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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第3章 大阪の日常はただただカオス
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■■■ Step025 異世界でマッドな問題が発生したかも?

何気ない一日の末に問題が発生してしまうお話です

翌朝、6時直前に目が覚める。

目が覚めた瞬間、アラームが鳴るが、すぐに止める。


ふむ、いつも通りだな。


私服に着替え、色々準備や支度をして朝食を作る為にリビングに入る。


キッチンを見ると、ユリが朝食の準備をしてくれていた。


「おはよう、ユリ。今朝は俺が作ると言ったんやが...」

「あ、おはよう、了くん。ごめ~ん...ちょっと目え覚めちゃって、手持ち無沙汰で思わずやっちゃった...」


可愛くてへぺろを発動するユリを横目に、用意の状況を見る。

チキン南蛮の準備をユリがしているので、私はご飯の準備をしよう。

我が家では、ご飯は炊飯器で作らず、圧力釜で作っているのだ。


さすがに朝食まで智代おばちゃんが来るとは思えないので、5人分のご飯として4合炊く事にしよう。


「あ~いや、別に怒ってるとかはないからえぇねんど、ちなみに何時に起きたん?」

「5時半...」

「相変わらず早いな。昨日は夜更かしせえへんかったんか?」

「そのつもりやってんけど、タニアちゃんが23時には寝ちゃって...」

「こっちに来て、結構はしゃいだからな~...意外と疲れてたんやろ」

「で、葵ちゃんもすぐリタイアしたんで、輝ちゃんも私も0時までには寝ちゃった」


米を4合は既に洗い終わり、圧力釜に放り込んだ。

水を適量入れ、塩を適量入れる。

これが私のご飯の炊き方だ。


それにしても、葵はまだ中学生だから、あまり遅い時間起きれないみたいだな。

あと、輝もユリも美容の為に早く寝る習慣だと聞いていたので、早めに寝たんだろう。


ちなみに、私も0時までには寝ていたが。


「で、タニアとはどういう話をしたんや?」

「それは乙女の秘密」

「でしょうね~」


この後2人で色々と話をしながら朝食を用意していった。


ユリと話をするのはなかなか楽しい。

ぶっちゃけ、ユリとは保育園の時からの付き合いだからな。お互いの事は良く理解している。


私よりも2歳年下なので、同級生という事はないが、結局保育園、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院と、ずっと一緒だった。

もっとも、大学院の学校生活は被ってはいないのだが...。


今年からは大学院の1年目なので、かなり頑張っているとおじさんから聞いた記憶がある。



朝食の用意が出来たので、ユリが3人を呼びに行こうとした所、丁度良いタイミングで3人がリビングに入って来た。


ちなみに、タニアの今日の衣装は、葵が選んだらしい水色生地に青いバラをあしらった裾の長いワンピースだ。


『リョウ。昨晩リアから電話?がかかって来たぞ』

「あぁ、その前に私の方にリアから電話がかかって来たからな。タニアにかけるように言っておいたんだ」

『そうなのか?』

「タニアとリアはいつでも話が出来る状態の方が良いと思ったんでな」

『それは助かる。ありがとうな』

「どういたしまして」


さて、ご飯が用意出来たようなので、皆で食卓を囲もうか。


と、その前にタニアに箸の使い方の勉強会を...と、思ったら、昨晩のパジャマパーティーでやってたんだって。

ポテチを箸でつまんで食べる練習をしたらしい。


タニアは指使いもかなり器用らしく、ものの10分程度の練習で普通に使えるようになったらしい。


ここまで来ると、あとは言語の問題だけのようだ。

正直、ここまで凄いとは思っていなかった。


タニア...恐ろしい娘...。



朝食が進み、会話も弾む。


うむ。おばちゃんが居ないだけで、これほど落ち着いた朝食になるんだな。

...本当はこれがいつも通りなのだが、異世界から戻ってきてからのおばちゃん攻勢が効いているんだろうな。



そうそう。

パジャマパーティーの内容は一切教えてもらえなかった。


なんとなくだが、残念だ。



朝食を食べたあと、私とユリが後片付けをしている間、輝と葵とタニアで今日の予定を話している。


「今日は日本語の習得に向けて、色々と名詞と動詞を覚えてもらうのが良いんじゃない?」


と輝が提案してきた。


「それ以外では、こちらの常識とかも説明差し上げるのが良さそうですね」


と、葵も提案する。

確かに、外を出歩くのであれば、交通ルールとかも覚えなきゃならないものな。


「こうしてみると、こっちの世界は色々と覚えなきゃならない事が多いわよね~。タニアちゃんは何が知りたい~?」

『君たちと通訳なしで話がしたいので、出来るだけ早くここの言語を習得したいと思っている』


そうだよな。もう3人とはかなり仲良しになっているみたいだから、翻訳機を介さずにコミュニケーションを取りたいだろう。


「タニアさんはホントに勉強熱心ですよね」

『目的があると異世界の言語を覚えるのも楽しいものだ』

「そうかもですね」

「ちなみに、僕たちが使っているのは『日本語』という奴で、この世界でも習得は難しい方の言語って言われてんねん」

『いくつも言語があるのか。この世界はどれだけ言語があるんだ?』

「そうやね~。確か5000以上はあったんじゃなかったかしら?」

『そんなにあるのか?』


タニアが非常に驚いている。


「こっちの世界の神話で、人間が高い塔を作る為に集まったら、神様が人間の言葉を乱して全世界に散らばらせたっていうのがあります」

「あ~、バベルの塔の話やね」


葵が話したのは聖書の話で、有名な絵画もある奴だな。


『言葉を乱す?なぜ神がそんな事をするんだ?』

「聞いた話ですけど、全世界に人々を散らすのが目的だったそうですよ」

『不思議な神話もあるものだな』


さて、朝食の片づけも終わり、今日は葵が紅茶を淹れてくれた。最近紅茶にはまっているそうで、かなり美味い。

が、残念ながらタニアの屋敷で出る紅茶にはまだまだ遠い。

葵には一度飲ませてやりたいな。


「さて、今日は結局どうするんだ?」


話もひと段落したようなので、みんなに聞いてみた。


「今日は家でゆっくりと会話して、ちょっとずつ日本語を覚えてもらおうって話になったよ」

「それはいいわね~。じゃあ、お昼は軽くサンドイッチにする?」


輝が結果を報告してくれた。

ちなみに、ユリの卵サンドはかなり美味い。


『サンドイッチ?』

「パンに野菜とか肉とか挟んで一緒に食べる奴」

『それは私の所でもあるな。なるほど、サンドイッチというのか...』

「タニアさんの所では、サンドイッチは何て言うんですか?」

『さぁ...何て言うのか...パンに挟んで食べる奴?』

「それ、まんまやないですか」

『と...とにかく、名前は知らないな』


と、こんな感じで午前中はゆっくり会話をした。

私も午前中は会話に参加してのんびりと過ごした。


午後から実験と開発に取り掛かろう。



さて、昼食も終わったので、昼からはタニアを3人娘に託して研究に勤しむ事にした。


異世界のどこにでもゲートを展開できる事は分かった。

それこそ、高さの指定も出来るので、私が泊まらせてもらったタニアの屋敷の2階の部屋も問題はない。


今は異世界からの展開が出来るようになれば、行き来については問題がなくなる。

その実験の為にはあちらに行かなきゃだが、それはまだ先でも大丈夫だろう。


まずやらなきゃなのは、キャンピングカーだ。


自動車の導入を考えたのだが、それよりも電龍で牽引する簡易的なもので十分な気がする。

ただ、私一人であの世界を旅するのは正直まだ危険だ。あちらの常識がまだ分からないからだ。


そうなると、自動的にタニアとの旅になる。

それは良い。私自身は。

ただ、タニアが了承するかどうかは不明だ。


「了は大丈夫だから、自分の目であちこち見て来れば良い」


と言われると、ちょっと寂しいな。


ま、それはそれでも構わないが...。



何を考えているんだろうな。



ともかく、最低限2人で旅が出来るようなキャンピングカーを用意しよう。


あっちは魔力がこちらの100倍満ちているので、魔力から電気に変換する発電機を作成する。

魔力から機器を直接稼働させる事も考えているが、今はちょっと無理だ。


キャンピングカーにはトイレとお風呂は取り付けよう。

簡単なキッチンと、冷蔵庫ぐらいかな。


料理を作るのは、最悪外で焚火でも竈を作ってでも良いだろうし。


あ~あとは水の確保だな。

魔法で作り出す方法もあるが、それよりもちゃんと確保するようにするのがベストだろう。

あの世界では、何があるか分からないからな。


実はキャンピングカーは既にある。


幅2.5m、高さ3.5m、長さ10mの四輪のボックスカーだ。

動力は付いておらず、電龍に牽引させるつもりだったものだ。


目的は電龍の走行テスト。

出来ればどこかの山奥で昇竜を打ち上げ用と画策していたので、一人用のキャンピングカーとして作っていたのだ。

が、異世界で全部テストしちゃったので、もう使う事はないと思ったが、ここに来て異世界での活躍を考えたのだ。


基本街中を移動する事を想定していたので、サスペンションを強化する。

あちらは普通に舗装されている道ではないからな。


あと、念の為ベッドも私の分とは別に二段ベッドを2セット、つまりベッドを合計5つにしてしまおう。

リアとミームを連れて移動する事も考えておかなきゃだからな。


ちなみにこれらの作業を私一人では簡単に終わらせられないので、ロボットアームも稼働させて作業をさせている。

設計図を作成し、役割分担をさせれば大枠の作業はロボットアームでやってくれる。

私は細かい作業をするだけだ。

もっとも、その細かい作業が大変ではあるんだが...。


「さて、こんなもんだろうな」


ほぼほぼ完成したキャンピングカー「夜霧」を見る。

機能的なものは取り付けた。が、内装はほぼ手つかずだ。

実はここからが大変なんだが、今日はここまでだな。


大型リチウムバッテリーを車体に取り付ける作業をロボットアームに任せ、夕飯になるという事で連絡があったので、リビングに向かう。



今日の夕飯はかつ丼だった。


「タニアちゃんがだいぶお箸の使い方に慣れてきたからね~」


と、ユリがニコニコしながら全員にどんぶりを渡してくれた。


「そう言えば、おばちゃんは来てないよな?」

「お昼に来られましたよ?」


マジか。

ちなみに、研究所の方は輝以外は入る事が出来ない。

たまに本当に危険な実験がある場合は、輝も入れないようにするが、基本例外は輝だけだ。


用事があればチャットやインターフォンで連絡が取れるようになっているので、特に不自由がない。


その状態で私に連絡が無かったっていう事は、実害は無かったって事か?


「そうなん?研究室に籠ってたから分からんかった」

「ユリさんが早々に追い返してたけどね」

「お母さん、暇やからって、もう...家の用事は色々あるんだから、暇って事は無いはずなんやけどね~」


いや、おばちゃんは家事最強なので、暇なのは事実だと思うぞ。

本気のおばちゃんを何度か見た事があるが、動きに全く無駄が無いので、あっという間に掃除や洗濯が終わっていくのだ。


色んなタスクの具体的な作業と時間を想定し、出来るだけ隙間なく直列に並べる事で無駄をなくす。

さらに事前準備を作業の隙間に入れる事で、さらに短縮する。

というものを見せられたおかげで、私もそれに近い手順で実験をするようになったのだ。


もっとも、実験ではおばちゃんの真似は出来るが、家事は私はまだ無理だ。


「あと、おじさんは?」

「お父さんは今日も仕事で、そろそろ帰ってくるはず」

「ゴールデンウィークやのに忙しいんやね」

「そうなのよ輝ちゃん...システム停止が出来るのがこのゴールデンウィーク中しかないみたいで、休まれへんって言ってたわ~」

「システムエンジニアも大変ですよね...」


そういや、年度末に一度おじさんと居酒屋で飲んだけど、ゴールデンウィークの作業が憂鬱だと、色々と愚痴られた記憶がある。


「輝ちゃんは、結局私たちと同じ高校なんよね?」

「了とユリさんの母校に入りましたけど、正直退屈で...」


私とユリが卒業し、輝が入学した高校は、大阪の電気を通信する名前の総合高校だ。

個性的な先生が居て、高校そのものはとても楽しかった記憶がある。


高校2年の時、中東で誘拐されちゃったので、半年ほど通学できなかった時期があるが、先生方が色々と助けてくれたおかげで留年する事なく卒業できた。

先生たち、元気してるかな?


「リーサルウエポンは元気してる?」

「え?あ~...柔道部顧問の上田先生ね。元気やね。てか、元気ないウエポン見たことないよ?」

「でしょうね~」

『なんだ?最終兵器っていう先生がいるのか?』

「あ、翻訳ではそうなるか。えっと、先生の名前が上田っていうのと、身体が筋肉質でとても力強いので、『最終兵器』っていうあだ名が付いちゃったらしい」


そういや私が入学する前から「ウエポン」は「ウエポン」だったな。


『強そうだな』

「肉体的には強そうには見えるな」


ウエポンには伝説があって、昔文化祭の後に詰みあがった段ボールに「地獄突き!!」と言って手刀をぶち込んで遊んでいたら、突き通せないものが入った段ボールを突いてしまい、突き指をしたという...。

実話である。


「はいはい。しゃべるのはいただきますをしてからにしましょうね~」

「そうだな。お腹も空いたし、食べようか。いただきます」

「「「『いただきま~す』」」」



夕食の後、リビングで雑談をしていた。

タニアは箸の使い方がずいぶん慣れたようで、ちょいちょい箸を持ち直す事はあるのだが、食べる分には困らなくなっている。

日常生活という事については、基本的に問題は無くなってきているようだ。


しかし、タニアは頑張って日本語を覚えようとしている。ホント頭が下がる。

当然、まだまだ会話は出来ないが、挨拶程度であれば出来る状態になった。



プルルルルル...プルルルルル...


と、突然タニアのスマートフォンが受電を告げる。


他の3人もタニアのスマートフォンが鳴っているので、会話を中断している。

変に会話が聞こえなくなるかもと気を使ったようだ。


一瞬びっくりしたタニアだが、スマートフォンの表示を見てから、通話ボタンを押す。

その際、私の目を見たので、おそらくスピーカーモードにするのだろう。


リアであればあちらの言語で話すので、会話内容は他の3人には分からない。

タニアの事だから、そこまで見越しての判断だろう。


てか、リアしか居ないか。



『あ、お姉様!聞こえます?』


スピーカーから聞こえるリアの声はかなり切羽詰まっているように聞こえる。


その声を聴いたタニアは一瞬ハッとした顔になり、次に焦った顔でこちらを見る。

ともかく、話を聞かなければ分からないので、安心させるようにタニアに向かって頷く。

それを見て少し落ち着いたのか、いつも通りの表情になって、スマートフォンに向かって話しかける。


『あぁ聞こえているぞ。どうした?急いでいるようだが?』

『ちょっと困った事があって...直接見せたいものがあるから、ちょっと戻って欲しいんだけど...』


あちらで大きな動きがあったようだが、一体どういう事だ?


ともかく、一度行くしかなさそうだな。

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