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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第2章 初めての異世界の討伐依頼はマッドな香り
21/56

■■■ Step018 トモニアに戻っての報告するが、まさか村人がマッドとは...

討伐依頼を完遂したので打ち上げです!

無事にトモニアに到着。

今回は一緒に村長の家に行く事にした。

ミーム曰く、「全員で討伐したんだから、全員で挨拶しなきゃ」だそう。


村長さんはサラさんと言う、おばさまだった。

なんでも、旦那さんが村長だったんだけど、不慮の事故で亡くなられて、その後村長を引き継いだんだそう。


サラさんは前々任の村長さんの娘さんだったそうで、村の運営については詳しかったんだそう。なので、すんなりと決まったんだって。



「まぁまぁ、サイクロプスが2匹も居たんですか?それは大変だったでしょう?よくぞご無事で...」


と、かなり驚いてた。

まぁ、そうだろうな。私でも驚く。


サイクロプスの討伐だが、なんとなく魔法使いや弓兵などで、遠距離からダメージを与え、かなり技量の高い騎士や戦士が複数人でサイクロプスを取り囲み、滅多打ちにする。

と、いうのがサイクロプス1匹に対する戦い方のような気がする。


それを考えると、今回は魔法使いとして上位の存在であるタニアが居るとしても、かなり無謀な状況では無かっただろうか?

しかも2匹。

今思えば、かなり無茶をしたもんだよな。


「いえ。今回は私の姉であるタニアが参加してくれたので、問題なく事が済みました」


と、どや顔で宣うリア。

いやぁ、全然OK。実際、タニアのおかげで結構楽だった気がする。


「ちょっとリア。私だけではないでしょ?」

「もちろん。リョウもかなり役立ってくれました」


個人的にはあまり目立ちたくはないので、リアがタニアを押してくれる方がありがたいんだがな。


「いや、私は初心者だからな。先輩方について行っただけですよ」


それを聞いてサラさんは不思議そうな顔で私の顔を眺め、聞いてきた。


「そうなのですか?」

「はい。そうなのです」


そういう事にしといてください。


「まぁ、わかりました。ともかく、この村の危機を救っていただいた事を感謝いたします」


と深々とお辞儀をしてくれた。

うん。日本的でなんか安心するな。


「報酬に関しては、エルセリアのギルドにて受け取っていただく事になりますが...ところで、今夜はこの村に泊まられる予定ですか?」

「えぇ。さすがに疲れておりますので、明日の朝、ここを発とうと思っています」


こういう外交的な事はリアが受け持ってくれる。

普段もこんな感じだと安心できるんだけどな。


今日はトモニアで一泊する事は事前に話をしていた。


コボルド50匹(喰われた分は除外)とサイクロプス2匹はやっぱり大変だったようで、タニアも魔力が少なく、休まなければならない。

私も結構魔力を使ったので、休む方が良いだろうな。


「それは良かったです!」

「良かった?」


これはタニア。

不思議そうな顔をしている。

私もだが。


「えぇ。では、今夜はこちらに泊まられてください。ささやかながら勇者様ご一行を歓待させていただきますので」

「勇者ご一行?」


これは私。

思わずタニアと顔を見合わす。

背後でミームが「やっぱ仲いいよな」と言っているが、聞き流す。


「勇者ではございませんか。リアさんとミームさんは長らくこの村のコボルド討伐に当たっていただきましたし、今回はタニアさん、リョウさんを加えてサイクロプスの討伐もして下さったんですから」


あ~...ドラゴンとかを倒した訳ではないが、確かにサイクロプスは大きな町でも脅威の存在だろうな。

しかも、今回は2匹だ。


喜んでいただけるのは別に良いのだが、あまり事を大きくして欲しくないなぁ...。だが、仕方あるまい。ここは「異世界」だ。



結局、今日は村長さんの家に部屋を借りる事になった。

家も大きく、部屋もいくつもあるようで、私は1人部屋に通された。安心した。



お昼がまだだったので、宿に行って軽く食事を食べる。

お昼の時間を過ぎていたので、他のお客は居なかったが、宿屋のおかみさんが色々サービスしてくれた。


大きな村だが噂はあっという間に広まるらしい。

サイクロプスはどうだった?とか聞かれたよ。

ぜんぶリアに対応を任せたが、この後の噂話が恐い。が、気にしない事にした。すでに今更だ。


今は食べる事に専念しなければならない時なのだ。

そうしないと、すべてミームが喰ってしまう。



宿屋のおかみさんに御礼を言い、村長の家に戻る。

お腹に食べ物を詰め込んだのでちょっと眠くなってきた。

アラームを設定して、ベッドにもぐりこむ。

いや~...今回はかなり身体を酷使したよな。明日筋肉痛にならなきゃ良いが...



寝たと思ったらすぐにアラームに起こされた。


一応3時間は寝たはずなんだが、そうとう疲れてたようだな。

確認すると、魔力がほぼ満タンになっている。

やはり、この世界は魔力量が多いようだ。


この世界の魔力を何度計測をしても、ざっと地球の100倍。


タニアの屋敷で、炎の魔法が米粒大から拳大になったのは、この「空気中の魔力量」が段違いなのが原因だろう。

そして、自分の魔力の出力も呼応して多くなるようだ。


魔術大全に記された内容を基準に私が再整理をしたのだが、自分の中の魔力は、魔法を発動させる為の「きっかけ」に過ぎない。

魔法発動のイメージを自分の魔力に注入し、体外に放出する事で空気中の魔力と「化学反応」を起こして事象を発現させる。

この「化学反応」の部分はまだ解明しきれていないが、魔力は「化学反応」を起こしている事は間違いがない。


これが、魔術大全を読んで、実際に実験で試して理解した魔法のメカニズムだ。


と、ここまで思考を進めたところで、誰かがドアを叩いた。


「リョウ。そろそろ行かないか?」


と、タニアが呼びに来てくれた。


さて、時間的にも良い頃合らしいので、村長さんの言ってた大広間に行こうかな。



村長の家の隣の建物。どうやら、ここは村の集会場のようだ。


「彼らがこの村を救ってくれた勇者ご一行です」


集まった人々...おそらく村の主だった人だろうな。10人ぐらいが集まっていた。

ん?他には今回の食事の用意をしてくれたんだろう。女性がこれまた10人ぐらい居た。


ここはテーブルがなく、床に座るらしい。

「座布団」はさすがにないが、座る所には藁で編んだであろう、敷物が置いてある。

女性に案内され、指定された所に座ったのだが、上座のど真ん中だ。


あれ?僕は冒険者の初心者で、このメンバーだと下っ端なんですが?


思わず左隣のタニアを見たが、悪戯っぽく微笑まれただけ。

慌てて右隣のリアを見ると、こっちはかなり悪い顔をしていた。


どうやら、嵌められたようだ。



「今回は多数のコボルドが集まっていたというのと、恐ろしい事にサイクロプスが2匹もいたという事実があり、我が村の存続の危機とも言えました」


サラさんが言うと、本当に今回は危なかったんだと思う。

そうだよな~...サイクロプス2匹...正直、あれは異常だと思ったよ。

ゲームでは別にどうって事はないんだけどな。レベルが上がればだけど。


「しかし、安心してください」


そのフレーズは笑ってしまうから止めて。


「こちらの勇者ご一行によって、すべて討伐されました!!」


ここで、参加した村人全員から喝采がおこる。

まぁ、街中に潜伏した犯罪者を捕らえたっていう感じなんだろうな。気持ちは分かる。


が、正直ハズい...。


「勇者様達にはエルセリアで報酬を受けてもらう事にはなりますが、当事者の私たちからも感謝の意志を示すべく、今回はこのような宴を用意させていただきました」


はい。ありがとうございます。

でも、ほどほどにお願いしますね。


ふと思い当ってタニアの向こう側のミームを見てみた。

あ、すでに戦闘態勢になってる。目の前の食い物にしか目が行ってない。

一応、村長の話が終わるまでは待っていようとしてる感じだが、時間の問題だな。


「では、勇者様を称えるこの宴、始めましょう!!」


村人たちが「おぉ~!!」と呼応して、宴が始まった。

この世界は「乾杯」がないのか?


ミームはひたすら食って、飲んでいる。

数人の村人...見たことがあるので、昨日お酒を奢ってくれた人だろうな。が、ミームに話しかけている。

ミームは適当に返事をしているようだが、喰うのに夢中だな。


リアは、と言うと、なぜか部屋の中央で今回の討伐を身振り手振りで説明をしている。

話しの内容は基本タニアがメインで、ちょいちょい私が入る感じだな。

あと、昇竜の件も説明してた。

あれはあんまり説明して欲しくないんだけど、「悪魔ではない」って所を解消しなきゃだから、黙認しておこう。


あれで私が「悪魔」ってならなきゃ良いが...。


タニアはゆっくりと食事を摂っているな。

一応...というか、かなりの男どもがタニアを囲っている。

が、非常に言葉少な目で、お酒を勧められてもやんわりと対応している。

飲んでいるけど、上品に。いや、実際はそれほど飲んではいないよな。

恐るべし、タニア先生。


ともかく、言っちゃ悪いが3人の女性の中では断トツの美貌を持つタニアの周りは、男共が群がっていた。



そして、私の所なのだが...


「リョウ様、トモニアは穀倉地帯ですけど、山の幸もかなり良い物がありますのよ?」

「かなり奥地にありますが、チェーベン川が近くにあるので、魚も美味しいですよ?」

「このお酒はこの村で作られたもので、上質なエールですの。ぜひ味わってくださいな!」


と、女性の猛攻にさらされていた。


ぶっちゃけ、食事を堪能する余裕がない。

いや、味は分かる。美味い!嘘偽りなく美味いのだ。


だが、喉を通ると消える。

猛攻が理由なのか、単にこの世界の料理が天然100%だからなのかは分からない。

おそらく、前者の気がするが...。


とにかく、落ち着かない。



助けて欲しいと思ったが、頼みのタニアも猛攻を受けている状態。

リアは演説中。

ミームは爆食中。

サラさんは微笑んでいる。


逃げ道なし!!


仕方ない。ここは上手に女性の対応をしつつ、腹を満たそう。

料理と酒が美味いのは、マジ本当なので。



「リョウ様はすでにご成婚されているのですか?」


しばらくこの状況で飲み食いしていた時、お酒を注ぎに来た女の子が頬を赤らめながら聞いてきた。

うん。私はこの村を救った勇者ご一行の1人で、唯一の男性だ。当然、モテるだろうな。そんな気がする。

しかし、私は現状そんな気はないのだ。


どうしたら、彼女を傷つけずに済むだろうか?と考えていた所、


「プルルルルルッ、プルルルルルッ」


丁度タイミングよく電話が鳴った。


「あ、ちょっとすみません。急用が出来たので、少し席を外しますね」


慌てて部屋を出て、スマートフォンを取り出し、通話ボタンを押す。

すると、すぐに輝の声が受話器から流れてきた。


『了!どうやった!?大丈夫!?』

「あ~、輝か。大丈夫やぞ」

『ホントに?まったく、了くんはすぐに無茶な事をするんやから...』

「え?ユリか?」

『そうよ~。だって、全然家に帰ってきてへんから、心配してたんよ。で、輝ちゃんに聞いてみたら...ね?』

「ね?って...輝から聞いたのか?」

『輝お姉様は同志ですからね。こういう事はちゃんと共有してくれるんですの!』

「葵もいるのか?」

『当然です!』

『で、大丈夫って事は無事に討伐は終わったんよね?』

「あぁ、まさかサイクロプスが2匹も出てくるとは思わへんかったけど、無事に全部終わったぞ」

『サイクロプス2匹?』


あ、しまったかな...


『サイクロプスって、確か単品でもヤヴァイんじゃなかった?』

『ユリお姉様、ちょっと言葉遣いが悪くなってますわよ』

『いやいや、葵ちゃん。ユリさんの反応は普通の反応やから』

『そうなんですか?』

『葵ちゃん、身長7mの筋肉粒々の一つ目の巨人が2匹、刀で切ったり、バットで殴ったりで倒そうとして出来る?』


ユリの説明に思わず笑ってしまった。

刀はともかく、バットは無いわぁ~。


『え?魔法とかは?』

『あるかも知れへんけど、普通はドッジボールぐらいの火の玉やで?それでも倒せると思う?』


輝の説明も面白い。アニメとかでは確かにドッジボールぐらいだもんな。


『あ~...無理かも?』

『でしょ?』


ユリの自信満々な姿が目に浮かぶ。

あいつも私の部屋の本を読みまくってたもんな。


『でもでもでも、お兄様は無事だったんですよね?』

『だから、今しゃべってるんだけどね』

「ま、そうやな。あと輝は葵をあんまり驚かさへんように」

『は~い』


ただでさえ葵は怖がりなんだからな。


「とにかく、無事に済んだから、あと数日で帰る」

『わかったわ。帰る時はちゃんと連絡してね』

「わかったよユリ。帰る前日の夜に連絡をするよ」

『了!僕にも連絡してよ!!』

「わかったわかった」

『あの~、お兄様...』

「大丈夫。ちゃんと葵にも連絡するから」

『やった~!』

「あ、すまない。今は討伐のお祝いをしてもらってて、一応主役やから席をあまり外せれへんのよ」

『わかりました。あまり飲みすぎないようにね』

「ありがと。じゃあ、すまんが切るで」

『はい。じゃあ、また明日の夜に』

「あぁ、明日」



通信を切り、部屋に戻る。


いつのまにか女性陣が居なくなり、私の座っていた席の両隣にはタニアとリアが座っていた。


2人の間に座ると2人が話しかけてきた。


「すまないリョウ。私はそれほどお酒には強くはないのだ。ちょっと隣で休ませてくれ」

「あぁ。分かったよ」

「あ、ごめんリョウ。アタシも休ませて」

「リアもお酒に弱いのか?」

「うんうん。だから、お姉様の反対側に座らせてね」


タニアは左に座り、肩に持たれてきた。

リアは右に座り、同様に肩にもたれてくる。


タニアはお酒の影響なのか分からないが、顔が真っ赤だ。

反対のリアは、涼しい顔だ。


思うに、先ほどの求婚アタックを見て、防波堤になってくれるようだ。

同時に彼女たちの防波堤が私になるって事だろう。


持ちつ持たれつ。ありがたいね。



宴は夜遅くまで開かれ、私は胃腸薬と肝臓の薬を飲みつつ、宴を乗り切ったのだった。


なお、ミームは飲みまくっていた。

あの娘、強いのね。色んな意味で。

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