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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第3章 大阪の日常はただただカオス
36/56

■■■ Step030 国王からの要請と領主のマッドな思惑

やっと第3章が終わりました。

第4章から、また遺跡に行きます~


ですが、この後はサブストーリーが2話入りますので、少しお待ちください。

プルルルルル...プルルルルル...


夕食も終わり、いつものように3人で団らんしていた時だった。

タニアのスマートフォンが鳴る。


画面を見ると、リアからだ。


タニアが通話に出ようとしたので、私は一言断ってスピーカーモードにしてもらった。

前回の領主の件もある。全員で聞いた方が良いだろう。


もし個人的な話なら、その時に止めればいい。


『お姉様!大変な事が...』


いきなりの出だしで、スピーカーにして正解だったと確信した。


『どうした?』

『お父様と伯父様から、首都に来るよう要請されました…』

『私とリアがか?』

『いえ...お姉様と...リョウの2人です』


私?

思わずタニアと顔を見合わせた。


『私と...リョウ?なぜだ?』

『コボルド討伐の報告書が伯父様の所まで届いたらしくて...直接話を聞きたいと』


なるほど。そういう事か。

だが、伯父様とは誰だ?


『それは行かなければならないのか?』

『お父様はともかく...伯父様からの呼び出しは絶対ですね』

『どういう事だ?』


少し迷ったようにしてから、タニアが言った。


『...リョウにはあえて言ってなかったんだが...伯父様はジョーチェ法皇国の国王なのだ』

『...国王?』


思わず間の抜けた声が出た。

普通に思いつく範囲を超えているんだが?


え?あれ?国王?


『そして、お父様はジョーチェ法皇国の法皇なの』


法皇?


へ?


え!?ええええぇ~~~~~~!!

どゆこと~~~~~~!!


『...って事は、君たちは...』

『バルバクスの名を捨てたので今は姫という扱いではないが...まあ、実質は姫ではある』

『アタシとお姉様はバルバクスの名前を捨てて野に下ったの』

『私は14歳から従兄の屋敷...リョウも泊まったあの屋敷だが...そこで魔工師として暮らしている』

『アタシは2年前からお姉様の屋敷に住ませてもらって、冒険者をしてる』


は~...なるほど。


『かなり自由なお姫様たちだな』


かろうじて出てきた言葉がそれだった。


『まあ、色々あって我儘を通させてもらっている』

『とりあえず分かった。つまり国王の要請には応じないといけないって事だな』

『そういう事だ』


そこでリアが、少し困ったような声を出した。


『あと...伯父様の使者と領主の使者が鉢合わせして...』

『は?』

『国王からの呼び出しの話、領主にも知られちゃった』


マイガッ!!


『それ...面倒な事になる未来しか思いつかないな』

『領主の使いの人は女の人なんだけど、話がすごく上手なのよ。まるでリョウと話しているみたいだった』


それは警戒度が一気に上がる。


『リア、それはどんな人物なのだ?』

『三十歳くらい。黒髪で短髪。にこにこしてるけど、目は笑ってなかった』


...それは完全に諜報系だろ。


『他に特徴は?』

『左目の下にホクロがあった』


それだけ分かれば十分だ。

ともかく、監視手段を整える必要があるな。


『他には?』

『特に何も言わず帰っちゃった』


おそらく領主に報告するのを優先したのだろう。


ともかく、今回の件は早く対応するのが良さそうだな。

早々に国王に会って、すぐに領主の対応をするのが良いだろう。


今からこっちの準備をして、明日の朝に合流し、昼に出発。

順調なら明後日には首都だ。

問題はチェーベン川か。


あとでタニアと相談しておこう。


いや、それよりもだ。


『分かった。明日の朝そっちに行く。昼には出発するつもりだから準備しといてくれ』

『え?何の準備?』

『首都に行く準備だよ』

『誰の?』

『タニアとリアの』

『アタシも!?』

『え?』

『え?』


どうも話が噛み合わないな。

じゃあ、これでどうだ?


『じゃあ私とタニアの2人旅でいいのか?』

『ダメ!』


でしょうね。


『なら準備要るだろ?』

『ミームは?』


あ~...どうなんだろう?

同じチームだから来てもらっても良いけど、国王や法皇の前に出る度胸があるか?

ミームはありそうな気がするけど、巻き込むのも可哀そうな気がするな。


『さすがに国王に呼ばれた件に関しては関係ないだろ』

『一緒に討伐したじゃない』


それは考えたんだが、う~ん...。

私は異世界の常識が分からないからな。

ここはタニア先生にお伺いを立ててみよう。


『タニア、ミームの件はどうだろうな』


タニアが少し考えてから言った。


『今回は私たち3人で良いだろう。今からミームに準備させるのも大変だ』

『じゃあ決まりだな。準備よろしく』

『分かった』


やっと理解してもらえたようだ。

そうそう。これも言っとかないとな。


『それと、今回はお馬さんはお休みしてもらうよ』

『え?』

『全員電龍で行く』


側車を2つ付けるのは無理だが、夜霧を牽引するので基本そっちに乗って貰えば良いだろう。

そっちの方が乗り心地は良いしな。


どっちにしても「電龍で行く」という事も間違ってはいない。


『え!?アタシも乗っていいの!?』

『問題ない』

『やったー!!』


乗りたがってたしな。

タニアも乗りたいと言うかもだが、その時はタニアと交代で側車に乗ってもらおう。


『じゃあ明日の朝な』

『うん、じゃあねー』


通話が切れた。


...まさか、国王からの呼び出しとはな。

とりあえず、明日の朝からまた異世界だ。


今回は国王の要請に、領主の不可解な動き。

どう考えても、平穏な旅にはなりそうにない。

総じて不穏だ。


「了くん...一体どうしたん?」


ユリが心配そうにこっちを見ている。

雰囲気から、ただ事ではないという事を嗅ぎ取ったのだろう。


「ユリ、明日朝から異世界に行く事になった」

「え?」

『すまないユリ。ちょっと私の事情にリョウを巻き込んでしまったようだ』


タニアが頭を下げながらユリに謝る。

タニアが謝る事ではないと思うが、そこはそれだ。


「とりあえず、詳しく教えて」


ユリはかなり不安そうな顔だが、努めて冷静な声で訴えてきた。


「もちろんだ」


と、さっきのリアの話の内容を説明する。


「それ、かなり大変なんじゃないん?王様の事はともかく、例の領主の動きが変やん」

「一番の問題はそこなんだよな~」


ホント、そこが一番の問題なんだよな。


「なんか考えてるん?」

「今は何も」

「嘘!!」


ユリの大声にタニアも驚くが何も言わずに黙っている。


「そんなに怒んなや。相手の事が全く分かんないから、現状考えても無駄って思ってるだけや」


領主側の情報がほとんどないからな。

おそらく、魔石を使った魔物を集めるという行為を領主が行っている。という予想はあるが、予想はあくまでも予想だ。


「で、なんもせぇへんの?」

「んな訳あるかいな。ちゃんと監視するに決まってるやん」

「監視だけなん?」

「今はな」

「なんでよ?」


ユリがここまで食いついてくるのは正直珍しい。

まぁ、こっちは平和な世の中だからな。

心配なのは分からなくもないのだが。


「事を運ぶにはちゃんと順番があるって事や。まずは領主の目的を確認する事が先」

「やから、監視だけで大丈夫なん?」

「無法の異世界でもきちんと対応しておかないと、後で手痛いしっぺ返しが返ってくる」


私は「悪の科学者」ではあるが、道理に合わないことはしない。

それが私のポリシーだ。


「確かにそうやけど...」


それに、あの世界は人の動きを隠す事は出来ないからな。

まずは千里眼で監視するのが一番だろう。


「ユリが心配してくれてる事はよう分かっとる。けど、大丈夫や。今から準備するし、おそらく今回の件で一番危ないのはタニアだ」

「...確かにそうね...」


やっと落ち着いたか。

もっとも、心配事がタニアに行っただけで、ユリとしては心配事が減った訳ではない。


その証拠にユリの顔がさっきよりも苦痛に歪んでいる。


「やから、俺が行く。みんなを護る為にな」


さっきまで以上にユリを安心させなければな。

だが、これ以上の言葉を俺は知らない。


「...分かったわ。気を付けてね」

「任せろ」


昔のように右拳を出す。

それを見たユリはふっと表情を崩し、同じように右拳を突き出し、俺の拳と合わせる。


何年ぶりだろうな。

このやりとり。


ユリとの会話の間、タニアは黙って聞いていたが、ここで前に出てきた。


『ユリ。私も約束しよう。リョウを無事にこの世界に帰すと』

「タニアちゃん...うん、お願いね」

『任せてくれ』


先ほどの私と同じようにタニアが右拳を出す。

一瞬ユリが驚いたが、真面目な顔になり、先ほどと同じように右拳を合わせた。


そして、同じタイミングで笑い合う。...よし。


「じゃあ、私も用意せんとあかんわよね」


と、背中を見せてリビングから出ようとする。


「用意?なんだ?」

「お気遣いなく。じゃあ、了くんたちも準備しないとダメよ~」


と、言いながらリビングを出ていく。

おそらく自分の部屋に行くんだろう。


さて、私も明日の用意をする為に一旦実験室に行こうか。

あ、タニアに夜霧の説明もあるから、タニアも連れていかなきゃな。



夜霧を完成させておいて、本当に良かった。



ちなみにこの後、ユリが連絡して輝と葵を自動車で迎えに行ったそうで、緊急パジャマパーティーが開催された。

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