千歳×あき
死ぬほど考えて千歳×あきを考えました。
全カップリング考えるの難しいですね。
イライラする。
イライラするのは当たり前だった。ずっと、こいつにはイライラしてきたから。
こいつ、九条あき、は人をイライラさせることの天才だった。
いや、俺にとって、なのかもしれない。
これは明確に違うものだと思う。誰かにとって上手く人間が、俺にとって上手くいくかは別問題だ。
俺が・・・ひねくれている、面倒な人間なのかもしれないのは、この際一旦さておいても。
ずっと羨ましかった。
血筋や家庭環境、そういうものを差し置いて、疑うことを知らない性格。
物事を複雑化させない、人間性。
ずっと羨ましかった。
よく言えば思慮深い、悪く言えば疑い深い、自分。
独りよがりな完璧な人間関係を築かなければ安心できない性格の自分とは正反対なあき。
なあ、なんなんだよ。なんでそんな自分に砦を作らず関われるわけ?
あきが告白されたらしい。
相変わらず夏は言葉にできず、その状況を指を咥えてみているだけ。
それにもイライラした。
そうしてそれを夏より先に俺にいうあき。
ほんとバカなんじゃねえの?
「千歳!告白された!どうしたらいいだろ!?」
「ふうん、あきをすきなんて物好きだね~金目当てじゃない?」
「いや、ひどくない?!」
面川に行ってから俺のあきへの態度は急変した。
あきもそれがうれしいとか気持悪いことを平気で言う。
「で?」
「え?」
「だからぁ、返事困ってるんでしょ?」
「あ!そう!」
本当こいつにはイライラする。
俺がすきな夏から好かれておきながら、それを当たり前の一部として、しか理解していない。
全部当たり前に受け入れている。全部当たり前じゃないのに。
でも俺もオカシイ。夏が好きなんだからさっさとあきに彼女を作ってもらえば良いのに。
「バカに恋愛は早いんじゃないの」
「悪口!!!」
はは、と笑うとあきも笑う。
その姿になぜか安心する自分がいるのは、きっと三人だけでいたいからだ。
夏、あき、俺。誰も入ってきて欲しくないからだ。
でも最近妙にあきからの連絡の返事が遅い。
妙にイライラする。
家族からも不満の声だ。
「千歳ぇ、聞いてえ」
そんな日々を半年くらい過ごして、ある日、半泣きのあきが話しかけてくる。
こいつの全てが、事柄の全てを教えているようなものだから今更なにを聞く必要もないのを、飲み込んで聞く。
「なに?」
「はじめての彼女に振られたあ」
「あー・・・だろうね」
もう至極面倒くさい。
「うん・・・、なんか、刺激がないって」
「はあ?あきに刺激なんかあるわけないじゃん、バカなの?」
「バカはいいすぎじゃない?!?でも、あの、俺、千歳みたいに、うまくできない~、これで振られたならもう一生厳しくない?」
「ああ、セックス?」
「やめてよお!」
一層声を大きくして手に顔を当ててブンブンと揺れている。
身体一杯使って全てを表現してまるで子供みたいだ。
くだらないことだ。童貞だとか、なんとか。
まあでもそういう、場面への度胸を越えたか越えてないかはもしかしたら今後の雰囲気には影響するかもしれない。
あきのそういうあれこれなんて死ぬほどどうでもいい。
適当に返す返事にあきは気づいていないのか、それでもいいのか。
「はは、そのうちできるでしょ、あきにはなんでもしてあげたい系のお姉さんがいいんじゃない?」
「えー、それって千歳みたいなひとじゃん」
「誰がしてあげたい系お姉さんだよ」
思わず笑った。お前俺の事そういう感じで評価してんの?
それをみてあきが俺、何言ってんだろなんて、いって笑う。
ああ、バカだなあ。コイツ。・・・もうずっと俺といたらいいのに。
そうして空白の思考が生まれる。
は?俺、いまなんて?
いや、ないない。思わずセルフ突っ込みを脳内で繰り返した。
あきが不満そうに口をとがらせて俺の目を見る。
「彼女と別れるときにさあ、あきは私より好きな人いるもんねって言われたんだよね」
「ふうん」
「それって、千歳と夏のこと位しか思い浮かばなくって」
「彼女ができたら彼女を優先してあげるもんだよ」
「でもさあ」
「うんうん、おれらといるほうがあきは楽しいもんね~」
「そう!そうなの!」
自分の気持ちを分かってもらえる気持ちを俺は知っている。
それを、いまあきが俺に表現する。
振られた話をしていたというのに、顔が明るくなり、嬉しそうに笑う。
それをみて、言う。
「振られて当然でしょ、諦めな」
「ええ~俺もう彼女できない~」
「できるできる、金持ちだから」
「すぐ金目当てって言わないで!」
はは、また笑う。こいつをバカにしている時間が一番楽しい気がした。
そうして、思う。
俺の事を分かってくれる。夏。夏が一番すきだ。
あの不器用なところも、優しいところも、全部。
でも、一緒にいて楽しいのはもしかしたらあきのほうかもしれないなと一瞬よぎったのを考えないことにした。
俺は夏を好きでいたいから。
でも。
そういう俺の意思を越えてくる可能性があるあきが、俺は嫌いだ。




