■■■ Step035 鎧の人はマッドな存在だったんだが、どうしたら良い?
こういうファンタジー世界ではテンプレの盗賊イベントですが、内容はテンプレとは全く違う内容です
夜霧から解放された電龍はあっという間に現場に到着する。
まだ朝日が上がって心地よい空気の中、今から今日一日頑張ろうと思う時間帯。
ガキンガキンと剣で鎧を殴っている音が聞こえるが、何かがおかしい。
8人で殴っている割には音が散漫だな...。
と思いつつ、電龍から飛び降り、そちらを見る。
そこには...疲れて倒れている8人の山賊と、1人で鎧の人に立ち向かっているリーダーらしき男。
え?どういう状況だ?
ともかく、腰に差した日本刀『星砕丸』を抜き放ち、襲っている男に向かって走る。
「何をしている!離れろ!!」
大声で呼ばわり、こちらに注意を引く。
まずは鎧の人の安全確保だ。
こちらは3人。
明らかに魔法使いの格好をしている女性。
武器を纏わず、軽装ではあるが防具で身を固めている格闘家の女性。
私の場合は、刀を使い慣れていない雰囲気があるだろうから雑魚と思われているかもしれないが、3対1では分が悪いと思ったのだろう。
男は鎧の人を一瞬睨み、少し離れる。
その隙に男と鎧の人の間に私たちが入り、鎧の人の安全を確保する。
見ると、この男もかなり疲れているようで、肩で息をしているぞ。
てか、そもそもどういう状況なんだ?
「てめぇ...こいつの仲間か?」
と、どすの聞いた声で聞いてくる。
普通の人間であればビビってしまうんだろうが、残念ながらこっちはそんな玉じゃない。
それに、肩で息をしてぜぇぜぇ言っている男が凄んだ所で怖くはない。逆に滑稽だ。
「いや。通りすがりの者だが、そもそもお前こそ何なんだ?」
「は?見て分かるだろ?俺たちゃ盗賊だ!」
ですよね~。
見て分かりました。
てか、堂々と「盗賊」って言っちゃうんだ。
「なるほど。で、こちら鎧の人を襲っていたと?」
「そ...そうだ!邪魔すんじゃねぇ!!」
「普通、ここまで来たんだから邪魔するに決まってるだろ?聞くけど、そこに転がっているのはお前の仲間か?」
地面に倒れこみ、ぜぇぜぇと息をしている8人の男。
てか、8人で鎧の人を殴って息が上がったんかい?どんだけ殴ったんだよ!
でもまぁ、当分復活できそうにないな。うん。一旦は放置で。
「そうだ!この人数で襲い掛かればお前たちなんて!!」
改めてこの男を見ると、筋肉隆々で持っているロングソードの構えもなかなかのもの。
かなりの手練れだと思われる。
倒れている連中もガタイの良い連中だ。
持っているのはロングソードやショートソード。飛び道具は持って無さそうだな。
しかし、「この人数」のほとんどは疲れ果てている状態だ。
そろそろ復活するかもだが、復活したとして使い物になるんだろうか?
対して私は昔ナイフでの格闘術を覚えたぐらいで、持っている日本刀での戦い方はマスターしていない。
日本刀での戦闘もこないだのコボルド・サイクロプス戦が初めてだ。
右腰のホルスターに納めた拳銃の方が、まだ馴染んでいるぐらいだ。
仲間のタニアは魔法使いなので、この距離での戦いは不向き。
リアは徒手空拳なので、こちらも武器を持っている相手には不利なはずだ。
一応、防具を渡しているので致命傷にはならないだろうが...。
しかし、こうなるんだったら、タニアにも防具を用意してやるべきだったな。
今度大阪に戻ったら早速用意しよう。
「おい!てめーら!頭を守れ!儂がこいつ等を殺る!」
気が付けば1人が立ち上がり、こちらに剣を向けてきた。
だが、まだ肩で息をしている。そして顔色は悪い。
他の連中もしんどそうだが立ち上がりつつある。
うむ。時間を与えすぎてしまったみたいだ。
仕方ない。
ここは一気に電撃で麻痺させて...。
「業火柱!!」
こっそりと呪文を唱えていたタニアが、力ある言葉を解き放ち、3人程固まっていた所に炎の魔法を打ち込む。
瞬間、火炎の柱が立ち上り、目標にされた3名が巻き込まれた。
「ぐあああああぁぁぁあぁぁあ!!!!」
一気に辺りが焦げ臭くなる。
立ち上がりかけていた他の男たちが、ギョッとしてその炎の柱に目を奪われた瞬間、リアが飛び出した。
「もっかい寝とけ!!」
プレゼントした足甲は膝から下は全て防具なのだ。
リアは踵を下からすくい上げるような動作で、男の股間を蹴り上げた。
こちらは防具で、あちらは防具無し。
当然、一撃で戦闘不能となる。
そして、勢いそのままに隣の男の脳天にかかと落としを決めていた。
あら~...これも一撃必殺だわね。
電撃で一網打尽にしようと思ったが、仕方ない。
ここはこのまま戦闘継続しよう。
いざとなれば無詠唱で電撃を喰らわせれば良い。
ともかく、あっという間に5人が戦闘不能となった。
残りはリーダー含めて4人。
こちらは3人。
「きたねぇぞ!急に襲い掛かりやがって!!」
何を言ってるんだ?
そもそも、よーいドンで戦闘なんかする訳ないだろ!
こういう事は先手必勝。
だがしかし、一応返事はしといてやるか。
「盗賊に言われたくないな」
言い返してやったらリーダーが喚き始めた。が、放置だ。
右手から間合いを詰めてきた男がショートソードを構えていたので、邪魔なショートソードを切り上げて弾こうとした。
キィィン...。
思った以上に甲高い金属音が鳴り響き、ショートソードが鍔に近い所から切れた。
あれ?こんなに切れ味良かったっけ?
一瞬疑問に思って動きが止まってしまったが、向こうも動きが止まっていた。
まぁ、お互いそうなるよね。
だが、今は戦闘中だ。
すぐに意識を切り替え、今度は袈裟に切り下す。
盗賊は左肩口から右腰の所まで一気に切られ、絶命した。
チラリとタニアを見ると、盗賊が2人向かっているのが見えた。
タニアは慌てることなく後ろに下がった。
その口は呪文を唱えているように動いているが、間に合うのか?
タニアを守ろうと思い、左手を突き出した。が、そのタニアがチラリとこちらを見てニヤリと笑った。
あ~...大丈夫って事ね~...。
と思っていたら、視界の端からリアが文字通り飛んできた。
丁度盗賊を横から襲う形になっている。
「吹き飛べ!!」
勢いそのままに盗賊の脇腹に見事な蹴りを入れる。
蹴られた盗賊から「ベキョ!!」という、いかにも「潰されました」という音が聞こえ、その向こう側に居たもう1人の盗賊を巻き込み吹っ飛ぶ。
「業火球!!」
そこにタニアの追撃の魔法が当たり、2人は綺麗に燃え上がった。
さて、残るは頭だけ。
「貴様ら...我が栄光の『鶏の飛翔団』を...!!」
いやいや...鶏は飛べませんから...。
てか、盗賊が「栄光」とか使うなし。
「で、お前らはこれで全員か?」
右手で星砕丸を持ち、頭に突き出す。
相手はロングソードだから、間合いは向こうが長い分こちらは不利だ。
だが、こちらは異様な切れ味だから、ロングソードを細切れに出来そうだ。
頭もそれを恐れているのだろう。間合いを大きく取っている。
「そんなはずは無いだろう!我が配下は3000人だ!!」
うわ...リアルにこういう事を言う奴は初めて見たわ...。
他にも伏兵が居たりすると面倒だからと思って聞いたのだが、どうやらこれで全員のようだな。
「じゃあ、お前を倒せばその3000人は散り散りだな」
上段に構え、脅してやる。
逃がすつもりはないが、剣士としては一番弱いであろう私に注視してもらえればタニアたちは安全だ。
向こうはタニアの魔法、リアの突撃、私の斬撃の3つを警戒しなければならないので、非常に不利だろう。
と見ていたが、頭がおもむろに左手を腰の後ろにやる。
この世界には銃は無い。が、吹き矢などの暗器は存在するはずだ。
特に毒を仕込んだ吹き矢はなかなか厄介だ。
これはマズったな。と思い、瞬時の判断でこっちも右腰に挿しておいた護身用の拳銃「コンシールドキャリー SIG P365」を慣れた動作で一瞬で抜き放つ。
そして、奴が暗器を取り出す前に直感で狙いを定めてトリガーを引く。
ダァーン!!
聞き慣れた炸裂音が鳴り響き、銃弾が発射され、頭の左肩を射抜いた。
「ぐわあああああぁぁぁぁああぁぁ!!」
ロングソードを取り落とし、片膝をつきつつ左肩を庇う頭。
すぐに近寄り、首を一閃する。
抵抗らしい抵抗もなく、刃が通り過ぎ、切り離されたモノが宙を舞う。
倒れこんだ胴体を念のために確認すると、左手に持っていたものは、やはり吹き矢だった。
私が切った2人は当然として、タニアが燃やした5人も黒焦げになっていた。
リアに蹴られた2人はち言うと、片方は頭部が大きく凹んでおり、片方は股間を押さえたまま動かなくなっていた。
これで全員が生命活動を停止した事を確認した。
「リョウ。大丈夫か?」
全員の死亡を確認した所でタニアが声を掛けてきた。
その顔は少し心配そうだ。
おそらく、一度大阪に行った経験から、私がこういう命のやり取りは無縁の世界の人間だと思われたのだろう。
本来であれば確かにそうなのだが、残念ながら高校2年の時に、普通からは外れてしまったんだよな。
だからと言って、慣れている訳ではない。
いずれ、タニアとリア、ミームもだな。ちゃんと話をしておかなきゃだな。
「あぁ、私はなんともない。返り血も浴びていないしな。タニアもリアも大丈夫か?」
「私は大丈夫。問題ない」
「アタシも大丈夫だよ。慣れてるもんね」
「あ、そうなの?」
リアは魔物討伐には慣れているだろうが、人間相手は慣れてないと思ったのだが?
「何度か盗賊団を壊滅させる依頼を受けた事があるからね」
そうなの?
でも、それって危なくない?
「ミームと2人でか?」
「まさか!大体20人から30人ぐらいで受けるわよ。そういう時はちゃんと統率してくれる人がいるので、その人に従って動くのよ」
「なるほどね。そういう依頼もあるって事か」
冒険者への依頼に盗賊団討伐もあるんだな。
そういう意味では、この世界はまだまだ物騒なんだな。
「私の場合は、リョウも知っての通り、魔法軍にいた事があるからな。すいぶんと昔だが、意外と覚えているもんだな」
「え!?お姉様!リョウにあの事を!?」
と、ここでリアが非常に驚く。
あ~...タニアのあの過去は確かに悲惨だとは思うが、リアがここまで反応するのは良く分からないな。
「ん?あぁ、ちゃんと説明をしたぞ。私がなぜ『紫紺の魔女』と呼ばれているのかをな...」
「お姉様...」
「そんな顔をするな。大丈夫だ。あれから6年も経つのだ。色々覚えているが問題はない」
「分かりました。その...良かった...」
と、言ってタニアに近づき、タニアをそっと抱き着いた。
胸に顔をうずめ、少し肩を震わせている。
タニアはリアの頭を軽く抱きしめ、その頭に頬ずりをする。
「ありがとう。色々と心配をかけたな」
「いいえ...本当に...良かった...」
どうやら、紫紺の魔女事件の事で、タニアとリアの間で何かあったようだな。
だが、解消された今、それを蒸し返すのも野暮というものだろう。
少し離れた所で2人を見守る。
さて、色んな問題が解決したが、大きな問題が残ったままだ。
「で、君は大丈夫かな?」
少し離れた場所に、何も言わずに立っている人物に振り向きながら声を掛ける。
あれだけ剣で殴られていたのだ。鎧もそうとうボコボコになっているだろうし、中の人も打ち身とかで大変な状態だろう。
そう思いながら、軽く確認する。
あれ?かなり剣で殴られていたハズなのに鎧には傷一つないぞ?
さらに、この細い身体はひょっとして女性なのかも?
あと、鎧からはサファイアブルーの髪が流れている。あれだけ剣で殴られたのに切れたりボロボロになっていたりしていない。
連中が大立ち回りをしていたので、多少の泥は付いてはいるが、鎧は綺麗な光沢を保っており、先ほどまで殴られていたのが、まるで嘘のようだ。
「この人たちにはほとほと困っていたのです。対処していただきありがとうございます」
と、鎧の人から鈴が鳴るようなと形容できるような、心地よい響きの声が聞こえてきた。
明らかに女性だ。
あ~...声優さんの中には男性なのに女性の声を出せる人もいるから、ちゃんと確認するまでは...って思ったけど、プロポーションが女性だったな。
どう返事をしたら良いか、ちょっと迷っている間に、鎧の人がその仮面に手をかけ、外した。
中から美しい女性の顔が現れる。
髪色はサファイアブルー。瞳は金色。
先ほどまで殴られまくっていたのにどこにも傷らしいものが無いその白い肌。
そして、表情は...無表情
だが、動きは人間の動きだ。
だが、人間特有の揺らぎがない。
普通、まっすぐ立っていても、身体が左右前後に揺れたり、少し動いたりする。
しかし、この女性は一切ブレがない。綺麗にまっすぐ立っている。
まるで訓練中の兵隊のようだ。
この人はどういう人だろう?と思っていたら、自己紹介をしてくれた。
「初めまして。私はイスフォーン様に創造された堅牢不滅型ゴーレム、『カラー』と申します」
え?ゴーレム?
え?イスフォーン様?
え?創造?
どゆこと?
彼女...ゴーレム娘のカラーさんを見つめ、固まってしまった。
...ゴーレムってしゃべったっけ?
そもそも、こんなに生々しい女性の姿だったっけ?
死体のゴーレム...確か「フレッシュゴーレム」っていうのが居たよな。
でもあれは死体だから、こんなにも生々しい事は...いや、それはそれで生々しいか。
そんな事を考えていたら、後ろからタニアが声を掛けてきた。
「リョウ。この娘...ではないな。ゴーレムの事は後でゆっくり話すとして、先に盗賊をどうにかしよう」
「お...おう、そうだな。で、こいつら、どうしたら良いんだ?」
全滅した鶏の飛翔団の皆様は、文字通り全滅したので息もしていない。
本来であれば、こういう奴等は出来るだけ生かして軍隊に引き渡すもんなんだろうな。
既に後の祭りだが、とりあえずタニアに聞いてみたが、殺してしまっても問題はないそうだ。
「結局、盗賊は死刑って事か?」
「子どもだったり、初犯だったり、色々と事情があったりする事を考慮して調査して、情状酌量の余地があれば死刑は免れるが、この連中にはそんなものはない。基本死刑だ」
「どういう事?」
「こういう山岳地帯での盗賊や山賊が初犯である訳がない。街や村で犯罪を犯し、そこに居られなくなったから、こういう場所に行く事になるのだ」
要は犯罪を犯しすぎて街中に居られなくなったものが、文字通り野に下ったって事か。
「なるほど。もうどうしようもない奴等って事だな」
「そういう事だ」
それにしても、こいつ等は平然と一般人を殺して金品を奪っていたのだろう。無抵抗な人たちを...。
だったら「俺以上の悪」という事だ。俺が気に病む理由はない。
色々納得してここを離れようとしたが、その前にリアの進言に沿って死体を燃やす事になった。
こういうのを放置しておくとアンデッドになるそうで、処理をしないとダメらしい。
盗賊たちをバラバラに燃やすのも面倒なので、魔法で地面に穴を掘り、電龍も使って9人を穴に放り込んでいく。
私の作業をタニアとリアが黙って見守ってくれている。
ある意味力仕事ではあるが、ほぼ魔法で作業を行っているので疲れる事はない。
盗賊たちを集めた後、電龍に積んでいたガソリンを投入して一気に燃やした。
発電機用に積んでいたガソリンが役に立ったな。
燃やしながら、心の中で「南無阿弥陀仏」と唱える。私は仏教徒ではないが、こういうのは日本人のDNAなんだろうな。
死ねばみんな仏だからな。来世では清く正しく生きろよ。
さて、後始末が終わったので改めてゴーレム娘に向き直る。
が、この場はいつぞやのコボルド・サイクロプス討伐の後と同様に不快な臭いが立ち込めている。
普通に死体に溢れているからな。
ここではゆっくりと話が出来ないな。
気は進まないが、ゴーレムとは言え女性でもあるからな。
一旦、我が家である夜霧に招待しよう。
「えっと、とりあえず話をしたいんだけど、ここは殺風景だから場所を移動したいんだが、大丈夫か?」
「大丈夫です。お供いたします」
近くとは言え夜霧までは距離があるので、まず私が電龍で夜霧に戻り、ここまで持ってきてから3人を夜霧に乗せた。
そして殺風景な場所から移動する。
夜霧に3人を乗せたまま、数キロ移動して見晴らしの良い草原で停車した。
電龍を監視モードに設定し、夜霧に移る。
「戻ったよ」
「おかえり」
「リョウ、おかえり」
「おかえりなさいませ、ご主人様」
ん?なんだ?ご主人様って?
見るとゴーレム娘が鎧を脱いだようだ。
床に金色に輝く鎧が転がっている。
そして、本人はレオタードのような鎧を身に着けている。
その鎧も金色だ。
そりゃ盗賊に狙われるよな。
それよりもさっきのセリフだ。
「さっきからこのゴーレム娘さんは私の事を『ご主人様』と言っているが、どういう事なんだ?」
思わずタニアに聞いてみた。
この世界の常識はまだまだ分からない事だらけだからな。こういう時こそタニア先生の出番だ。
「あ~...先に色々と話を聞いていたんだが、この娘はかなり大変な存在だぞ」
「え?大変?」
そこまで黙って聞いていたゴーレム娘がすっと一歩前に出る。
「改めて自己紹介をいたします。私はイスフォーン様に創造された堅牢不滅型ゴーレム、『カラー』と申します」
「堅牢不滅型ゴーレム?」
「はい、そうです。ご主人様」
だから、なんで「ご主人様」なんだよ!!
「リョウ。まず『イスフォーン』はエルヴァータル神話に出てくる神々の一柱だ」
「神?一柱?」
なんとなく聞き覚えはあるが、思い出せないぞ?
「覚えてないかも知れないが、トモニアで洞窟に行く前に神話を語ってやっただろう?」
あ~思い出した。
コボルド討伐の前日に、洞窟を下見しようとして、タニアと2人で歩いていた時に聞いた神話だ。
「あ~あれか!太陽神と恋をして不倫しちゃって戦争になったきっかけになったという」
「イスフォーン様は愛に自由ですから」
「そう言えばイスフォーンは愛と自由の女神だったか?」
「はい。その通りです」
「で、そのイスフォーン様が創られたゴーレムのカラーさんは、どうしてあんな所に居たんだ?」
それを聞いた瞬間、タニアとリアが非常に微妙な顔になった。
既に話を聞いたんだろうが、私は聞いていないので、そこは勘弁してもう一度しゃべってもらおう。
「ご主人様に仕える為です」
え~っと...どういう事?
「さっきからご主人様って言ってるけど、ご主人様はイスフォーンじゃないのかい?」
「イスフォーン様はご主人様ではありません。あの方は私の創造主ですので、神様です」
まぁ普通に女神様であるから、神で間違いないが...。
「で、なんで私がご主人様?」
「イスフォーン様から貴方に仕えるようにと言われました」
「はい?」
「ですから、イスフォーン様からの命令です」
イスフォーンってまだ存在してるんだっけ?
いや、それは今はいい。
「なぜ?私に仕えよと言われたの?」
「それは分かりません」
「あ、そうなんだ...」
分からないのに従うんだ。
まぁ、神様からのお告げだったら仕方ないな。私は納得していないが。
「じゃあ、話を戻して...どうして盗賊に襲われていたんだ?」
「あの迷惑な人たちですか?よくわかりません。急に脱げと言われたのですが、意味不明でしたので無視していたら攻撃されました」
金ぴかの鎧だったからな。
奴等もまさかゴーレムとは思わなかっただろうが。
「一切抵抗してなかったけど、どうして?」
「私は攻撃できません。ですので放置しておりました」
「え~っと、めっちゃ殴られてたけど大丈夫なの?」
「はい。私は堅牢不滅型ですので」
「そうなんだ~」
堅牢不滅型ですか~...そりゃあ、あれだけ殴られても傷一つ付かないわ...。
「ちょっと話が戻るんだけど、どうしてあんな場所に居たの?」
「あそこに居ればご主人様に会えると、イスフォーン様から言われたのです」
「え~っと、今もイスフォーン様から何か言われている?」
「いいえ。もうお声は聞こえないですね」
そうなんだ。
「で、やっぱり私に仕えるって事なんだよね?」
「はい。よろしくお願いします」
しかし、相手が神や神の使者...ゴーレムだけど...だけに何を考えているかさっぱり分からないよね。
そもそもなんでだ?私に仕えるという意味が全く分からない。
「ちなみに、何が出来るの?」
「さて?何が出来るんでしょうね?」
おいおい...何もできないんじゃないんでしょうね?
神様、こんな奴を私に送って何をしたいんでしょうか?
「特技とかは何?」
「堅さでしょうか?」
そっちかい!
「それ以外は何も出来ないの?」
「それは分かりません。覚えれば出来るでしょう。ただ、私は一切攻撃は出来ません。受けるだけですのでそれだけはご了承ください」
「なるほど。分かったよ。また色々聞くかもしれないけど、今日中に首都に着かなきゃならないんだ」
ぶっちゃけ、ちょっと情報過多になってきたしな。
しかし、「猫を拾いました」じゃなくて「ゴーレム拾いました」かよ...。




