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4 第一の拷問

「コイツも領主の身内だ。やっちまえー!」


「館の地下室につれていけー!」 


 俺様は無抵抗のまま縛られて、歩かされていた。


 魔法武器で戦うこともできたが、被害者の領民相手にそんな気にはなれなかった。


 地下室には牢屋ろうやと拷問部屋があり、俺様は拷問にかけられる。


 ここに拉致された者がいないのが気になったが、それどころではない。



 第一の拷問、石抱き。


 縛られた俺様は、並べられた三角の石の上で正座をさせられる。


 これだけでも痛いが、さらに重い石版が膝の上にのせられた。


「おら、苦しめ!」


「ぐおっ!」


 しかも足でグリグリ踏みつけ、俺様を痛めつけてくる。


 尖った石材が足に食い込み、皮膚は裂けて血が流れる。



「二枚目!」


「ぐわっ!」


 ボキッ、と音がして足の骨が折れる。


 俺様は激痛で狂い死んでもおかしくはなかったが、すぐに痛みが薄れてきた。


 ――これはスキル、痛覚麻痺つうかくまひ


 ダメージを受けたときに発動する自動麻酔だ。


 あの女、スキルを盗り忘れたのか? それとも嫌がらせにワザと残したのか?


 考えても答えは分からないが、どっちにしろ俺様は死ぬだろう。


 これは痛みを忘れさせるだけで、体は壊れたままなのである。


 一定時間内に治さないと、意味のないスキルなのだ。


「三枚目!」


「…………」


 俺様は目を閉じて気絶したふりをする。

 トドメを刺してくれるように願ったが、思い通りにはいかない。


 拷問に疲れて飽きたようで、しばらく放っておかれた。


 そこに領民の一人が拷問部屋にかけこんでくる


「お前ら、いつまでもそんな事をやってると、分け前がなくなるぞ!」


「あっ! そうだった」


「こうしちゃおれん! 宝物庫へ急げー!」


 石を載せられたまま、俺様は一人残された。


 開け放たれた扉の向こうからは、次々と女性の悲鳴が聞こえてくる。


「いやあああああああー! やめてえー!」 


 義弟の女中メイドらが暴行を受けているのだろう。


 やられた分をやり返してるのかもしれないが、こうなると領民らも悪人だ。


 俺様はムカつくが、この状態では何もできずいずれ死ぬだろう、と思っていたら……



「よいしょ!」


 せられていた石版が下ろされて縄も解かれ、拷問から解放される。 


 見れば二人の男女が側にきて、声をかけてくる。


「イキリ様、大丈夫ですか!?」


「ああ、まだ生きてる」


 俺様は指輪からポーションを取りだして飲むと、身体は元通りに治る。


 昔作った万能薬、襟臭……エリクサーである。


「あんがとな、あんたらは?」


「昔、盗賊からイキリ様に助けてもらった兄妹きょうだいです。父母のかたきも討っていただき、その節はありがとうございました」


 兄妹は頭を下げる。俺は昔を思い出す。


「……ああ、そんなこともしたかもな。ぶち殺した奴が大杉て覚えとらん」


「私達は感謝しております。それでは早くお逃げ下さいイキリ様!」


「どうかしたのか?」


「宝物庫で奪い合いが始まって、殺し合いになってます。みんなおかしくなってます!」 


「……そうか、これもあの女の仕業かもな。転移石はあるから一緒に逃げようぜ。こんな所にいたら巻き添えをくらうぞ」


「いえ、家族や知人を捨ててはいけません。イキリ様はお早く!」


「……そうか。だが死ぬなよ」


「はい」


 俺様は転移石を床に投げて、魔方陣を作る。


 最後にもう一度兄妹に礼を言ってから飛び込み、王都に帰還した。

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