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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第3章 大阪の日常はただただカオス
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■■■ Step023 家でゆっくり寛ごうと思ったが、カオス到来

楽しいお買い物が終わってくつろぎタイム

だが、そこに怪しい影が・・・

タニアの服を購入するイベントが終了し、荷物は早々に車に詰め込んだ。

あんな量の荷物を持って歩くのはナンセンスだからな。


で、エキスポシティの中をぶらぶらと散策したり、観覧車に乗ってみたりした。


タニアは何にでも興味を示した。

ゲームセンターでUFOキャッチャーをしたり、自動販売機でコーラを買って驚き、飲んで驚き、エスカレーターで1階と2階をクルクル回ったりしていた。


観覧車では足元が透けているので、「いつガラスが割れるか不安だ」と言ってユリにしがみついていた。



さて、夕方近くになったので、万博の外周を1周周ってから家路に着いた。


『しかし...これは本当にすごい世界だな』


運転しているので、背後のタニアを見る事は出来ないが、おそらくいつもの様に腕を組み、真剣に考えこんでいるんだろう。


「タニア、何か気になる事でもあるのか?」

『一つは、リョウが私の世界に来た時、平然と適応していたのがどうしてなのかと気になったのだ』

「確かに、それは気になるでしょうね~」


個人的にはとてもじゃないが平然とはしてなかったと思うが、タニアには平然としているように見えていたのか。

ユリは私が異世界ものの作品を読みまくったりしているのを知っているから、向こうではあまり慌てなかったと思っているんだろう。


それもあるが、ファンタジーな異世界の文明レベルが14世紀から15世紀のヨーロッパと同じぐらいだと知っているからな。たまに例外はあるが。

もっとも、本当にそうなのかは、現場に行かなきゃ分からないが。


「初日にも言ったけど、この世界...というか、この国では『異世界』関係の書物が溢れているからな。なので、色々想定できたってだけや」

『そう言えばそうだったな。色々あって忘れてたよ』


ホント、色々あったもんな。


「で、他には?」

『リアとミームも連れてくると言っていたが、リョウの家の中だけでもかなりショックを受けるはずだから、簡単に外に出せないと思ったのだ』

「あ~...そうだろうな」


リアが暴走したら大変だもんな。

ミームがコントロールしてくれたらいいのだが、あの娘は面白ければ放置する傾向があるから、それは望み薄だろう。


「リアさん?とミームさん?は、どういう方々なのですか?お名前からして女性のような気がしますが...」

『リアは私の妹だ。ちょっと落ち着きのない娘なので、こっちに来たら間違いなく問題を起こすだろうな...』

「あら~...お母さんみたいな人かしら?」


ユリは何気に鋭いな。


「トラブルメーカーって意味なら間違いなく同類やな」

「それはアレですね。『まぜるな危険』って奴ですね」

『『まぜるな危険』の意味は分かるが、具体的にはどういう事なのだ?』

「え~っと、それはですね...」


この後、家に到着するまで葵が一生懸命に『まぜるな危険』を説明していたのだが、タニアには伝わらなかった...。


頑張れ!葵!!



「じゃあ、そろそろ晩御飯の用意を始めるけど、任せてもらっても良いわよね?」


と、エプロンを付けながらユリが聞いてくる。


ちなみに、みんなからは「家事が出来ない」と言われているが一通りは出来る。

料理も言わば科学実験のようなものなので、普通にオムライスや炒め物、味噌汁やお吸い物、豆腐だって手の上で切る事も出来るのだ。


ただ、ユリをはじめ、輝も葵も家事は私以上に出来るので、比べられると「家事が出来ない」という判定になるのだ。


色々と不満はあるが、彼女たちの高みに達していない以上、この評価は甘んじて受けなければならない。


ともかく、ユリがエプロンをしたので、夕食はユリにお任せした。



と、インターフォンが鳴ったので、葵が出ると智代おばちゃんがやって来た。

ちなみに、誰も呼んでいない。


「あら!タニアちゃん、めっちゃ可愛い服着てるやん!それどうしたん?」


ずかずかとリビングに入り、タニアを見つけ駆け寄る。

その勢いに驚き、隣に座っていた私にタニアが隠れるようにしがみつく。


「ちょっと、おばちゃん...タニアがビックリするから、急に圧をかけんといて~な」

「圧?そんなんしてへんで?」

「自覚ないんかい!?」

「そもそもアタシ、いつも通りやん」

「そ~でした...」


本当に毎回こんな感じなのは困るんだよな。


タニアはずっとしがみついている。

恐い、という訳ではなく、勢いにビックリしている感じだな。

きっと、あっちの世界では、こういう人はいなかったんだろう。


「で、その服はどないしたん?」

「その服はお兄様がエキスポシティで買ってあげた服ですわ、おば様」


おばちゃん、私にしがみつくタニアを見てもマイペースでしゃべってるな。

見えてるのか、見えていないのか...。


「そうなん?ひょっとして、了ちゃんが選んだとか?」

「この服はそうね~。他は輝ちゃんと葵ちゃんが選んだかしら?」

「へ~...やるやん了ちゃん。タニアちゃんも嬉しいんやない?」

『あ~...まぁ~...』


タニアはそういうのが精いっぱいのようだ。


「ちょっと、お母さん。来たんやったらちょっと手伝ってくれへん?」

「なんで?あんた1人でも十分なんとちゃうん?」


はっきり言って、このメンバーではユリは家事最強なのだ。

タニアの実力は正直不明だが、あのお屋敷に住んでいて料理の達人っていうのはありえないだろうな。


「どうせお母さんも食べて帰るんでしょ?やったら、人数増えるねんから手伝って!」

「あ~...はいはい。じゃあ、タニアちゃん。また後でな~」

『はぁ...』


ユリのおかげでおばちゃんはキッチンに行く。

どうやらおばちゃんはタニアの天敵だったようだ。



今日の晩御飯は洋食だ。

どうやら、ユリがタニアの事を考えて、スープにビフテキ、バターロール、ポテトサラダ、その他いくつか総菜が並んだ。

タニアの前には、ナイフとフォークが置いてある。


ちなみに、私はご飯喰いなので、ご飯だ。そして当然箸である。


「タニアちゃんはまだお箸の使い方が出来ないと思ったからね」

「さすがユリお姉様。私だと思い切り和食にしちゃうと思います」

『よく分からないが、気を使ってもらったようでありがたい』


この世界でも、基本的にヨーロッパやアメリカの人は箸は使えないものな。


「い~え~。楽しく食事が出来る方が良いですからね~」

「じゃあ、明日の朝はお箸の練習が出来るのが良いかも?」


器用にナイフとフォークを使いこなす輝。

この娘は基本なんでも出来るのだ。


「そうね~。ごはん、味噌汁。主菜は本当は焼き魚が良いけど、チキン南蛮とかが良いかもね~」

「じゃあ、明日の朝食は私が作ろうか」

「え?了が作るん?」


なぜ驚く。

私の料理を食った事があるだろ?


「確かに、それぐらいなら了ちゃんでも作れるか」

「料理はおばちゃんに色々教えられたからな」

『リョウは料理が出来るのか?』

「あ~...まぁ、色々あってな」


両親が家を空けがちだから、自分で作らなきゃ飢えてしまうからな。


「さぁ、ごはんが冷えちゃうから、先にいただきますしましょうね~」

「「賛成!」」


という事で、やっと食事にありつけるな。



いただきますをしてから、女子たちは今日の買い物の話で盛り上がってたのだが、そこに爆弾を落とす人が約一名。


「で、リョウちゃんは誰と結婚すんの?」


ぶはぁ!!


味噌汁をすすった所でそれを言うのは止めて!

絶対確信犯やろ!?


「ちょっとお母さん!!何言ってるのよ!!」

「またおば様の悪い癖が始まったわ」

「僕たちは慣れているけど、タニアさんは免疫がないよ?」


そうなのだ。

おばちゃんは、何度もこの爆弾を投げ込んでくるんだ。


見るとタニアも固まっている。


「え?やって、めっちゃ気になるやん?特にユリの母親とし・て・は・」


だからと言って、言っていい事ではないと思うのだが?


「おば様。そもそも私はまだ13歳なんですが?」

「そういや、おばちゃんの結婚枠の中に葵ちゃんが入ったのは去年ぐらいからやんな」

「それまでは輝お姉様とユリお姉様のどっちにするの?って聞いてましたからね」


記憶では葵があの事件以降、以前にもまして懐いて来てたからな。

それを見ておばちゃんは葵を私の嫁候補に入れたようなのだが...。


「今回は状況からタニアさんもガッツリ入ってるよね」

「そこについては私たちも気にはなっている所ではありますけど」

「君たち、さらっと追い打ちするの止めてくれる?」


ともかく、我々は慣れてはいるが、タニアは初見だったのでまだ固まっている。

そりゃ、数日前に会った男の嫁候補にされたら固まるだろうな。


そういや、貴族の娘って言ってたし、婚約者とかが居るかも知れないしな。

あとで謝っておこう。


「とにかく!お母さんも思いついた事を考えずに口に出すのは止めて!」

「え?ちゃんと考えてるわよ?誰を選ぶのかな~って」

「だから、口に出すんじゃありません!!」


珍しくユリが本気で怒っている。

いつもはもう少し優しい物言いをするんだけどな。


「え~...気になるやん...」

「孫の顔を見せないわよ...」


あ...内容はともかく、マジで怒ってるわ...

ユリは怒りのボルテージが上がる程、声色が低くなるのだ。


「ごめんなさい!!」

「毎回ここまでが1セットやね」

「ユリお姉様がさらりと結婚して子どもを産んでいる結果想定しているのが気に入りませんけど!」


輝と葵は平常運転である。

ま、正直この下りはいつもの事なので私もあまり気にしてはいないのだが。


『お...終わったのか?』

「終わったわよ~。タニアちゃんごめんね?」

『いや、大丈夫だ。しかし、智代はいつもこんな感じなのか?』


いつもです。


「おば様はいつもこんな感じですね」

「お母さんで困ったら、私に相談してね。シメておくから」

『しめる?良く分からないがよろしく頼む』

「アタシは魚やないんやけど?」

「しょ~もない事言ってたら、ホントにシメるわよ?」

「ごめんなさい...」


おばちゃん、ホントにユリに勝てなくなってんな。

それよりも気になる事がある。


「そういやおじさんはまだ帰ってきてないん?」

「旦那には今日は外で食べてきてって言っといたわ」


おいおい。それはアカンのんとちゃうんか?


「職権乱用やな」

「お母さん...ちょっと後で色々話をしましょうね」


背後に「ゴゴゴゴゴゴ」という擬音が聞こえるようなユリが、穏やかな笑顔でおばちゃんを見ている。


「あぁ!!まだお風呂の用意とかしてなかったわ!もう食べ終わったから帰るわね!!」


と、言いつつ、まだ残っている料理を慌てて搔っ込み、慌ただしく出ていった。


正直、ここまでの事はほぼ無いのだが、おおむね想定通りの展開に落ち着いた。


「嵐が去りましたわね」


落ち着いた表情で食事を続ける葵。

対照的にまだ固まっているタニア。


『何度も聞くが、これがいつもなのか?』

「今日はタニアちゃんが居たので、ちょっと浮かれていたみたいだけど、まぁ、こんな感じかしらね」


さっきまでの気配を霧散させ、食事を始めたユリ。

うん。通常運転だな。


「頼むから、この家でやらんといて欲しいんやけどな...」

「それは無理なんちゃうかな?」

「ユリお姉様がいる限り、この家には顔を出すでしょうからね」

「ついでに言うと、この近所ではこの家以上に面白い場所はないからね」


なんとなくだけど、ユリが来なくなっても来るだろうなぁ~...。


「それはともかく、夕食後はどうする?」


個人的には、タニアには出来るだけこっちの同性の友達と色々と会話をして、楽しんでもらいたいと思っている。

私自身はどうせ、異世界に行くとずっと一緒に行動する事になると思うし、女性は女性同士での話が一番楽しいはずだと思っているのだ。


「ゴールデンウィーク始まった事ですし、みんなでパジャマパーティーとか、いかがでしょ?」

「「賛成!!」」


そんな私の想いは伝わっているのか、葵が面白いイベントを思いつき、みんなが賛成する。

が、当然タニアは何の事だかわからない。


『なんだ?パーティー?今からなのか?そもそもパジャマとは?』


そういや、買ったものの中にパジャマもあったような...。



お泊りになるって事で、輝と葵は一旦家に帰る事になった。

当然、お泊りセットを取りに行くのと、両親に許可をもらう為だ。


荷物を取りに行くのでユリが自動車を運転して、それぞれの家に行き両親に説明をする事になった。

私も顔見知りではあるので行っても良いのだが、タニアを1人には出来ないのがあり、ユリにお願いしたのだ。



3人が家を出たので、今はタニアと2人きりだ。


想えば、初日のお茶会以来だな。

今は誰も居ないので、コーヒーを出してみたんだが、不評だったのでティーパックの紅茶を出した。


異世界で出した時は、インスタントをかなり薄めに出したから、まだ大丈夫だったようだ。


『それにしても、パジャマというのがあるんだな』


あれから輝と葵から「パジャマパーティーとは?」というものを説明されたので、概念的なものは把握しているはず。

っていうか、私としては「パジャマを着ての女子会」という認識なんだがな。


『普通に寝間着なんだが、こっちではそういう言い方もするんだ』

『ふ~ん...しかし、本当にこっちの世界は面白い。全てが驚くものばかりだ』

『リアとミームも連れてきてやりたいんだが、さすがにちょっと難しいと思うんだよな...』

『そうだな。特に智代は危険すぎる』

『あ~...やっぱりそうだよな...』


タニアは「危険」とは言っているが、その表情は悪戯っぽい表情で笑っている。


リアとミームは、あっちの世界である程度の教育をした方が良さそうな気がする。

方法はまた考えよう。


『それにしても、今日は本当に色々とあったな』


ソファーに深く座り、腕を大きく上げてゆっくりと伸びをする。

本当に疲れたんだな。


『そうだな。タニアにとってはどうだった?』

『正直、智代には参ったが...全体的には楽しかったぞ』


おばちゃんはやっぱりタニアの天敵のようだな。


『そうか。それは良かった』


おばちゃん以外。


『ユリは最初から私を「タニアちゃん」と呼んでくれたな。輝も葵も。あれは素直に嬉しかったぞ』

『それはそうと、ユリや輝、葵とは仲良く出来そうか?』

『大丈夫だ。というか、逆にかなり仲良くしてもらっていると思うぞ』

『まぁ、あいつらは本当に良く出来た奴等だからな』


私が言うのもなんだが、本当に良い娘たちなのだ。

本当に...申し訳ないと思うぐらいに...。


『異世界からの人間だと言うのに、そんな事を全く気にせずに色々と話をしてくれたしな』

『逆に、あいつらもあっちの世界に連れていってやりたいんだが...』


ギブアンドテイクとは言わないが、せっかくなので文化交流出来れば良いなと思う。

それに、輝には打ち上げを見せてやりたいしな。


『それは良いな!私も彼女たちに私の世界を見て欲しいと思うぞ。もっとも、この世界からだと面白いと思うか分からないがな』

『それは大丈夫だと思うぞ。ともかく、今後も色々とよろしく頼むよ』

『あぁ、こちらからもよろしく頼む』


お互い「にやり」と笑って握手の代わりにしたのだった。



「「「ただいま~」」」


おっと、女子たちが帰って来たようだ。


さて、ぞろぞろと入って来た娘たちにコーヒーでも振舞うかな。

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