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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第4章 異世界のやはりマッドな世界
45/56

■■■ Step036 ゴーレム娘の取説よりも、国王用のマッドな取説が欲しいです

ようやく、首都に到着したようです。

色々問題はあるが、一旦全部保留にして首都に向かう。

ここでカラーさんを放り出しても問題はあるだろうし、また山賊や盗賊の餌食になるだろうしな。

いや、全く問題はないとは思うが、正直それは可哀そうだし...。


連れて行くにしても、別れるにしても、首都までは連れて行くべきだろう。



首都が見えるところまでまず移動しようと言う事で、またタニアとリアには夜霧に残ってもらい、カラーさんから色々と情報収集をしてもらうようにお願いした。


私はこっちの世界の常識がないからな。

ここはタニア先生にお任せしよう。



久しぶり...っていうか、ほぼ初めてじゃないか?1人で電龍を操縦するのは...。

ちょっとの時間だけならあるが、がっつり1人は初めてだな。


この世界に来てからは、必ずタニアがすぐそばに居てくれたからな。心強いのと安心感があったのだが、1人になると、うむ...ちょっと心細いかもな。

しかし、今後タニアと別れて行動する事もあるだろうからな。

ネガティブな事を考えないようにしよう。


そんな事を思いつつ、首都セルドイに向けて電龍を走らせる。


千里眼で確認すると、ワツナから例の国王の使者君が移動を開始したようだ。

あちらは街道を通っているので、夕方前には首都に到着するんじゃないかな。


で、追手だが、まだハブからは出ていないようだ。

渡河に時間がかかっているんだろう。



しばらく道なき道を走り、首都が見える丘に到着した。


首都セルドイは一国の首都という事で、かなり大きい都市だ。

千里眼からは見ていたが、この位置から見る首都は壮観だな。


平野のちょっとした山の上に、真っ白で大きな王城が建っている。

そこから離れた場所に、これまた大きな建物...あれがワルター教の総本山である『ジョーチェ大聖堂』なんだろうな。


城壁が3重になっていて、一つ目の城壁は3mぐらいの高さ、二つ目の城壁は5mぐらいで、三つ目の城壁は約10mだ。


一つ目の城壁の中は市街地らしく、普通の市民が生活をする区画だそうだ。

ここの区画にジョーチェ大聖堂がある。


そりゃ市民が自由に出入りできる場所じゃないと困るだろうからな。


で、二つ目の城壁の内側が貴族や軍関係の区画だそうだ。

当然、三つ目の城壁の内側は、王城の区画。



エルセリアの城壁は1枚だけだが、最前線の為か壁の高さは15mぐらいあった。

あれを攻めるにしてもかなり大変だろうなと思ったが、首都セルドイも難攻不落だな。



近くにダブ湖があり、そこから運河を引いているようだ。

外側城壁には堀があり、水で満たされている。城壁の北側と東側全域にだ。

これだけで攻めるのは難しだろう。


城内にもその運河の水を引き入れているようだ。

なので、通行する道が限られる。


かなり計算された区画配置だと思う。


まぁ、この世界では結局兵での戦闘がメインになるし、王様を取られたら負けだ。

ある意味将棋と変わらない。



さて、お昼前だが、見晴らしも良いので、この辺りで昼食にして、それから首都に入ろうか。


丘の麓の小さな湖の近くに電龍を止め、水を補給しつつ休憩とした。


お風呂のお湯は浄水器で再利用をするけど、下水は流石に処理が大変なのでな。

ここは宇宙空間ではないので、全部再利用はさすがに止めたのだ。


そもそもそこまでする理由が無いのと、そんな施設を夜霧に搭載するには実際問題無理だからな。



「で、結局どういう話だったの?」


お昼は時間が簡単にしたいのと、食べ物を残したくないのでサンドイッチにした。

作るのも食事を摂るのも簡単だし、食べながら話も出来る。


「そう言えば、カラーさんは食事は?」

「私はゴーレムなので食事を摂る必要はありません。食べれない事はありませんが、あまり意味がないのです」

「あ~...そうなんだ」


見た目は完全に人間の女性なので、感覚狂いそうだな。


「ただ、水分は補給が必要です。なので、お水を頂ければ大丈夫です」

「あ、そうなんだ。ちなみに、紅茶とかでも良いの?」

「はい。大丈夫です。一応味覚もございますので」


かなり優秀なゴーレム娘だな。


そんな訳で、サンドイッチと飲み物、私はコーヒーだが、タニアとリアとカラーさんには紅茶を出した。



「あれから色々と聞いたが、彼女は昨晩目覚めたんだそうだ」


食事を初めてすぐに、タニアからカラーさんについての報告をしてくれた。


てか、目覚めたってどういう事だ?


「昨晩?え?それ以前は寝てたって事?」

「ゴーレムに対して寝てるというのはおかしいと思うが、神話の時代にイスフォーンにより停止させられて、昨晩まで寝てた...というか停止してたそうだ」

「神話の時代?」

「そうみたいなのよ...他の神々とも知り合いだったそうで、国教のワクター様や私が信仰するベルテクト様とも会ってたそうね」


ワクターは魔法の理を司る神で、ベルテクトは鍛冶と戦の神だそうだ。

てか、なにそれ?やっぱり神々は実在していた世界なんだ。


だとすると、「神滅戦争」の時はどうだったんだろう?

非常に気になる。


「参考までに、いつ頃イスフォーン様に停止させられたの?」

「今の時代で「神滅戦争」と呼ばれている戦争が始まってすぐですね」


と、本人から説明が入った。

まぁ、本人に聞くのが早いか。


「なんで停止されたんだろうね。戦争だったら1人でも多く仲間が必要だったはずなのでは?」

「そうですね。私もそのようにお伝えしたんですが、私はそもそも攻撃が出来ないので...」


あ、本当に攻撃出来ないんだ。

っていうか、神を相手に攻撃しても通じない気がするけどな。


ん?そういや、神々を攻撃する為にドラゴンを創造したんだっけ?


「ところで、私はどれぐらい停止していた事になるのでしょうか?」

「あ~...おそらくだが、数千年、数万年単位で停止してた可能性があるみたいだぞ」

「そんなに停止していたのですか?どうりで色々と違っている訳ですね」


停止していたら、時間の流れは分かんないだろうしな。

あれ?そういやカラーさんはどこで目覚めたんだ?


「カラーさんはどこで目覚めたんだ?停止していたのはどこなのか?って事なんだが」


と、近隣の地図をタブレットに表示させて見せてみた。


「今はここで、ここに向かっている途中なんだ。これで大体分かるか?」

「はい、大丈夫です。私は、この遺跡の最深部で目覚めました。イスフォーン様からは東に移動し、ご主人様に仕えよと言われました」


と、出会った場所からは約3km、ここからは約9km程離れた、ベールナル山脈の麓近くの遺跡を指さした。


タニアから聞いた話では、ここの遺跡調査は進んでいないらしい。

国内では一番古いとされる遺跡だそうで、噂では神話の時代と言われていたそうだが、カラーさんの話で本当に神話の時代からの遺跡だったようだ。


「そう言えば、どうして私たちの顔を知っているのか、を教えて欲しいんだけど」

「私の事はカラーとおよび下さい、ご主人様。それは簡単です。イスフォーン様に皆様の画を見せていただきましたので」


どうしても私をご主人様に据えたいのね。まぁ良いけど。

じゃあ、以後はカラーって呼び捨てにしようかな。


ともかく、私たちを間違えなかったって事はイメージが見えたって事なのね。


と言う事は、イスフォーンは我々を見ているって事になる。


なぜ見ているのか、どうしてカラーを派遣したのか、何がしたいのか、どうして欲しいのか、一切分からない。

その分からないモノの集大成がカラーである。


そもそもカラーを同乗させて大丈夫なのか?

いや、先ほども見たが戦闘力はなくとも、あの防御力は侮れない。

ましてや、確認方法は無いのだが、神の使いでもある。ぶっちゃけ無碍にも出来ない。


そして「何もできない」と言いながら、色々と助言もしてくれるし、行動そのものには悪意を感じない。


もっともゴーレムだから、悪意とかは無いのかも知れないが...。



「しかし、見た目は完全に人間だよね」

「そうですね。イスフォーン様がそのように私を創られました。ゴーレムですので繁殖機能はありませんが、愛の女神の創造物として『愛し合う行為』の機能は備わっています」


ぐはぁ!!


「な...なんでまた...そんな機能が?」

「イスフォーン様は愛と自由の女神様ですので当然です」

「当然?当然...なのか?」

「はい」


意味が解らん。

タニアとリアは目を丸くしているぞ?まぁそうだろうな。

とにかく驚きである。色んな意味で...。


とりあえず、この件はこれ以上触れないでおこう。


「それにしても、この夜霧...でしたか?この構造物が魔力を集めているのですね」

「あ、分かっちゃう?」

「はい。私も魔力が動力源なので、魔力を集めているのですが、私のそれを上回る勢いで集めているので驚きました」

「え?そんなにすごいの?というか、魔力が動力源なのか?」

「はい。私はゴーレムですので、魔力で動いています。そして私の魔力収集はイスフォーン様が作られたものですが、この夜霧は私の5倍の収集力です」

「そんなにするんだ...ていうか、ゴーレムも驚くんだね」

「私はイスフォーン様にゴーレムとして創られましたが、枠としては生命体として存在するものです。なので、疑似的な感情ではなく、ちゃんと感情はあります」

「なるほどね」


ともかく、カラーについてはゴーレムではなく、「頑丈な女性」として扱おう。ゴーレムと思うと違和感が半端ないからな。

そもそもの問題は、脳内のゴーレムが有名なRPGのゴーレムだからなのだが。


「あ~っと...本当に私に仕えるつもりなの?」

「はい。イスフォーン様のご命令ですので、絶対です」

「そうなんだ...」


攻撃はしてこない。というのは自己申告なので若干信じ難いが...。

だが、あの堅牢さはかなり非常に厄介だ。

おそらく、私たちが追い出そうとしても、「我関せず」で「ここ」に居る気がする。


正直、追い出すのは不可能な気がする。

そもそも見た目が美しい女性っていうのも反則である。


ここはタニア先生の意見を聞いてみよう。


「なぁ、タニアはカラーを連れて行く事に関して、何か言いたい事あるか?」

「あると言えばあるが、それは個人的な事だからな。それ以外は特にないし、そもそもイスフォーンのゴーレムなんだろう?諦めるのが良さそうだが?」


個人的な事っていうのは気になるが、それを聞くのも野暮だろうな。


タニアとしても「諦めろ」って判断なのね。


「やっぱりそういう考えなのね。リアは?」

「アタシ?アタシは別に問題ないかな?ほら、旅は道ずれって言うじゃない」


トラブルメーカーに聞いたのが間違いか?

いや、仲間だから意見を聞くのは当然だな。


ただ、あまり参考にはならないが、問題ないなら別に良いか。


「この世界でも、『旅は道ずれ』って言うんだ。じゃあ、このまま首都に入って国王陛下に会うけど良いよな?」

「大丈夫だ。カラーの事も、先ほどの山賊の事も、私の方から話をしておく」

「すまんが、そこは任せるよ」


こういう事は、権力に近い人がやってくれるとスムーズに進むからな。

悪いが丸投げだ。



とにかく、カラーについては、諦めて連れて行こう。

非常に硬いゴーレムだから、カラー本人の安全確保は無視できる。逆にカラーに防御担当をしてもらう事で、他の人の安全確保が出来るだろう。


あれ?これってかなり良い結果になったんじゃないか?



休憩中に昼食を済ませ、水を補給して、下水などの不要なものを綺麗に始末してから、改めて首都に向かう。

水は大事だからな。


リアとカラーは夜霧に残ってもらい、タニアを側車に乗ってもらった。

すぐに首都に到着するので、乗ってもらっていた方が手間が省けて助かるからだ。


タニアは後ろに乗りたそうにしていたが、流石にくっつかれると暑いので遠慮してもらったのだ。



移動中、千里眼で確認すると、追手についてはまだワツナに到着していない。

このペースだと、追手の到着は明日だな。


国王の使者君は、あと3時間ぐらいで首都に到着する感じだな。

ちゃんと昼食も摂っているようだから、問題はないだろう。


ただ、まさか我々が先に到着するとは思っていないだろうからな。

心の中で「ごめんね」と謝っておこう。意味はあまりないが。



移動を初めて30分後には首都の門に到着した。


一つ目の城壁の門でタニアに頼んで受付をしてもらった。

エルセリアでのやりとりは覚えたが、さすがに今回は国王からの招聘だからな。

タニアに丸投げである。


「このまま王城に入る事になった。王城前まで電龍で進めば良いらしいから、ゆっくり進んでくれとの事だ」


とタニアが戻ってきて後ろに乗る。

なんで?と思ったら、背中に引っ付き顔を隠した。


おいおい...だったら夜霧に乗れば良いじゃん...。


と、思ったが言っても聞かないだろうしな。



ふと見ると、1騎王城に向かって速足で出て行った。

あれは恐らくタニアの到着を連絡する早馬だな。


だが、街中ではスピードは上げられないので、ここでは速足になっているんだろうな。

それでも、あっという間に馬は見えなくなった。



私は仕方なく、フードを被って大通りをゆっくりと進んだ。


案の定、パレードになったが気にしていられないので、千里眼の地図を見ながら王城を目指す。


ゆっくり移動したので時間はかかったが、二つ目の城壁を超えたらパレードが途切れた。

それでも、通りを歩いている人はこちらを見て立ち止まる。


まぁ仕方ないよね。


そして、やっと三つ目の城壁を超えた。


目の前には白い威圧感のある、荘厳な王城が建っている。

いや、近くで見ると凄いな。大きいというのはそれだけで圧倒されるが、この王城は荘厳さも兼ね備えているので、迫力が違う。


思わず口を開けて見上げてしまった。



「リョウ。城は後でゆっくりと見たら良いから、奥に進むぞ」


側車からニヤリ笑いをしたタニアが声を掛けてくる。


しまった。恥ずかしい所を見られてしまった。

ちょっと恥ずかしいので言い訳をしておこう。


「大阪城はここまでの迫力が無かっただろう?だから仕方ないんだよ」

「そうか?私には大阪城も迫力があったが...まぁ、そういう事にしておこう。とにかく、前の兵士が待っている。彼の後について行けば良いから、頼んだぞ」

「分かった。とにかく進もうか」


目の前に騎乗した兵士が進み始めたので、後を追うように電龍を進める。


ていうか、あの兵士は凄く煌びやかな鎧を纏っているし、静かな雰囲気の中に気迫というか、凄みを感じる。

きっと名のある兵士に違いない。



電龍と夜霧を馬車が置いてある区画に入れ、兵士の後について城の中を歩く。

私とタニア、リアは当然として、カラーにも付いて来てもらった。


夜霧に乗せておくのもなんだしな。



頼むから、この後すぐに国王とかに会いたくないぞ。心の準備が出来てないからな。



だが、どのタイミングで国王が会うと言い出すか全く分からないので、夜霧でいつもの死神博士衣装に着替えておいた。

大阪の普段着姿では、さすがに失礼だろうからな。


一応、色々と必要そうなものはトランクに入れて持ってきた。

あと、剣士のつもりなので、星砕丸を腰に佩いておく。


タニアに聞いたところ、国王の前ではダメだが、その前に預ける事になるから大丈夫との事。


タニアとリアは普段着が気に入ったのか、そのままだ。

まぁ、勝手知ったる王城だろうし、そもそも自由なお姫様だからな。


カラーは鎧を着こんでもらった。

流石にハイレグ鎧だとまずいだろう。

ただ、兜は脱いでもらった。あれは厳ついからな。



そういや、今夜は王城で泊まる事になるんだろうな。

と考えて、一つ疑問が出る。



いつまで王城に居る事になるんだ?



国王に会う事しか考えていなかったが、どういう理由で呼ばれたか...コボルド・サイクロプス討伐の件という事は分かっているが、それ以外分からない。


どういう質問が来て、どういう返事をすれば良いか分からない。


こんな事なら、タニア先生に色々相談しておけば良かったよ。

後悔先に立たずだな。



と、そんな事を考えていたら、一つの部屋に通された。


「アルタニア様、アリアル様、そのご一行様につきましては、今しばらくこちらでお休みください。国王陛下が会うとの事ですので...」


マジか!早速会うんかい!!


という、内心の焦りを出さないようにしていよう。

いや待て!アルタニア様、アリアル様って何?


色々とパニックになっている私を置いて、タニアがシレっと兵士に返事をしていた。


「わかった。して、国王陛下はすぐに会われるという事なのか?」

「はい。まさかこれほど早く、使者も帰らぬのに戻ってくるとは思っておられなかったとの事で、法皇様、大将軍様の招集をかけておりますれば...」


うわぁ...マジで全員集合になるんだ...。


「お父様は分かるが、叔父様までか...。ところで、リョウの事について、話は聞いているのか?」

「リョウ・カダヤ殿については、私は何も聞いてはおりません。ただ、黒梟から報告があったとしか...」

「黒梟か...だとしたら、どういう報告かは国王陛下、お父様、大将軍しか分からないという事だな」

「そうなります」

「分かった。ありがとう。下がって良いぞ」

「は。失礼いたします」


兵士が下がると同時に、メイド?いや、これは侍女だな。が部屋に入ってきて、テーブルに飲み物を置いてくれた。

あとは、ちょっとしたお菓子だな。


それぞれを置くと部屋から出て行った。

ドアは開いている。


出入り自由って事らしいな。


有り難いが、流石にここで出歩く根性はない。

念のために夜霧を出る前にトイレも済ませておいたのだ。



ソファーに座り、脱力する。


いや、謁見前に疲れ切ってしまった。流石に国王に会うとか緊張が半端ないな。


「リョウ。かなり緊張しているな」


隣に座りながら、タニアがニヤリと笑い声を掛けてきた。


「おいおい。そりゃそうだろう。そもそも、国王陛下なんて簡単に会える人じゃないだろう?」

「確かにそうだな。私たちでさえ簡単には会えないからな」


向かいのソファーにはリアが座り、カラーは私の後ろに立っている。

私をご主人様と定めたので、そのように振舞っているんだろう。


座って良いよ。と言いかけたが、ここは王城の中で、どこで誰が見ているか分からない。

カラーは表向きは私の侍女という立場になるだろうから、ここはそのままで良いだろう。


「さっきの兵士は顔なじみなのか?」

「彼は近衛兵団将軍のゼルヴァン・ガルディオスだ。若いが実力は確かで、国王陛下に絶対の忠誠を誓っている男だ」

「近衛兵団将軍!?すごい人じゃないか!!」


近衛兵団って騎士団のエリートだろう?そのトップかよ...。


「当たり前だろう?国王陛下に会おうというんだ。リョウとカラーを確認しに出てきたんじゃないか?」

「勘弁してくれ...もう帰りたいぞ...」


マジで本気で大阪に帰りたい...。


「ふふっ。リョウでも弱音を吐くんだな」


タニアさん。なんか嬉しそうだな。

貴女は家族に会うだけなんだろうけど、アタシは国王に会うんすよ?


「当たり前だ。私を何だと思ってたんだ?」

「悪の科学者」

「あ~...間違っちゃいないんだが...」


それを言われると非常につらい...。

看板変えようかな...。「ヘタレの科学者」とか...。いや、アカンやろ。


「いや、すまない。ボスコボルドの時も、サイクロプスの時も、領主からの呼び出しの時も、伯父様からの呼び出しの時も慌てなかったリョウが慌ててるからな。ちょっと意地悪を言ってみたんだ。許せ」

「はぁ...まぁ良いけどね。おかげで私は落ち着いてきたよ」

「それは何より」


タニアがすました顔で紅茶に口を付ける。


自分の一口飲もうとして、ふと対面のリアを見ると、行儀悪くテーブルに肘をつき、手に顔を乗せてこちらをニヤニヤと見ている。


「なんだ?何かあったか?」

「べ~つに~」


ちょっと気持ち悪かったので、リアに問いただしたが、軽く躱されてしまった。


一体なんだろうな。


まぁ良い。

今の内に国王との問答のシミュレーションでもしておくか。


もっとも、何を言われるか全く予想できないのが問題だが、返答の方向性を決めておくだけでも全然違うからな。



時間にして約1時間後。


開いたままのドアから彼...ゼルヴァン・ガルディオス近衛兵団将軍が戻って来た。

その間にタニアにも色々と相談出来たので良かった。


「皆様。国王陛下の準備が整いましたので、こちらにお越し下さい」


別に構わないのだが、この人、暇なのだろうか?

まぁ、私みたいな良く分からない奴を放置できないんだろう。

あと、カラーも素直に「ゴーレム」と伝えているからな。そっちも警戒しているのだろう。


安心してください。彼女は攻撃できません。


と言っても信じて貰えないだろう。

まぁ、今日会った我々も半信半疑ではあるのだが。



ともかく、彼の声を聴いて静かに立ち上がり、彼の所に移動する。

私を中心にタニアが左、リアが右に立ち、カラーが左斜め後ろに立つ。


なんでアタシが真ん中なの?と疑問に思ったが仕方がない。



さて、いよいよ国王と法皇と大将軍との謁見だ。


正直、めっちゃ嫌!!

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