250話 カパラの地へ
子爵領を離れた俺たちは早速シュルラーに向かった。シュルラーは以前と変わっておらず、冒険者で溢れている活気ある街だった。俺たちはルイバディの皆さんを探すために冒険者ギルドに向かった。ギルド内ではたくさんの冒険者が楽しそうに談笑しており良い雰囲気だった。俺たちはそんなギルド内からルイバディの皆さんを探すためにキョロキョロしていた。ギルドの中央から全体的にギルド内を見渡したが、見覚えのある人はおらず、今は出払っているのかと思ったその時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「リフォン!?」
その声の正体はルイバディの女戦士アイリーだった。俺は懐かしい顔に安堵していると、アイリーの後ろからルイバディのリーダー、ティスタと魔法使いのフィーア、弓使いのユナ、タンクのドールが姿を見せた。みんな優しく微笑んでくれており俺は全員に挨拶をした。
「お久しぶりです。あれからどうですか?」
そんな世間話を少ししてから本題に入るために俺たちは腰を下ろして話をした。俺はエクサフォン国が魔神復活をどのぐらいまで情報共有しているのか分からず、リベルにテレパシーで聞くことにした。
(なぁリベル、エクサフォン国って国民に魔神復活のこと伝えてるのか?)
(そりゃもちろん。冒険者にも伝えて戦果を挙げた者にはきちんと報酬を払うことも伝えてるからね)
俺はそれなら魔神のことも話して良いと判断し、カパラの地に向かう理由に付け加えて話すことにした。
「急で悪いんだけど、カパラの地のことについて教えてほしい。危険なのは十分に理解してるけど、魔神と戦うために必要なんだ」
「「「……」」」
ルイバディのみんなは正気を疑うような顔でこちらを見つめた。普通の人からすればワイバーンが群れを成している所に近づくのも到底理解できないだろうに、それに加えて魔神と戦うと言うのだ。正気を疑われても仕方がない。でも、俺が本気なのは伝わったのかアイリーが話を始めた。
「分かったよ話すよ。カパラの地はエクサフォン国から南西に数十キロ進んだ所だよ。そこは森になっててワイバーンが何匹も上空を飛んでるからすぐに分かるはずさ。出回ってる情報はこれぐらいだから他の人に聞いても同じようなことしか出てこないよ」
「ありがとう助かったよ」
俺は早速向かってみようと席を立とうとした時、アイリーが言った。
「死なないでくれよ……」
「死なないよ」
俺はアイリーの言葉に対して安心させるような口調で答えた。俺たちはシュルラーを離れてカパラの地に向かった。道中、カパラの地を探しているルナたちに情報を伝えるためにルナにテレパシーをした。
(ルナ聞こえてるか?)
(はい聞こえております)
(カパラの地はエクサフォン国を南西に数十キロ進んだ森だって。俺たちは今から向かうからそっちも向かい始めてくれ)
(承知致しました)
俺はなるべくルナたちと同じぐらいの時間につけるように早くもなく遅くもないスピードで飛んだ。エクサフォン国を出てしばらく飛んでいると左手からルナたちがやってきた。合流できたことから俺はスピードを上げた。もうしばらく進むと森の上空にワイバーンが何匹も飛んでいる光景が目に入った。あそこだと確信した俺たちは気付かれないように歩いて近づいた。近くから見ると本当にただの森でこんな所でパッターカパラが採れるのかと思っていると人の声が聞こえてきた。
「そっちはどんなもんだ?」
「結構いっぱいっす!」
「それじゃあもう持っていっちまえ」
「分かりました!」
何だか現場職のような雰囲気があるなと思ってさらに声のする方に近づくと、そこには洞窟がありトロッコにシルクのような綺麗な布が沢山入っていた。それがパッターカパラだと確信した。でも、いくつか疑問もあった。なぜ石炭を掘るような施設でシルクのようなパッターカパラを採っているのかやなぜこの人たちはワイバーンから狙われないのかなど沢山あった。俺は何か理由があるはずだと辺りを見渡した。すると、現場を指揮するためにあるような高台に魔神教団にいそうな雰囲気の男がいた。胡散臭いと言うか信用できないような雰囲気のその男のネックレスにはいくつもの魔法石があった。数は八つあり、いい趣味してるなと思っているとリベルが言った。
「あのネックレスの魔法石とワイバーンの数一緒だけど、もしかしてもしかするのかな?」
その言葉に絶対そうだと確信した。でも、その魔法石を破壊してもワイバーンが俺たちを狙う可能性は十分にあるため、まずはあの指揮官らしき男を捕えて尋問することにした。俺たちはバレないように高台の後ろに回り込み風魔法で気付かれないようにした。と言っても、働いている男の人たちから見えなくしただけなので、一瞬にしてこの男がどこかに消えたように思われるだろう。でも、それは大した問題ではないので行動に移した。ユディが男の背後から刀を首元に向けると男は微動だにしなくなった。そして呟いた。
「何の用だ?」
「パッターカパラを奪いに来た。ワイバーンを操っているのはそのネックレスか?」
俺が嘘偽りなく話すと男は答えた。
「そうだ」
「ならワイバーンをここから離れさせろ。そして、ここを俺たちに譲れ。もし抵抗するなら力ずくでも奪う。ワイバーンに俺たちを狙わせても意味はないぞ。犠牲が増えるだけだ」
俺がそう言うと男は悟ったような顔をした。すると、ネックレスが光だしワイバーンはここから離れた。随分と素直だなと思っていると男が言った。
「ここはお前らにやるから俺たちに手は出さないでくれ」
「もちろんだ。ネックレスは置いてここから離れな」
俺がそう言うと男は素直に従った。そして、俺はここで働いている人たちに指示を出した。
「今日から俺たちがここの管理運営をする。ここで働きたくない者は家に帰ってよし。洞窟の中にいる者にも伝えろ」
俺がそう言うと男たちは歓喜した。口々に俺たちに感謝を述べてここから離れた。どんな労働環境だったのかは想像に難くない。俺たちは誰もいなくなったカパラの地でパッターカパラの集めれるだけ集めた。男たちは洞窟の中からパッターカパラを運んできていたので洞窟の中に入ってみると、洞窟の岩肌が全てパッターカパラとなっていた。石のように硬いと言うのは比喩ではなくそのままの意味だった。中には鉋のような道具がありこれでパッターカパラをシルクのように薄くしていたのだ。もっと効率良くできる方法はないかなと考えていると、後ろからユディの声がした。
「これは凄いな……」
俺はユディほどの腕前ならこのパッターカパラを丁度良い大きさに切り出して加工しやすくできるんじゃないかと思い言った。
「ユディってさパッターカパラ斬れる?」
「……やってみよう」
ユディは一瞬何を言っているんだと言いたげな顔をしていたが、俺の思いを汲み取ってくれたのか刀を抜いてくれた。俺たちは邪魔にならないように離れていると、ユディは見事にパッターカパラを正方形に斬り抜いた。その腕前に関心していると地上からルリが言った。
「ねぇリフォン、これどこに持って行くの? カサムラーの屋敷?」
「あぁ……まぁ屋敷で良いでしょ」
俺は特に場所を考えておらず適当に答えた。
「それならテレポート使えるリフォンが運んで。ここのことは私たちがやっとくから」
「分かったー」
俺たちは役割分担をし効率化した。ユディとルナがパッターカパラを斬り抜き、他のみんなが使えるように加工し、俺がテレポートでカサムラーの屋敷まで運ぶというものだ。俺たちはあっという間に凄まじい量のパッターカパラを入手し、テレポートでカサムラーの屋敷に戻った。今日はパッターカパラを持ってくるだけでかなり体力を消費したので後は明日やることにした。
次回もお楽しみに




