真田優斗編-決まった覚悟とお預けの餌-
落ちた。
ちょっと待てよ。今そこで落ちるのか?……アニキ、お前ナニ握ってるかわかってるのか?そこ握られたまま寝られるの地獄なんだが?とりあえず、髪…流してやらないとな。そう思うのに、実際は違う方にばかり意識が行ってしまう。
ふわふわが、ふわふわで、もちもちだった。コイツをパンにしてみたいと思った俺は異常だろうか。でも、可愛すぎるから仕方ないだろ?
『輝奈子パン』を発売したら無限に売れ続けるインフィニティ―ヒットになるだろう。ただし、このフワフワ感ともちもち感を再現した、きなこパンでなければ無理だろうな。可愛すぎる。
体を洗っているはずなのに、まだ冷めない熱が立ち上がって来る。バグったパソコンみたいにスタート画面に戻される。実際はスタートではなく起動後の画面だが。
アニキ……お前、いつまでソコを握ってるんだよ。やめろよ。放せよ。輝奈子、お前可愛すぎるだろ。だから、早くその手を放してくれ。せめて別のところを握ってろよ。なんでよりによってソコなんだよ。
でも、男の本音としては握ったままがいい。確かに、「信念の剣を握る」と言った記憶はある。でも、実際に握っているのは輝奈子の方だ。握らせてくれないし、握られて困惑してるし、やはり俺も受けかもしれない。
アニキが「お前、受け」と言った意味が分かってしまった。攻め、受けの受けではなく、攻守の受け側ということかもしれない。アニキ流に言うなら「俺が切り開くから、お前、盾になれ!」っていうやつ。
でも、盾になってくれると信頼してくれるアニキが愛おしくもあり、可愛らしすぎる輝奈子は憎らしくもあり、愛憎入り混じる感情に振り回されながら、やっと体を洗い終わった。
「パソコン再起動、コントロール、オルト、デリート。選挙でイレクション、方角ミスってミスディレクション、ゆぅと……の……ソコ…は…イレクション?」
輝奈子、どんな夢見てんだ。見透かされたような寝言に焦るが、輝奈子は一度寝ると結構長く、深く眠る。ちょっと浅くなっているのかもしれないが、これは、ダメだろ。
ちなみに痛い程、天を向いていた。仕方ないだろ。柔らかい、ふわふわと、すぐ振り払えるはずのやわやわが、俺の前にいるから。
体を拭いてやる。髪が長いから先、髪だろうなと思い、彼女のためにドライヤーをセットしている間に体を拭いた。俺の風呂上りよりも1000倍丁寧に乾かした後、下着を着せる。起きろよ。あと、風呂場で寝るな。危ないだろ。
初めて見た、同年代の異性の肉体がこれなのは一生を背負うしかないと思う。見る前から覚悟は決めていた。だが、これは奇跡すぎるだろ。これを見てしまったら、芸能人のソウイウものですら霞んでしまう。
浮気をするつもりなんてないが、そもそもできない。モテないし、まだ!!童貞だし、貞操コイツに握られてるし、しかも、可愛すぎるし、カワイイし、かわいい。
「肉まん……あちゅ…い……。ふぅふぅ……して」
これはダメだろ。いくらでも、ふうふうしてやるから。だから、俺のこの昂った!!ろうそくを!!!ふうふう!!してくれ!!
ついでに夫婦うもしてくれ。婚姻届の提出は……まだだった。
可愛いものを眺めながら、俺も寝る。
おやすみ。……俺の!!輝奈子……。




