249話 子爵領
俺はリベルとジュナの二人だけを連れてエクサフォン国に向かった。この二人だけと空を飛ぶのは久しぶりで何だか懐かしい気持ちになった。テレポートでエクサフォン国に行くのも良かったが、それほど遠くないので三人でゆっくりと飛びながら話をするのも良いなと思って飛んでいる。
「こうやって三人で飛んでると二人が特認実習の頃を思い出すねー」
リベルがそう言うと俺たちはうんうんと肯定した。
「それよりリベル、よくパッターカパラなんて思い出せたな。俺とジュナがルイバディの人たちとの話をしたのは覚えててもおかしくないけど、そんな細かいところまで覚えてるか?」
俺がそう聞くとリベルは言った。
「僕ね、初めて聞く単語だったり魔物のことは簡単にメモしてたんだ。僕たちが攻略したダンジョンのことだったり国の位置関係だったりまとめてるんだ」
俺はリベルがそんなことをしているのは知らず心から感心した。
「後でそのメモ見せてくれない?」
「良いけど……別に面白くないよ」
「良いんだって。俺たちがどんな旅をしてきたのか大まかな道筋は見えるだろうし、こんなことあったなーってなれるじゃん」
俺は本心から思っていることを伝えた。リベルはそこまで言うのならと後で見せてくれることを約束してくれた。ジュナそんな俺たちのやりとりを見て微笑んでいた。しばらく飛んでいるとエクサフォン国が見えてきた。ついでと言っちゃなんだが、子爵領に寄ってウェリルとネリーにポーション作成をしているのか聞こうかとも思った。
「寄りたきゃ寄って良いよ。そんなに急がなくても時間はあるだろうし」
俺の子爵領に寄りたいという気持ちを汲み取ってリベルが言ってくれた。俺はリベルが後押ししてくれたおかげで心置きなく子爵領に寄った。久しぶりの子爵領は特に変わっておらず、早速ウェリルの元に向かった。ウェリルの屋敷に向かうと、そこには騎士団と魔法使いたちが訓練をしていた。ディーノとモーディが各々に指示を出して訓練している様子はどこか懐かしさを感じた。俺たちは少しの間訓練しているみんなを見ていると、騎士団と魔法使いたちの何人かが俺たちに気づいたようでザワザワし始めた。ディーノとモーディは集中しろと怒っていたが、皆が俺たちの方向を見ていたので何があるのかと二人も俺たちの方を向いた。二人とも俺たちに気がつきダッシュで駆け寄ってきた。
「お久しぶりです! お元気そうで何よりです!」
「お久しぶりですね! 本日はどのようなご用件で?!」
二人は熱烈に俺たちを歓迎してくれた。その様子はどこか大型犬のような雰囲気があり頭を撫でてあげたくなった。
「と、とりあえずウェリルに会わせてくれ」
俺がそう言うと二人はすぐにウェリルの元に案内してくれた。ウェリルの部屋に着くとウェリルは書類仕事をしていたのに手からペンを離してしまった。顔を見ると口は半開きで目は見開いていた。俺たちはウェリルの見たこともない顔に笑ってしまった。それから少し雑談をして本題に入った。
「魔神復活の準備は出来てるか?」
「万全とはいきませんが、ぼちぼちと言ったところです……」
「そうか……ちなみにポーションはどうなってる?」
俺は一番気になっていたところに切り込んだ。
「それはもう、一番に作成依頼を出して都度納品してもらっている状態なので大丈夫かと」
俺はひとまず安心した。これで一つも作成されていなかったらどうしようかと思ったが、流石にそんなことはないだろうと思っていたから一安心だ。ウェリルとの話も終え子爵領を去ろうとした時、ウェリルが言った。
「これを持って行ってください」
ウェリルが俺の手に握らせたのは、ワイバーン討伐の報酬としてもらった魔力回復のアイテムだった。まだ、前貰ったやつも使っていないのにこれまで貰っては申し訳ないと言おうとしたが、ウェリルは俺の手をぎゅっと握り縋るようにしていた。魔神に対する恐怖心や死への恐怖がそうさせているのだろう。俺はウェリルを安心させるように力強く答えた。
「ありがとう。頼りにしてる」
俺はウェリルの肩にポンと手を置き言った。ウェリルは小刻みに震えていたが、俺の言葉を聞いて少しマシになった。俺たちはウェリルの屋敷を離れてネリーの元に向かった。ポーション作りで疲労が溜まっているだろうから少しでも労うためだ。
「ネリー?」
店に入って、地下室の扉を開けてネリーがいるかどうか確認した。俺の声を聞いたネリーすぐさま地下室から駆け上がってきた。
「リフォーン」
ネリーは俺に抱きついてきた。きっと、一人でずっとポーションを作っていたから寂しかったのだろう。ネリーの顔を見ると疲れと寝不足から顔色は悪くくまも酷かった。俺はネリーに光魔法を使ってあげた。どうせいつかはバレるだろうし、魔神が復活しそうな今使わないんだったら女神に光魔法を貰った意味がないと思い使った。ネリーは俺の光魔法に驚いたが、これでもっとポーションが作れると感謝を述べポーション作成に戻った。きっとネリーは自分に出来ることはこのぐらいしかないと思って励んでいるのだろう。俺は地下室に行き、ネリーに一言言った。
「休憩も大事だからな」
「ボクがポーションを作ることで前線で戦う皆さんの助けになれるのなら、ボクは休憩を惜しんでポーションを作ります!」
ネリーの素晴らしい心構えに感動した。俺少しでもネリーが健康な状態でポーション作成を出来るように光魔法で健康な状態を維持してあげた。
「それじゃあ頑張って」
「任せてください!」
俺たちは子爵領を離れシュルラーへと向かった。
次回もお楽しみに




