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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第4章 異世界のやはりマッドな世界
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■■■ Step038 謁見が終わった後に裏ボス現る

謁見の間を出ると、今度は侍女の案内で広い部屋に通された。


ホテルのスイートルームなのかな?

部屋にはいくつかの部屋がつながっており、まとめて私とカラーで使う事になるようだ。

表向き、カラーは私の侍女という事になっているからな。


タニアとリアは自分の部屋が城内にあるそうで、一度そっちに行くとの事で途中で別れたのだ。



「改めましてルーヴと申します。リョウ様、カラー様にお仕えするように申し付かっております。どうぞお見知りおきを...」


案内してくれた侍女は、どうやら部屋付きの侍女らしい。


「ありがとう。申し訳ないけど、温かい飲み物を用意してくれないかな」

「承知いたしました。少しお待ちください」


と言って部屋を出て行った。


さて、部屋にはカラーしかいないので、ちょっと着替えてしまおう。

この死神博士衣装も聞慣れているが、やはり普段着が一番だ。


「着替えられるのですか?お手伝いいたしましょうか」

「いや、大丈夫だ」


全部脱いでしまう訳ではないので、目の前で着替える。

男の着替えなんてあっという間だ。


いつもの白パーカーと黒のズボン、赤のシューズ姿になった。

一応星砕丸と拳銃は持っておこう。


「私も着替えた方が良いでしょうか?」

「あ~...そうだな。でも着替えが無いよな。そもそもその鎧を脱ぐのはマズイと思うし...」


金色のハイレグ鎧で城内を闊歩するのは流石にダメだろう。

だが、フルプレートメイルでもダメ...なのかな?


それ以上に、ハイレグ鎧って脱げるのか?


うむ。困ったな。



すると、部屋をノックする音と共に、タニアの声がする。


「リョウ、居るのか?入るぞ」

「あぁ、問題ない入ってくれ」


部屋に入って来たタニアは手に袋を下げていた。


「私の持ち物の中でカラーに合いそうな服を持ってきた。カラー、私が手伝ってあげるから着替えようか」

「よろしいのでしょうか?」

「あぁ、構わない。実は私がユリから貰ったものだがな。リョウ、あっちの部屋を借りるが覗くなよ?」


と、ニヤリ笑いをしながら注意してくる。

貴女、嬉しそうね。


「分かってるよ。てか、そんな事はしないって」

「私は見られても大丈夫ですが?」

「ダメだ」


タニアが即断即決する。


「ご主人様、ダメなのですか?」

「ダメでしょ?」


当然、私も即断即決だ。

...あとが恐いからね...。


「...分かりました...」


なんだ?なぜ残念そうにする?


カラーはタニアに連行されて、隣の部屋に入って行った。



しばらくして、カラーは着替えて部屋から出てきた。


「これは、なかなかに動きやすいですね」


赤の長そでニットにベージュの膝下丈のスカート。靴は無かったので足甲のままだが、それでも雰囲気はかなり柔らかくなった。


「結構似合っているんじゃないか?これはユリのお下がりだな」


数年前に見た記憶がある。


「そうだ。私のものでも良いのだが、カラーに似合いそうなものは無くてだな...」


確か、輝と葵が色々選んだので、かなり可愛い系の服が多かった気がする。

ユリは落ち着いた雰囲気の服を好んでいるので、確かにカラーにはそっちが似合う気がするな。


「いや、似合っているからこれで良いんじゃないか?」

「ありがとうございます、ご主人様。タニア様もこのような素晴らしいものをありがとうございます」


胸の前に手を組んで、タニアに感謝を伝える。

表情は薄いが、目が輝いているな。


「いや、問題ない。それよりも私の事は『様』を付けずに『タニア』と呼んでくれ」

「よろしいのですか?」


これも表情が薄いけど、嬉しそうなカラー。

確かに感情はあるようだな。


「あぁ構わない。私は姫である事を辞めたのだ。それに私はカラーの主人ではないしな」

「分かりました、タニア。よろしくお願いいたします」


うんうん。女の子同士が仲良くするのは嬉しいし、見ていてほっこりするな。


「じゃあ、私も『リョウ』と呼んで欲しいんだが?」

「それは却下です、ご主人様」

「そうなのね...」


ちょっとだけ落ち込む。


と、ここまで話をしていたら、ドアを叩く音が聞こえた。


「ルーヴです。失礼します」


と言って、ルーヴが入って来た。


「紅茶をお持ちしました」


と言いながらテーブルに並べる。その数5つ。


この後リアが来るとして、それで4人。1つ多いぞ?

侍女が自分の分を持ってくるとは思えない。別にダメではないが、王城の侍女としてはありえないからな。


そう思っていたら、ドアを叩く音が聞こえてきた。


「リョウ!入るわよ!!」


元気なリアの声だ。

こちらが返事をする間もなく、バン!とドアが開かれてリアが入ってくる。

そして、その後ろに男性...それもご高齢の方だ。


「はぁ...謁見の間では大人しかったが、基本は変わっておらんのじゃな、リアは...」


まるで剣道着のような服だ。好々爺のような見た目だが、不思議な圧力を感じる男性がため息をつきながら部屋に入って来た。


国王とは異質の気配を纏っている。

例えるならば、国王はちゃんと鞘に納められた日本刀だが、こちらはすでに抜き身だ。



っていうか、一体誰?



「お爺様!?どうしてこちらに?」


と、タニアが非常に驚いていた。


あれ?お爺様?伯父様が国王だったよな...だったら、この人...。


「おっと、おぬしには自己紹介をするべきじゃろうな。儂はニアラブ・ラル・バルバクス。タニアとリアの祖父だ」


まさかの前国王陛下でございました...。



そもそも、お招きしてないんですけど?

とは言えないので、無難に挨拶するか。


「これは失礼いたしました。初めてお目にかかります、リョウ・カダヤでございます」

「うむ。儂も謁見の間におったが、おぬし、なかなか面白いのう」

「面白いですか?」

「普通、国王を前にあれだけ喋れる者などおらんわい」


確かにそうだよな。


それにしても、かなりの圧力を感じるのだが、喋りやすい人物だ。

だがしかし、こういう御仁は警戒すべきだ。


口調は軽く、心は慎重に、だな。


「私は変わり者でございますので」

「確かに変わっておるのう。儂が前国王だと気づいておりながらも変わらず普通に喋っておる。変わっておると言うより異常じゃ」


と、軽く睨まれてしまった。


あか~ん!愚者に見せかけるのも無理みたい。

う~ん...こういうのに慣れている訳ではないので居心地が悪い。


っていうか、この人は何しに来たんだ?


「お茶の用意が出来ました。どうぞこちらに」


見れば円卓に4脚の椅子が並べられている。

あ、カラーは侍女枠だから椅子は無いのね。


見れば、片手にカップとソーサーを持っている。

なにこのゴーレム。手際が良いじゃないか。侮れない...。


「ほう、儂の分もあるのじゃな。では、少し時間を貰おうかの」


と、許可もしていないのにスタスタと歩き、席に着いてしまった。


タニアを見ると、軽くため息をつき、席に着く。

リアは小声で「ごめんね?逆らえなかったの」と言いながら席に着いた。


後で問い詰めてやる...。


空いている席はお爺様の対面だけ。

ま、そうだよね。


諦めて「失礼します」と言いながら席に着く。

落ち着かないので、早速紅茶を一口含むが味が分からん。


同じように一口飲んだお爺様が、いきなり本題に入って来た。


「おぬし、何者じゃ?」


低い声で真正面から切り込んできた。

こちらも準備していなかったら、普通に切られていただろうな。


「タニアからの報告があったのではないですか?あと...黒梟...でしたか?そちらからも報告があったと聞いておりますが?」


と、軽くジャブを放っておく。


「ほう?国家秘密組織の事も知っておるのか?ただ者ではないのう...」

「あ、それ、近衛将軍からの情報なので、私が調べた話ではないでうs」

「あの堅物...まぁよかろう。黒梟は公然の秘密の存在だからな」


これで近衛将軍に対してちょっと一矢報いたかもな。

彼の事は嫌いではないが、これぐらいの嫌がらせは許してもらおう。


見ると、タニアも悪い顔をしている。


それを見たお爺様は軽くため息をついた。


「なるほど。おぬしたちは本当に良い仲間になっておるな」

「はい。リョウは最高の友です」


タニアが胸を張って答える。

嬉しいけど恥ずかしいぞ。


「タニアはこやつの事を良く知っておるのか?」

「全てではありませんが、他の誰よりも良く知っております」

「リアは?」

「アタシもリョウの事はお姉様程ではありませんが、良く知っています」

「ふむ。その知っている内容の中には、儂にも言えない事が含まれておると思って良いのか?」


何気に核心に触れてくるお爺様。

侮れない。


「はい。言えない事が沢山あります」


しかし、それに即答しちゃうタニアさん。

ちょっと駆け引きってのを覚えた方がいいかもな。


「沢山か...それはそのまま謁見の間の会話と繋がるのか?」

「はい」

「儂にも言えぬのか?」

「リョウの仲間以外には言えません」


ここまで素直に自分の肉親に応えてくれるタニアに頭が下がる。

いや、絶対にタニアを裏切る事は出来ないな。


「仲間と来たか...では、そこのゴーレムも仲間という事だが、ゴーレムは知っておるのか?」

「いえ。まだちゃんと説明はしておりません。何せ今日会ったばかりなのですから」

「おっと、そうであったな」


昨日から色々ありすぎて大変だが、カラーは今日会ったんだよな~...。


「しかし、お前は分かろう。国として、こういう者を放置できないという事を」

「承知しております。が、リョウはこの国の者ではありません」

「いずれ、この国から離れる者だと言いたいのだな?」


あ...。


「!?...それは...そうですね...いずれは別れる時が...来ると思います...」


タニアが苦しそうな顔になっている。

一瞬、助けようかと思ったが、出来なかった。


...俺は、どう、したいんだ...。


「はぁ...ともかく、こやつは危険な者じゃ。色んな意味での」


何かを察したのか、お爺様は渋い溜息をついた。


「...お爺様には、リョウはどのように見えるのでしょうか」

「ん?それは言えんのぉ。そちらの秘密を教えてくれたら教えてやるが?」


これ以上、このままタニアに任せるのも酷だな。

無礼を承知で、ここからは私が対応しよう。


「なるほど。それほどに私は危険視されているという事ですか」

「その思考の早さ、判断力、肝の太さ、意志の強さ、そして、言葉の選び方。それらが全て脅威じゃわい。おっと、言ってもうたな」


何をおっしゃるやら。

それは今までの会話から判断出来る内容だ。

この爺さんはそれ以上の事を考えている。間違いない。


「ご冗談を。そもそも私が知りたいのは、その感想からの結論です」

「結論?結論は出ておるじゃろう?...『脅威』じゃと」


ギンッっという音が聞こえそうな眼光で私を射抜く。


この世界の神話は「星に乗って来た神々」から始まった。

ひょっとしたら、「新たな星に乗っってきた者」とか思われているのかもしれない。


だとしたら、かなりの脅威だろうな。


「そこからの私への『対処法』と『攻略法』をお伺いしたいのですが?」

「そんなもの、儂が知りたいわい」


今のところ、私を脅威だと思っているが、問題になっている訳ではない。

一旦様子見にして、状況を伺おうって所だろう。


儂が知りたいと言いながら、その雰囲気が伝わって来た。


いや、面白い爺さんだ。ここまで腹を割って意見を戦わせたのは久しぶりだな。

爺さん...いや、失礼だったな。ニアラブ様は本当に私を脅威に感じていると同時に、タニアの事を考えているし、さらには国の事を考えている。


名君とは彼の事を言うのだろう。


「ニアラブ様、今更ですが失礼な言葉の数々、ご容赦ください」

「...それは良い。しかし、ますますおぬしを危険人物だと思うわい。悪いが色々と動かさせてもらうぞ?」


渋い顔で軽く睨み、紅茶に口を付ける。

正面切って「監視する」と言われてしまった。いや、別にいいけど、清々しいまでの直球勝負だな。


「それはご随意になさってください。こちらも対処いたしますので」

「ふん!覚悟しておけ」

「承知いたしました」


さて、これで問題についての会話は終了だろうな。


この城に入ってから、やっと一息つける。


ぬるくなってしまった紅茶に口を付け、唇を湿らせた。


「ところで、おぬしは武人としては中途半端じゃな?」


おそらくワザとだろうな。口に含んだ瞬間に変な事を言ってきた。

危うくお爺様の顔面に吹く所だったぞ?


「...ご明察」


正直、この世界の「武人」は肉弾戦や剣術に特化した人間を指す。

私は基本的には「戦略・戦術」、そして「銃器」と「ナイフ」の扱いに特化しているのだ。


中途半端と言われるのは間違いない。


そして、目の前の御仁は間違いなく武人だ。


その後、しばらくニアラブ様と雑談をしていたら、コンコンとドアを叩く音が聞こえる。


「入ってもよろしくて?」


女の子?誰だ?王族の誰かだろうか?

まぁ、誰でも入っていただいて問題ないからな。

とりあえず、入ってもらおうか。


「どうぞ」

「失礼します」


水色のドレスに身を包んだお嬢さんが入って来た。


「うぇ?クウィルお兄様?どうしてここに?」


と、リアがすぐに反応する。

あ~、王族の1人なのね。クウィルお兄様...お兄様?...お兄様!?


「お...男の娘!?」


王子が男の娘!?なんでまた!?



「『おとこのこ』って、淑女に対してちょっと失礼では?」


機嫌を損ねるつもりは元からないのだ。

しかし、これはどうすれば良いか分からない。

とりあえず、事実をそのまま伝えるのが一番良さそうだ。


「大変申し訳ございません。我が国においては『おとこのむすめ』と表記して『男の娘』と呼ぶ習慣がございますれば...思わずの言葉でございまして、ご容赦ください」

「『おとこのむすめ』?それは大変面白いですね...なるほど、勉強になります。そういう事であれば問題ありません。事実ですものね」

「寛容なお言葉をいただき、感謝いたします」


事なきを得たか...いや、マジで驚いた。


「では改めまして。私はクウィル・ソラ・バルバクス。国王の次男です。どうぞお見知りおきを」


綺麗なカーテシーで挨拶してくれた。

返事はしなきゃだよな...。


席を立ち、クウィルお兄様に近づき、日本式の挨拶をする。すなわちお辞儀だ。


「初めまして。私はリョウ・カダヤです。こちらこそよろしくお願いいたします」


冷静に挨拶出来たよな?リアルの男の娘は初めてだぞ?


そんな私の心中を知ってか知らずか、さらに爆弾を落として来た。


「お父様より言付けを預かっております。今夜は家族全員で夕食をとなりました。リョウ殿もご参加してくださいとの事です」

「夕食...ですか?」


国王家の夕食は大層豪華なのだろうが、味が分からなくなりそうだ。


「はい。私の他にもまだ挨拶が出来ていない者もおりますので。あ、家族の食事になるのでそれほど堅苦しいものではありませんから、ご安心を」


と、可愛らしい仕草と共にニッコリ笑ってくれた。


「そこには儂も参加するぞ」

「それ、絶対に緊張せざるを得ないのですが?」


堅苦しくないと聞いて安心したけど、お爺様が参加されるんだったら絶対に安心出来ないんだけど?


「本人を目の前にそれを言う奴が緊張なぞするものか!!」

「いえいえ。それはそれ、これはこれ」

「おぬし、儂をなんだと思っておるのだ?」

「影の実力者ですが?」

「はぁ...もう良いわ...」


やっと一矢報いた感じだな。

次は完勝したいんだが、難しいだろうな。


その会話を聞いて、鈴が鳴るような可愛らしい笑い声をクウィルお兄様がされる。

...ホントにお兄様ですよね?

二十歳前後に見えるので、声変わりはしていると思うんだけど?


「では、お伝えしましたよ。時間になりましたら人を寄こしますので」

「承知いたしました」


と伝えると、にっこりと笑った後、少しだけ腰を折り部屋を出ていく。

いや、どう見ても娘さんにしか見えないぞ?

男の娘って、こういうものなのか?


「さて、儂も用事が済んだからのう。もう行くわい」


紅茶を飲み終わったお爺様が席を立つ。

歩く姿もしっかりしている。

こういう人は本当に長生きするよね。


「おもてなしも出来ず、申し訳ございません」

「本当じゃわい。ここまで手強いとはのう」

「私は至って普通ですよ?次は美味しいモノを用意させていただきますのでご容赦ください」

「儂を買収するつもりか?」


そのつもりですが、そう簡単にはいかないだろうな。


「滅相もございません。感謝の気持ちでございます」


という私の言葉を完全に無視をしてタニアに向かって言い放つ。


「タニアよ。こやつの事について報告を待っておるぞ」


なんでやねん!!


「承知いたしました。でしたら『カレー』という美味なる料理について、ご報告に行きますね」

「料理じゃと?そんなものはいらんわい!」


と、怒りながら部屋を出て行った。


いや、面白いお爺様だ。

しかし、切れ者だな。あの人の息子たちがこの国のトップな訳だ。


これは、頼もしいのと同時に、こちらも身を引き締めないとダメだな。


それにしてもお爺様は私の名前を一切言わず、「こやつ」だけで通されてしまった。

私は敵ではないが、部外者だという事だろうな。



当座の問題は今夜の夕食会か...。


あ、胃が痛くなってきたぞ?夜霧に戻って胃薬でも飲もうかな...。


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