バットエンド後の ちとまゆ
モブとかレイプ匂わせてるのでしんどい人は止めといていただければ。
真冬はそういう捌け口でもあったきがするし、って思ったりしたんですよね
犯される手前。
子供だった俺は天井のシミを数えることしかできなかった。
教育のない世界で生まれた自分が、そもそもこれを悪だと判断できる材料がなかった。
ああ、またか。はやく済ませてくれ。と思っていた。
鼻息を荒くした理性を投げ捨てている存在に何を言っても無駄だからだ。
別に俺は人間じゃないから、村の人間からすれば家畜みたいなもの同然でしかないだろうと思っていた。人間として、教育を受けた面達がガタガタと俺を案じて叫んでいたが、手も足もない面にできることはなかったし、俺も諦めていた。
諦めが一番、楽だからだ。
傷ついたことを自覚したら生きづらくなる。でも俺の世界は永遠で、そもそも、こういったことは何度もあった。
男性同士の性行為が不浄扱いされたのなんて近代の事であって、宗教の問題でしかない。
長くいきてきた自分からしてみれば、男性であること、女性であることなんてたいしたことではなかった。
だからあきが女に拘ることにも特になんとも思わなかったし、夏と千歳が男性に思いを寄せる罪悪感も、よく分からなかったしたいしたことではないよ思っていた。
現代にいきる人間と、過去をいきる俺。
感覚が違うのは分かっていたからなにも言わなかったけれど。
あれから千歳は一度、真蛇になったことで山から出られなくなった。
千歳は絶望していたけれど俺は千歳がいてくれて嬉しかった。
だから千歳がこの瞬間を見て、どういう反応をとるかなんて思いもしなかった。
久しぶりだった。
村のやつらがここにきた。
なんであいつらは集団でここにこれるんだろう。
それはよく分からないけど、きっと現代社会ではみんな捨てたいもの、抱えているものがあるのだろう。
それにたぶん、村では受け継がれているんだろう。俺の存在。
女みたいな、孕まない肉袋。
だからこういう展開はいつものことだった。違うのは千歳がいることくらい。
千歳がこの瞬間をみたこと、くらい。
木々がざわめく。面達が騒ぐ。
襖をあけた千歳が酷く驚いた顔をしてから、随分と冷たい顔をした。
「なにしてんの」
三人の村のやつらがなんか言っている。俺は天井のシミから目を離さない。
どうでもいいから。きっと千歳も俺の現状などどうでもいいと思っていると思ったから。
三人は複数人であることも含め強気で千歳にものを言っていた。
千歳がそのまま襖を閉めれば別によかった。
「すぐ終わるから。襖をしめておいて」
三人の村のやつらは俺の言葉を聞いて笑った。
それを千歳が心底不快そうにしていたのには申し訳なく思った。
「今まではそうだったのかもしれないけど」
「普通に不快だから」
そうして千歳があの時みたいにぐにゃりと身体をゆがめる。
蛇みたいな身体、目が蛇みたいに切れ目になって潤む。
俺は形が人間から変わらない。でも千歳は違った。
蛇のように、下半身が鱗に覆われて二股の尾になる。
上半身は変わらないが、明らかに顔の口は裂けて、行く。
支配された憎悪じゃないから口をきける。
怯える人間が俺から離れて逃げようとする。
蛇みたいな千歳は楽しんでいるみたいに笑った。
これじゃあ、千歳が、誰かを傷つける機会を得て喜んでいるみたいだ。
「千歳、大丈夫だから、」俺が声をかけても千歳は笑った。
「こんなやつら生きててどうするの?」
「むやみに人間を殺生したくない」
「こいつらは畜生だけど?」
千歳が舌なめずりをする。ずっと誰かを殺したかったみたいだ。
「戻れなくなるよ」
「もうここしかないから。戻るとこなんてないでしょ」
そうして、驚くほど早い速度で一人かみ殺した。
千歳はあっけなさ過ぎてがっかりしたみたいな顔をした。
村の奴らは悲鳴を上げて逃げだす。
でも千歳はまだ2人も獲物があることに嬉しそうだった。
逃げた一人の身体に巻き付く。
そうしてそいつもあっという間に絞め殺した。
もう一人、俺の事を一番積極的に、手込めにしようとしたやつだ。
「ねえ、真冬になにしようとしたの?」
「な、に、も」
「教えてよ~」
千歳がこいつと殺すのを楽しんでいるのか、俺への怒りなのかは、よく分からなかった。
きっかけは俺への気持ちであったとしても、そこからの千歳は、まるで弱いものを甚振るのを楽しむような姿だった。
でも、俺はそんなことどうでもいい。千歳がしたいように。
千歳が、ここに来て邪悪になってしまったならそれも仕方がないと思ったしきっかけが自分であるだけでも、嬉しい気持ち以外に感じる必要を感じなかった。
俺がずっと、伝えてきた愛が伝わったのかもしれない。
千歳はずっと何かを殺したかったのかもしれない。
「千歳、もういいから、こっちにきてよ」
「はは、こいつ殺さなくていいの?」
「うん、いいよ」
千歳は不服そうにこちらに寄ってくる。
俺に絡む千歳を、そいつは怯えたような目で見ていた。
「化け物・・・!」
そいつの声に千歳が笑う。
「・・・化け物だって」
千歳が悲しそうにいう。
「うん、俺だけね」
俺はいう。
千歳は俺の意図をくんでバカにしたみたいに笑う。
「はは、俺が、でしょ?」
そうして千歳がそいつをじっと見つめる。
「ウケる、こいつは殺したい」
「ダメだよ。」
少し考えたようにして、千歳が妥協策を考えたようにいう。
「確かに、一人生かして帰らせないとね、もう二度とこれないように」
「じゃあ、間違えたな、コイツを先に殺しとくべきだったじゃん」
「千歳、ごめんね」
「なんで真冬が謝るの?」
「俺は嬉しいよ」
「は?」
「でも千歳に、酷い事させた」
「俺がしたいからしたの、ずっと、何かを殺してみたかった。ひく?」
「ひくわけない。ありがとう、千歳」
人間だった千歳が何かを殺したかった。
それは語弊がある。きっと千歳は普通に人が殺したかった訳じゃない。
ただ、生きてきていろんなことを恨んでいた。ぶち壊したいと思っていた。
俺が合理的に何かを殺せる世界に引きづりこんだ。
千歳を人間に戻さないように、ここの世界に俺が慣らした。
でもまあ千歳が俺に危害を加える人間にああいう感情がわくと思わなかったけど。
あの瞬間の千歳の顔、きっと一生忘れない。
「千歳」
「なに」
「ありがとう、怒ってくれて」
「怒ってないし。不快だっただけ」
「でもいいよ、ありがとう、千歳」
ずっと、当たり前に諦めていた世界。
それを彼が壊した。
今日のことで彼は人間の理から外れた。
だからずっと、一緒にいることができる。
そうして、彼を人間の理から外して、嬉しく思う自分がいた。
彼は俺のために心を動かして、手を汚した。
その今日のために。
俺の「幸せ」は始まる気がした。




