
タニアの説明にカラーも付いて回っていた。
リアは...後ろのベッドでのんびりしているようだな。
私は追手の動きは確認した。
どうやらワツナに到着したようで、今日はそこで一泊するらしい。
ただ、我々を探しているようで、街中を手分けしてウロウロしているようだ。
残念ながら、もう首都に着いちゃっているんだよね。
しかも、もう謁見も済んでしまった。
あとは帰るだけなんだが、タイミングがな...。
あ、国王の使者君は先ほど首都に到着した模様。
まさか我々が先に着いているとは思わないだろう。
「リョウ。一通り説明したぞ」
「あ、そうなんだ。ありがとう」
狭い車内だから、それ程時間はかからなかったようだ。
「リョウ様!!これ、すごいですね!私もこれに乗って旅がしたいです!!」
ルーヴが目をキラキラさせている。
貴女はこのお城の侍女じゃないですか?
「気持ちは分かるけど、そうも行かないよね?でも、せっかくだからごちそうするよ。ルーヴ、そっちに座って。タニアもリアも座ってくれ」
女性に対してとっておきの飲み物があるのだ。
「え?私が座るのですか?私は侍女なのですが?」
「でも、今は夜霧に招待した私のお客さんだよ?良いから座って。あ、カラーも座ってくれていいよ」
「はい。では失礼いたします」
素直なのは良いことだ。
さて、今回用意するのは乳酸菌の甘い飲み物だ。
原液を水で薄めるだけなので簡単だ。
「なにこれ!甘いんですけど!美味しいんですけど!もう飲んじゃったんですけど!!」
相変わらずリアは思った事を全部言語化しちゃった。
タニアは、目を丸くしてグラスを見つめている。
ルーヴも同様だ。
カラーは沢山飲むと問題がありそうだから、おちょこに入れて味見程度にさせてもらった。
そして、カラーも目を丸くして驚いている。
「ねぇねぇねぇねぇ!!もうなくなっちゃったの!もう少し頂戴!」
リア、すごい勢いだな。
まだ原液はあるから問題はないし、水も当然ある。
「わかったから!だけど、そんなにガブガブ飲むものじゃないからな。これが最後だよ」
「分かったわ!ありがとう!」
と、今度はちびちびと飲み始めた。
見ると、他のメンバーもちびちびと飲み始めた。
流石、劇甘乳酸菌飲料だな。
娘さんたち、カラーも含めて虜にしてしまったようだ。
私はコーヒーを淹れてゆっくり飲む。
やっと落ち着いたな。
美味しい飲み物を飲み終わったルーヴは仕事に戻ってもらい、夕食の呼び出しには夜霧に来てもらうようにお願いしておいた。
正直、あっちの部屋だと落ち着かない。
誰が襲撃してくるか分からないからな。
数時間後、ルーヴが夕食の呼び出しに来てくれた。
家族の夕食という事なので、普段着のままで参加させてもらおう。
ルーヴに先導されて食堂にやってきた。
いや、広い食堂だね。
そして大きなテーブル。
既に8人が席に着いている。
居ないのは、国王陛下とお爺様だ。
ひょっとして私の事で話をしているんじゃないよな?
ちなみに、カラーは食事が出来ないという事で夜霧に残して来た。
アリスを紹介?しておいたので、2人?で仲良くお留守番しておいてもらおう。
もっとも、この夕食には私しか招待されていないから、カラーは来れないんだけどな。
「この度は夕食のお招きいただき、ありがとうございます」
主人が居ないが、挨拶はしないとな。
「では、リョウ様はこちらに...」
向かって右の一番末席を示された。
よかった~!主人席の対面とかだったら絶対嫌だったんだよな。
ちなみに、右隣りがタニアで、対面にリアが座っている。
うん。有難いな。
「すまん。待たせてしまったな」
と、国王とお爺様が揃って食堂に入って来た。
お爺様が私を見てニヤリと悪い顔をする。
いやん...やっぱり2人で話していたんじゃん...。
国王が一番奥の席に座り、お爺様が向かって左の席に座る。
前国王だが、今の国王が上位という事だな。
「さて、今夜は招かれざる客が一緒に夕食を共にする事になった」
え?ちょっと待ってくれません?
思わず国王を見ると、ニヤリと悪い顔をしていた。
勘弁して~な...。
しかし、そういう事なら受けて立ちましょう。
静かに席を立ち、左胸に手を置き、少し腰をかがめる。
「招かれざる客でございます。よろしくお願い致します」
敢えて名乗らず挨拶をした。
どうせ、もう名前は知られているのだ。
挨拶が済んだので、顔上げるとお爺様がとても嫌な顔をしていた。
「なるほど。父上から事前に話を聞いておったが、本当に面白い奴よな」
「ありがとうございます」
褒めていただいたと思って席に座る。まぁ、本当に褒めてはいないんだが。
「では、夕食を始めよう」
国王の号令で夕食会が始まった。
「それにしてもリョウ、謁見の間では大変だったね。あ、僕はガーランド・ソラ・バルバクスだ。国王陛下の長男だ」
誰も喋らない食事が進み、メインディッシュが終わった辺りで斜め向かいの男性が声を掛けてきた。座席は対面のリアの隣だ。
それにしても謁見の間か...今日の出来事だけど、その後のお爺様との会話があったので記憶から抜け落ちかけてたよ。
うん、大変だったような気がする。
「いえ、大変だった記憶はありますが、本当に緊張しておりましたので内容をしっかりと思い出せない状態でございまして...」
記憶が薄いのは本当の話だ。
「そうなのかい?かなり堂々と会話をしていたように思うんだけど?」
「そのような事はございません。今も緊張して食事の味も分からないぐらいですのに...」
これも半分は本当だ。
味は分かるけどね。
「ガーランド様は謁見の間に居られたのですね」
「それは当然。タニアに男が出来たって話で、家族では持ち切りだったんだから」
「お兄様!!」
タニアが顔を真っ赤にして抗議する。
あら~...耳の後ろまで真っ赤だわ。
可愛い対応だけど、激しく反応すると墓穴を掘るよ?
「ふん。タニアもようやく人間らしくなったって事だ」
ガーランドお兄様のその隣、厳格な雰囲気の男性が冷たい目でタニアを見る。
良く見るとタニアとよく似ているな。
「マークお兄様...そのような言い方をしなくても良いのでは?」
タニアの隣のクウィルお兄様が対面のマークお兄様に注意を促す。
お兄様なんだよね?今もドレスを着てるけど?お父様は国王だよね?大丈夫なん?
「事実ではないか。今まではずっと屋敷に籠って研究ばかりしていたのだ。おかげで会うのに2年もかかったのだぞ?」
右手で握りこぶしを作り、ワナワナと震えているが...あれ?なんかイメージが違う?
「エルセリアからはそれほど離れていないのだ。もっと頻度良くセルドイに来てくれれば、もっと沢山会えるのに!!」
「お兄様!」
先ほどとは別の意味で顔を赤くしているタニアがマークお兄様にツッコむ。
「ん?あぁすまない。私はマーク・コラル・バルバクスでタニアとリアの兄だ」
タニアのツッコミは滑ったようだな。
きっとタニアのは、その結果を欲してはいないと思うよ。
「マークは本当にタニアが大切なのですね」
マークお兄様の隣、明らかに妊婦の女性がにこやかにつぶやいた。
大将軍の隣に座っているので、おそらくこの人が大将軍の奥さんのヨルージュ・パクス・バルバクスさんだな。
「ヨルージュお姉様、当然です」
当然なんだ!
そして、やっぱりヨルージュ・パクス・バルバクスさんだった。
マークお兄様の返答を苦笑で受け止めたヨルージュさんだったが、ふと私に顔を向けてきた。
「ところでリョウさん...ルーヴにごちそうをしたそうではありませんか?」
え?ごちそうはしてないはず...ごちそう...あ、劇甘乳酸菌飲料の事?
「あ~はい。ごちそうではないのですが、ある飲み物を提供しましたが...」
「私たちには頂けないのでしょうか?」
見ると、女性陣...クウィルお兄様が含まれちゃっているけど、期待の目でこちらを見ている。
この世界の甘味は貴重なんだろう。
ルーヴが何を言ったのか知らないが、一気に王妃まで話が行くってどういう事だよ?
まぁ、全く問題はない。
実はルーヴやタニアたちの反応を見て、奥様達へのお土産として持ってきているのだ。
「承知しました。今、手元にあるので食後に飲んでいただこうかと思いますが、いかがいたしましょうか?」
「是非!?」
ヨルージュ様が大きな声で歓声を上げる。
しかも、ヨルージュ様だけでなく、リリャン王妃とシャーリー皇妃もだ。
タニアとリアも目が輝いているな。
いや、別に良いんだけど、毒見ってどうするんだ?
「では、食事の後にご用意いたしますが、それでよろしいでしょうか?」
「それでも構いません!是非お願いします!!」
うわぁ~...すごい食いつきだな。
男性陣は苦笑しているぞ。
一応男性陣用にも持ってきているんだが、女性陣だけだと不公平だよな。
「あの、ついでと言ってはなんですが、わが国の酒も持ってきているのですが、いかがですか?」
「なに!?酒とな!?」
いきなり食いついたのは大将軍だ。
だが、国王も、お爺様も、法皇様も、お兄様(男の娘除く)も興味津々という感じだ。
持ってきたのは日本酒と泡盛の30年物の古酒だ。
「では、食後に用意させていただきます」
さて、食後に全員に振舞った。
毒見役を呼ぼうかと思ったが、自分で飲めば良いと思って、自分で飲んだ。
劇甘乳酸菌飲料、日本酒、泡盛の順だ。
最後に甘いのはちょっとしんどいからな。
どれも皆様には好評だった。
特に酒瓶は強奪されてしまった。まぁ、ふたを開けたら飲まないとダメだからね。
それにお土産のつもりだったし。
ただ、強奪したのはお爺様だ。
乳酸菌飲料はこちらで確保した。
原液で飲まれたりしたら大変だし、なんとなく調理場で管理できなさそうだからだ。
女性陣は残念そうにしていたが、次に来る時には多めに持ってくると言って納得してもらった。
ぐだぐだになってしまった夕食会だったが、突然私のスマートフォンから警告音が鳴り響く。
サイレントモードにしておいたのだが、本当の緊急時には設定を無視して警告音が鳴るようになっているのだ。
王族の方たちは聞き慣れない音に慌てているが、タニアがすぐに対応してくれた。
「国王陛下!この音はリョウの持ち物が音を出しています!一旦落ち着いてください」
「なに?リョウの持ち物が?一体、何があったのだ?」
「それは今から確認になります。リョウ、こっちは良いから、確認を頼む」
「タニア、ありがとう」
この場で確認をしようかと一瞬悩む。が、どうせいつかバレるのだ。
スマートフォンを取り出し、確認しようとした所、普通に電話が鳴った。アリスから!?
慌てて通話ボタンをONにする。
「ご主人様!カラーです」
電話に出たのはカラーだった。
自分がめちゃくちゃ殴られていた時も落ち着いていたカラーだったが、今のカラーは少し焦っているようだ。
「カラー?どうして?」
「アリスに頼んで話が出来るようにしてもらいました」
「なるほど。で、何かあったのか?」
「ご主人様が最初に居られた場所はエルセリアですよね。そこで不穏な動きがあります」
「不穏な動き?」
嫌な胸騒ぎがする。
「結論から申し上げますと、領主による暴動が発生する可能性がございます」




