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魔法を信じるかい? ― マッドサイエンティストの異世界旅行  作者: 黒々猫
■■■■■■ 第2章 初めての異世界の討伐依頼はマッドな香り
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■■■ Step013 コボルドだけでマッドな光景だった件

洞窟の下見です。

かなりマッドな状況ですね~。

洞窟にはすぐに到着した。今いる所は洞窟から50mほど離れた高台だ。

この周りの地形は起伏がかなり激しくなっている。

おかげで隠れて様子を見るのには適しているな。


イスリーとマールスはここから100mぐらい離れた場所に繋いである。電龍もそこに残してある。

コボルドは結構獰猛らしいから、いざという時は電龍にイスリーとマールスを守らせないといけないからな。


懐からオペラグラスを取り出し、目に当てる。倍率は5倍だ。

それを見たタニア達は何かを言おうとしたのを感じたので手で制しておいた。

今は様子を見るのに集中したいからな。


件の洞窟は小高い山の斜面にあり、かなり大きな入口が見えるが、奥行きまではここからは分からない。

その入り口前の広場に3匹コボルドが立っているのが見える。

おそらく見張なんだろうな。


確かに犬みたいな頭をしているが...豚にも近いな...鼻は犬っぽいが...。


大きさは130cm程度。小学5年生ぐらいという所か。茶色と言うか緑と言うか...全く体を洗ってないだろな、あれは...とにかく汚い色だ。

布切れを体に巻いて服の代わりにしているようだが、こっちも一切洗ったりしていないのだろう。真っ黒だ。


今度は入り口前の広場をあちこち見てみる。


(これは...想像よりもひどいな...)


洞窟の周辺には今までの戦闘の跡なんだろうか、骨が散らばっていたり、酷いものはまだ肉が残っているものや、原型が分かるものも転がっている。

これは全てコボルドのものだが、こいつら同族の死体があるのに気にしないんだな。


リアたちは討伐が仕事で、後始末は仕事ではないしな。

しかし、ここを通って薬草を取りに行くのはかなりヘヴィーだよな。


あ、明日ここを通るんだったな...


「...あの洞窟...結構深そうだな...」


見える範囲で想像すると入口からの奥行も10mぐらいは余裕でありそうだ。


「うん。入り口すぐの所は結構広いよ。奥の方に行くと狭い道があって、もっと奥まで行く事もできるよ」

「洞窟の中にいくつか道があって、ある道の一番奥にはちょっとした池がある。その畔に薬草があるぞ」

「あぁ、ずっとコボルドが居るからそこの薬草は取りに行けないって、村長言ってたよ」


リア、タニア、ミームがそれぞれ説明してくれる。


「なるほどね。で、いつもはどうやって討伐してたんだ?」


と言いながら、隣のタニアにオペラグラスを渡してやる。

使い方は先ほどの私を見てるので分かったのだろう。何も言わずに目に当てて見ている。

それを見ていたリアとミームもちょっとソワソワしだした。彼女たちも見てみたいのだろうが、タニアが見ているので大人しくしているようだ。



「あいつら、いつもはあの広い場所だけに居て、奥の方にはあんまり行かないんだよ。ただ、毎回10匹とか15匹だから結構めんどうなんだよね」

「だから、最初は弓矢で射抜いて出来るだけ減らす。それから直接叩くんだ」


タニアの様子をチラチラ見ながらリアが説明をしてくれる。

それに続いてミームも説明してくれるが、タニアが気になって仕方がないようだ。


聞くと、今までは2人だったので出来るだけ直接戦わないようにしていたらしい。

なので、ギリギリまで弓矢で倒しておいて、今度は引きながら戦うのだそうだ。

奴らは大きくはないのでリーチのあるミームが前衛で主に戦い、リアが遊撃的にミームを補佐。

コボルドの数が多い時は適当なタイミングで撤退して、体力を回復してから再チャレンジをするんだそうだ。


「イスリーとマールスが居るからね。ヤバいと思ったらすぐに離れるんだよ。で、体力を回復したらもう一回行くんだ」

「それはまた...大変だね」


なるほどと思って、ふとタニアを横目で見てみると口があんぐりと空いている。どうやら驚いているようだ。


「大変だけど、私達は2人しかいないからね。そもそも命あっての物種だし」

「今回はお姉様と...どれぐらいの戦力になるか分からないけどリョウもいるからね。結構楽なんじゃないかな」


一応私も期待されているようだな。


「私もどれだけの戦力になるか分からないが、色々道具は持ってきているので期待してもらおうか」


今回は日本では試す事の出来ない危険な道具を色々と持ってきたのだ。マッドサイエンティストとしては実験が楽しみではある。

とりあえず、目の前の洞窟に目を向ける。

さて、どうしようかな。と、その前に、


「おいタニア、そろそろソレをリアにも貸してやれよ」

「あ!あぁ...すまない。ちょっとビックリして魅入ってしまった。リア、驚かずに見るのだぞ」


と言っているが、自分も驚いたんだろ?


「はい、お姉様...はぅあ!!」


初めてリアルに『はぅあ』っていう悲鳴を聞いた。

リアもオペラグラスを目に当てて、口を大きく開けて固まっている。

一応、あちこち見ているが、洞窟とは関係ないものを見ているようだな。

私やタニアにもレンズを向けているが、近すぎて見えていないハズだ。


「あのぉ~...私も見てみたいんだけど...」


可哀想に、ミームが指をくわえてリアを見ている。

私のいう事を聞かないのでタニアに言ってもらって、ようやくリアがミームにオペラグラスを渡す。


「えぇっと...ここから覗くのよね...ひゃあ!!」


それほど驚くような事なのか?まぁ、初めての体験だから仕方ないか。

とりあえず、ミームがある程度堪能できる時間ぐらいは生暖かい目で見守ってやろうと思ったのは本当だ。


...さっきまでの緊張が、音もなく霧散した。...。



「で、今回はどうするつもりなんだ?」


オペラグラスを懐に収めながら、先輩冒険者たちに聞いてみる。


「お姉様の魔法で一気に殲滅をしようと思っているわ」

「そうね。それが一番早くて楽だろうな」


魔法ね。テーブルトークRPGではこういう場合はスリープの魔法で眠らせるとかなんだが...。


「ちなみに、どんな魔法を使うんだ」

「爆裂魔法で一気に」

「却下!!」


リアが元気よく答えてくれたが、速攻でツッコむ。


「ど...どうして!?」

「んなもん、炸裂させたら洞窟が崩壊するだろうが!!」


リアさん。あなた、冒険者ですよね?


「いいじゃん!!そうしたら、その下の奴らも一気に殲滅できるでしょ?」

「奥に薬草が取れる場所があるから、崩壊させたら困るだろ!!」

「私は困らない」


と、こちらはミーム。

あなたも冒険者ですよね?


「村の人が困るの!!」

「もういいじゃん...何度もコボルドが住んじゃうんだし、討伐も大変なんだよ?」

「それは分かるが、薬草の件があるでしょ?」


その辺りの話は事前にしましたよね?

人の話を聞かないのね、あなたたちは...。


「リョウ...お前のその気持ちは分からなくはないが声が大きい。あと、話が進まん」

「あぁ...悪い。ちょっと興奮したようだ...」


一応、防音の魔法をこっそり展開しているので大丈夫なのだが、それは言わないでおこうか。

そもそも、こういう所で騒ぐのが悪いのだ。反省。


「リア、どちらにしてもリョウの言う通り爆裂魔法はここでは危ない。最初の一撃で洞窟が崩れなくても、その後中に入った後で崩れたら閉じ込められてしまうし、場合によっては責任を取らされてしまう」

「お姉様がそうおっしゃるなら...」


タニアの言う事は聞くんだね。まぁ、確かにお姉様を怒らせたら怖いんだろうけど...さっきも怖かったしな。

ともかくリアの暴走は止まったな。

さて、タニア先生にどうするのが良いか聞いてみよう。


「ふぅ...で、結局魔法を使うんだったらどうするんだ?」

「電撃魔法であれば洞窟に衝撃を与えずにコボルドだけを殲滅できるんだが...当然広範囲だと威力が落ちるからな。あと、距離が合っても威力が落ちる」


電撃魔法ね。確かに洞窟には影響がないだろう。


「その前に、奴らが何匹いるか知りたいな」

「ここからでは入り口付近しか分からないぞ」


そうなのだ。洞窟はここよりも下にあるので、洞窟の上部分が邪魔で中が見えないのだ。


「じゃあ、ちょっと様子を見てみようか」

「おいおい、これ以上近づくと頭の悪いコボルドと言えど見つかるぞ?」


やっぱり頭が悪いんだ、コボルド。


「大丈夫、道具を使うんだよ」

「千里眼とやらは上からしか見れないから、洞窟の中は見れないんじゃなかった?」


お、リアもちゃんと色々と学習してきたようだな。


「別の道具を使うんだ。一旦電龍の所に戻ろう」



電龍のところまで戻り、改めてタブレットを取り出す。


「やっぱり千里眼を使うのか?」

「いや、これは千里眼以外にも色んなものが使えるようにしてあるんだ。で、今から使うものは...これだ」


タブレットを操作する。すると電龍のトランクの上部が開き、小型のドローンが飛び上がる。


「これは!?」

「偵察用の道具...『影百舌鳥かげもず』」

「空を飛んでる...これで、洞窟を見れる...って事だよね、その板みたいな奴で」


この世界はまだ飛行機の概念がないはず。

浮遊魔法があるのか分からないが、有ったとしてもそれは飛行機ではない。

そういう意味ではドローンの方が近い存在なんだろうな。


「そうだ。細かい説明は省くが、これなら見つかっても大丈夫だろう。空中だと攻撃されることもないだろうしな」

「確かにな。では、すまんがお願い出来るか?」

「...っていうか、最初からそれで見た方が良かったんじゃ?」


その意見はごもっともなんだが、それは私の考え方ではないのだ。


「これだと具体的な大きさとか雰囲気とか分からないだろ?あと、こういうものは補助的に使わないと、見落としたりする事があったりするんだよ」

「そういうものなのか?」

「そういうものなの。さて、時間もあまりないので一気に洞窟まで飛ばすぞ」

「時間が無いって?」

「あまり長い間飛ばせていられないんだよ」


バッテリー駆動なので20分ぐらいが稼働時間なのだ。

そんな会話をしている間に、偵察用ドローン『影百舌鳥』は洞窟の上空に達する。

ローターの音が聞こえているのだろう、入り口のコボルドはしきりに周りを警戒している。

徐々に高度を落とし、洞窟の入り口から奥の方を観察する。


「先ほど、これは補助だと言っていたが...しかし、すごいものだな...」

「そうね...」


洞窟の入り口は横に15m、高さは8mぐらいか。奥行は20mぐらいまで広い場所があるようだ。その奥は急に狭まっており、暗い空洞が見える。


もうちょっと影百舌鳥を近づかないとな。

それにしても...


「コボルド多いな!!」


洞窟入り口の外に見張りと思われるコボルドが合計4匹。1匹はここからじゃ見えない位置にいた。洞窟に入って直ぐの所に8匹。その奥の方に10匹。合計22匹だ。


「これ...きっと奥の方にもコボルド居るよね...」


入口だけって事はないだろうしな。


「そうね...私達が討伐する時も、奥の方にも居たから...今までの経験からだと、あと20匹ぐらいは居るかもしれない...」

「単純に計算して42匹ぐらいかもって事?」


リアがめっちゃ嫌そうな顔で想定できる数を言ってきた。

想定外に多いぞ?


「入口付近にこれだけいるのって今までには無い...多くても10匹ちょっとぐらいだったよ?」

「なにかしらの理由があるんだろうな...ま、コボルドの理由なんて分からないけどな」

「もっともだな」


ミームが今までの事を説明してくれたが、今回は今までの倍って事か。

しかし、なんでこんなに数が多く集まってくるんだ?追い詰められたという理由ではないのかもな。


影百舌鳥を洞窟内に侵入させても良いのだが、あまり意味は無さそうだな。

それよりも、サイクロプスが近くに居ないか確認しておきたいな。


「もうちょっと周りの状態を確認したいから、影百舌鳥を動かすぞ」


そう言って影百舌鳥を操作して高度を上げる。


洞窟の周辺と、森の中を少し飛ばしたが、特に何も見つからなかった。


とりあえず千里眼にこの場所を記録させ、監視させるようにしよう。

少なくとも出入りするコボルドは確認しておいた方がいいだろう。


「よし。確認はこんなもんだな」


影百舌鳥を収納し、タニア達に確認をとる。

タニア達も特に何も言わないので、もう良いだろう。


ここで出来る事はもう何もない。

監視する専用の道具はあるにはあるが、千里眼だけで十分と思われる。


「一旦、村まで戻るのか?」

「そうだな。洞窟の入り口周辺の確認はこれで全部終わったから、戻って明日の朝から討伐しよう」

「今晩ぐらいに村にコボルドが来たりとかは無いのか?」


タニアがあり得そうな危険性を言ってきたが、それは既に対処済みだ。


「千里眼で監視させておくから大丈夫だ。何かあれば電龍から連絡が来るようにしておくよ」


ここから村までは見渡しの良く、木々もポツポツとしかない。

コボルドやサイクロプスでも確実に発見できる。

千里眼には通常カメラの他に赤外線カメラも搭載しているからな。


「なるほどな。それにしても千里眼はすごいな」

「まぁ、今回の依頼があるので千里眼を用意したんだけどな」


万が一の対応はしておかなきゃな。

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