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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第4章 異世界のやはりマッドな世界
41/56

■■■ Step032 首都を目指してみたけどダメだった

なんやらかんやらでハブの街に到着しましたが、問題発生したようです・・・

あっという間にハブに到着した。

時間にして28分。


ハブが見えたぐらいで速度を90km/hから40km/hに落としたので、時間的にはそんな感じだ。


側車ではリアがぜ~ぜ~と荒い呼吸をしているが、生きているから大丈夫だ。

タニアは背後なので分からないが、まだ背中に張り付いている。


もう門が目の前なので、タニアに声を掛けよう。


「タニア。そろそろハブの街に入りたいんだが、どうしたら良い?

「ん?え?もう着いたのか?」


気が付いてなかったのか?


「あぁ。もう門の前なんだが、受付とかはどうすれば良いんだ?」

「あ~っと、すまない。門で手続きをするので、少し待っててくれ」


そういうと、電龍から降りて門に向かう。

ちょっとふらふらしているが大丈夫かな?


タニアはすぐに戻って来た。

国王様からの呼び出しなので、優先的にしてもらえるそうだ。


門を通り街中に入る。結構大きな街だな。


早速、タニアの誘導で船着き場に到着。

この街は川沿いに長く伸びているし、街の入り口から船着き場まではほぼ直線の広い道だ。


「いくつか渡しの店があるが、その中でも一番大きな店はここだ」


タニアが教えてくれた渡しの店に入る。


ちなみにリアはまだ側車で伸びている。う~ん...ちょっと心配だな。

あとで夜霧に積んでおこうかな。



「あぁん?誰だぁ?お前らは」


店内に入った瞬間、強面の店員?が声を掛けてくる。


「アージャ、久しぶりだな。元気にしてたか?」

「タ...タニア様!?」


どうやら馴染みの店員だったようだ。

それに「タニア様」って言っているから、タニアが姫である事は知っているようだ。


ひょっとして、王家御用達?


ともかく、タニアが説明をする為、店員を促して店をでる。

まずは件の夜霧を見てもらわなきゃだからな。


夜霧を見たとたん、店員...アージャが野太い声で結果発表してくれた。


「申し訳ねぇですが、この大きさを乗せる船がねぇです」

「う~む...そうなのか?」

「へい。この前の方の電龍?なら問題はありゃ~せんが、後ろのは船からはみ出ちまいます」


長さが10mもあるからな。流石に無理があったか...。


「困ったな。方法はないのか?」

「乗せるだけなら筏に乗せれますが、それだと漕ぎ手が大変ですな」

「筏はあるのか?」


思わず口を出してしまった。

ここはタニアに任せようと思ったんだがな。


「ああん!?誰だお前は!儂はタニア様と話してるんだぞ?」


おっと。職人気質なのか分からないが、案の定怒られてしまった。

いや、ヤクザ気質なのかも?


「リョウは私の相棒だ。無礼は許さん」

「ひぇっ!申し訳ありません!!」


すぐに、タニアが釘をさす。

なんとなくこうなる予感があったので、黙っていようと思ったんだよな。


「それは良いから、筏はあるのか?」

「あ、それはありますが...どうなさるんで?」

「まずは筏を見せてもらってからだ」


という事で、川の桟橋に移動して筏を見せてもらった。


「ちゃんと船の形をしてるんだな」


船首があり、舷側があるので立派な船に見えるんだが、船底が丸太組みだ。

浮力を得る為の船底の空洞が無い。うむ、立派な筏だな。


しかし、これだと夜霧を乗せて進めないな。てか、筏が沈むぞ。

夜霧のサイズは観光バスとほぼ同じ大きさで、重量も15tはある。


これは困った...。

素直にトモニアを経由した方がよさそうな気がしてきたぞ?


1人で考えてもダメだな。タニアに相談しよう。


「タニア。この筏じゃ無理だ。夜霧が重すぎて沈むと思う」

「そうなのか?ちなみに夜霧はどれぐらいの重さになる?」

「え~っと...お馬さん40頭ぐらい?」

「それは流石に無理でさぁ!絶対沈みまさぁ!!」


ですよね~...。


アージャが頭を抱えて大声を上げる。

いや、声がでけ~な。


さて、どうしたもんかなぁ~...。



丁度昼時という事もあり、お店に電龍と夜霧を一旦預け、近所の飲食店に入る。


この頃にはリアも復活していた。

きっと、お腹が空いたからだろう。


今回は私もお金を持っているので、自分の分が払えそうだ。


そういや、これが「初めてのおつかい」になるのか。いや、違うか。


ともかく、タニアとリアに料理の内容を聞きながら、肉料理を頼んだ。

名前だけじゃ料理が分からんからな。


「で、どうするのよ?船に夜霧が乗らなきゃ向こう岸に行けないわよ?」


料理が運ばれ、食べ始めた時にリアが聞いてくる。


なお、私とタニアはまだ大阪の普段着のままだ。


だからか、周りからチラチラと見られる。

気にはなるが、まぁこれぐらいなら許そう。


やはり、この恰好の方が楽だからな。

タニアもそう思ったから普段着でいるのだろう。


「分かってるよ。どうするかは食べ終わってから考える」

「それで良いの?追手が追い付いちゃうわよ?」

「今の追手はまだエルセリアとハブの中間ぐらいを移動している。ここに来るにはまだ半日ぐらいかかりそうだな」


と、手元のスマートフォンをチラリと確認して説明してやる。


「ん~?...あ...そうだよね...いつもならそんな感じだわ」

「馬も生き物だしな。休み休み移動しなきゃだろう」


やっと理解したようだな。

そもそも電龍は機械だから、電源がある間はずっと走り続けられるのだ。

馬よりも速く、疲れを知らないのだから、この世界では絶対的なチートだな。


「そういう事。ともかく、まずは腹ごしらえだ」

「確かにね。あ、それに向こうも食べなきゃでしょうし」

「違いない」


と、おしゃべりをしつつ食事をする。

うん。この世界の料理は普通に美味いな。



お店では下手な事をしゃべらないように注意して、食べ終わったので夜霧まで戻って来た。

テーブルには備え付けの椅子があるので、キッチンでティーパックの紅茶を淹れ、3人で並んで座る。


「で、結局どうするのよ」


私を挟んで右にリア、左にタニアが座り、食後のお茶を楽しもうと思ったのだが、リアが早速今後の話を聞いてきた。

ちょっとは考えて欲しい。と、思ったが、こんな巨大なものをどうするかなんて、私が考えなきゃダメだろうな。そもそも私の持ち物だし。


だが、ちょっと落ち着いて欲しいな。


「さっき食べ終わった所だろ?今から考えるんだよ!」

「え~?リョウの事だから、もう既に考えているのかと思ったわよ」

「いや、色々と考えてはいるけど、どれも決め手に欠けるし、基本追手よりも早く首都に到着すれば良いだけ...いや、遅くても良いのかも?」

「どういう事だ?」


こっちはタニア。

流石に逆説的な事を言ったので気になったのだろう。


「そもそも、追手の目的は何だ?」


と、根本的な疑問を口にする。

そうだよな。そういう考察はまだしていなかったよ。


「え?私たちを亡き者にしようとしている?」


リアがありえそうな事を言う。

うん。その線は良い感じだと思う。

思うのだが、問題はある。


「私たちを殺そうとする理由は?」

「え?邪魔だから?」


それは間違いないだろうね。


「どうして邪魔なんだ?」

「え?どうして?え?どうして...どうして?」


と、考え込む。

一生懸命に考えているリアは微笑ましいな。


「やっぱり、そこが分かんないよな?」


そう。亡き者にする理由が無い。もしくは思い至らない。


例えば、私という存在が邪魔になりそうだから消す。というのは考えられるが、コボルド・サイクロプス討伐や電龍の件だけでは弱い。

逆に、そんな事で殺されるのは正直勘弁して欲しい。


タニアやリアに至っては、今まで普通に...いや、普通かどうかは少々疑問だが、まぁ邪魔とまではなってなかったはずだ。


それが討伐以後に、急にこちらが討伐対象になるのはおかしい。


魔石の件があるからかもだが、それにしてもである。


「分かんない。じゃあ、リョウは分かるの?」

「分からん」

「何それ!!どうしてよ!!」


リアが怒る。

まぁ、確かに怒るだろうなぁ~...こんな問答は。


だが、リアにはもう少し「順番に考える」能力を付けて欲しいと思う。

リアは考える癖がないだけで、そもそも頭は悪くない。


なので、一緒に考えるようにすれば、ゆっくりとでも考える癖が付くかもな。


「そもそも私たちには領主に対する情報が圧倒的に少ないから、考えるにしても、これだ!って思えるような事はないんだよ」


私たちの情報は、領主がしつこくタニアを砦に来るように言ってくる。という事だけだ。

あとは、タニアが即答で「嫌」というぐらいに嫌な奴って事か。


そういや息子も居るんだったな。いくつぐらいだろ?

まぁ、それは後でも良いか。


今は領主の話だ。


「でもリョウの事だから、思いついた事はあるんでしょ?」

「思いついたというか、色々整理した結果としては、追手の任務は、単なる情報収集で、結果を領主に報告する。ただそれだけ」

「どういう事?」


リアが困惑する。

うんうん。分かるよ。私もこの考えに至った時、数秒思考が止まったもんな。


「領主も今回の国王陛下の招聘については、突然の事だったんじゃないか?そして、昨日の今日で私たちが動いたので、慌てて追手を送った。のかも知れない」


あくまでも想像の範囲だが、これが一番近いような気がする。


「要は、私たちがどういう理由で伯父様に呼ばれたのか、どういう結果になったのか、を領主が知りたいから...という事か?」


ここまで言うとタニアも分かったようで、頷きながら自分の言葉で同じ事を言ってきた。

この「自分の言葉で言う」というのはとても大切だ。

この作業をする事で、考えを咀嚼する事が出来るし、間違っている場合は訂正する事も出来る。


そこで一つ疑問が出た。


「国王陛下からの使者が来た時、領主の使者も来て、首都に招聘されたって事がバレたんだよな。領主の使者はどこまで聞いたんだ?」

「えっと、国王陛下からの使者は屋敷に招いて、応接室で話を全部聞いたでしょ?で、宿屋に戻るって言うから玄関まで送ったら、そこに領主の使者が来たのよね」


と、何もない上空を見ながら一つ一つ思い出している。


「で、国王陛下の使者が帰った後、色々聞かれたんだけど、彼は国王陛下の使者で、お姉様とリョウが先日の討伐の件で国王陛下に呼ばれた...けど、お姉様はまだ戻ってきてないから、どうしようって言ったわね」

「あら~...そのまんま言っちゃったのね。しかしまぁ、それぐらいなら別に大丈夫かな」


どうせ、国王に呼ばれた事はバレるのだ。

問題は、タニアが今どこにいるのか?いつ行くのか?あと、どういう話だったのか?になるな。


「そうなの?あ、『じゃあ、どうするんですか?』って聞かれて、『ちょっと聞いてみるわ』って言っちゃった...」


あ~...微妙なやりとりだが、それはそれで仕方ないな。

素直なリアだからな。


「で、それでどうしたんだ?」

「そこで、しまった!って思ったんだけど、どうしょうもないじゃない?あと『どうやって聞くんですか?』って聞かれて思いつかなかったから『どうしよう?』って」

「領主の使者に聞いちゃったんだ」


いや、リアらしい話の展開だな。

聞かれた領主の使者も困ったんじゃないか?


「だって、良い言い訳を思いつかなかったんだもん」

「いや、全く問題ないよ。で、それから?」

「え?『それを私に聞かれても困ります』って、『帰って来られてからの相談しかないですよね』とも言われたので、『そうね』って言ったわね」

「普通に誘導尋問されてるな。まあ問題なさそうだけど」

「うるさいわね!ちょっと警戒心が足らなかっただけよ!」


それはそれで困るのだが、この際それは問題ではない。

領主の使者が何を情報として持ち帰ったのかが問題なのだ。


「じゃあ、会話はそれぐらいか?」

「え~っと...そうね。そこで『では、失礼いたします』って言って帰っちゃったもの」

「なるほど。じゃあ領主は『タニアとリョウが国王陛下に呼ばれた』と言う事と『タニアとリョウは現在不在』と言う事だけを知ったんだな」

「そうね。あ!それだけだったら、何も知らないのと一緒なんじゃないの?」


リアもそこに気が付いたか。

得てして、リアの素直な対応で違和感なく領主の使者を追い返せたって所だろう。


領主としては、『討伐の事で国王に呼ばれた』とだけしか聞いてないので、どう対応して良いか分からないんだろうな。

で、こっちが動いたので、とりあえず追手を出した。って感じだろうな。


「そういう事。だから、私たちに対しては何もしてこない可能性がある。なので、追手に抜かれても基本的には問題はない。かも知れない」


となると、領主の思惑は分からないが、タニアは気になる存在であり、国王との繋がりが気になるという事だな。

ひょっとして、領主の座を追われるとか、そんな事を警戒しているのか?


「タニア。エルセリアの領主は、何か下手な施策をしているとかしているのか?」

「いや?そんな話は聞いてないぞ?クラスタンプ軍がちょっかいを出してくるが、きちんと対処しているし、街中の治安もちゃんとしている。最近は騎士や兵士が目立っているが、それぐらいじゃないか?」

「そうね。生活がちょっとうるさくなった、とか、息苦しくなったぐらいじゃない?でも、確かに兵士が多くなったわよね」

「なるほど。街的にはそれぐらいって事だな。じゃあ領主は現在問題ないって評価なんだ」

「そうだな。細かく見れば問題はあるだろうが、それはどこの領地でもあるだろうしな」


そうだな。政治とはそういうものだな。


「と、ここまで考えておいて申し訳ないが、やはり追手よりも早く首都に着きたいと思う」

「なんでよ!!さっきとは違うじゃないの!!」


盛大にリアが怒る。

その反応はある意味微笑ましいが、いつまでも怒らせておくのも恐いからな。


「怒るな。そもそも遅れても致命傷ではない。とは思うが、領主に情報が行く前に行動するのが一番確実に安全だ。というのは分かるよな?」

「あ~...それは分かる。っていうか、やっぱりそれが一番だと思う」

「だよな。だから、とっととこの川を渡ってしまいたい。ここまでは理解できたって事で良いか?」

「いいわよ」

「構わない。が、結局現状では川は渡れないという問題が残っただけだぞ?」


と、タニアが核心を突いてくる。


「そこなんだよな。で、色々考えたんだけど、これが一番良さそうなんだ」

「どれ?」


そしてタニアとリアにどうするかを説明し、問題ないとの事なので早速実行に移す。


さて、これで予定通り明日には首都に到着するぞ!!



あれ?国王からの使者よりも早く首都に着くんじゃね?


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