バッドエンド後 夏彦×あき 羽咲ちゃん
羽咲ちゃんが書いてくれました!
社会人夏彦×あきです!最高です!!!
誰も、誰も悪くなかった。
千歳も、あきも、真冬も。
ただひとつ分かることは、俺が全て悪いということだ。
千歳が真蛇になった数年前のこと。
そんなことに関わらず月日は流れ、世間はそんなことを知るよしもなく動いている。
気付けば社会人になっていた。
なぁ、千歳。お前は今どうしているんだ。
俺がもっと、千歳と向き合っていたら違ったのかもしれない。
どれだけ悔やんでも仕方が無いと、ひたすら今を生きるしかない事に苦しくなる。
もうあの時みたく三人で、くだらない日々を過ごすことなんて叶わないのだから。
でも、それでも全ては失わなかったことに感謝しないといけない。
今はあきと、二人で。
「夏、おつかれさま」
結局社会人になっても、俺はあきに想いを告げられないでいた。
もうこれ以上失くすのも怖くて、だったらこのままの関係でいるほうが幸せだから。
仕事終わりにあきと街中で合流した。
久しぶりに飲みにいこうという約束で。
本当だったらここに千歳もいるはずだっただろうな、なんて考えながら。
「おつかれ。お前少しやつれた?」
「え!?やだなぁ、まだ20代なのに」
がっくしと肩を落としている。やつれたのは心配だが、素直なあきが可愛い。
今日の仕事はこうだった、最近は~と、談笑しているとあきのスマホが鳴った。
「おつかれさまです!はい、はい。あ!大丈夫ですよ!ありがとうございます!」
ニコニコと受け答えしている。
誰?なんて聞けなかった、聞きたかったけれど俺はあきの恋人なんかじゃない。
介入しすぎは良くないと黙っていた。
電話を切ると、あきから話を続けた。
「会社の先輩からだった、今度打ち上げするから行きたい居酒屋あったら考えておいてってさ~!」
いつもそうだ、相変わらずあきは周りから好かれている。
本人は無自覚だからタチが悪い。
そういうところも好きだけれど、やっぱりイラっとする。
それに、あきから千歳の話はしなくなった。
俺はずっとあの日のことを抱えて日々生きているけれど、あきはどうなんだろう。
「あれ?夏、怒ってる・・・?」
「は?怒ってねぇよ」
「うそ、怒ってる」
「違うって」
「なんで?ちゃんと言ってよ」
泣きそうになるあきの顔を見ると、またやってしまったと後悔する。
あきのことになると余裕がなくなる。
もう、独占してしまいたいのに。
もう、千歳のみたいに失いたくないのに。
「お前は誰でも良いのか」
「なに、それ」
「いや、違う。その…俺はあきが好きって言ったろ、昔。受け入れないならもうそばにいたくないって」
また困らせる。
好きなだけなのに俺は困らせてばかりだ。
そんな顔をさせたい訳じゃないのに。
「ごめん、俺がハッキリしないから。でも夏と一緒にいたいよ、ゆっくり時間重ねてもっと夏のこと知りたいんだ」
「そんなの、わかってる、けど」
失う怖さばかりよぎる。早く自分のものにしないと、千歳の二の舞になるんじゃないかって。
「夏、さ。俺のこと好きなの?」
「好きって伝えてるだろ」
「違うよ…。夏さ、千歳のことばっかり考えてる」
胸がざわついた。あきにそんな風に言われると思わなかった。
「千歳みたいに失ったら、とか思ってるんでしょ?俺は俺だよ。今の夏は、千歳のことばかりだよ」
俺を見て。そう苦しんでもがいていた千歳の姿を思い出す。
また俺は同じことをしているのか?
あの時はあきばかり見ていて、今は千歳のことばかり考えていて。
「夏のことも千歳のことも好きだよ。失いたくないのは俺も同じ。だから大切にしたいのに、夏のこと」
さっきまで強くまっすぐに見つめていたあきの目から涙がこぼれていた。
「ごめん、俺」
「ううん、大好きだよ、夏」
あきから手を繋いできた。
その手は温かいのに、指先だけは冷たかった。




