6−6−2
和輝が人の形をしたモノ切り裂く一方で、天桜望來と天安院月菜は何事も無かったが様相指し示す。
「ま、大方予想通りってところか」
「うん。要は何も変わらない、と」
「ち、ちょっと待って……」
「もう、何が何だか……」
そんな望來と月菜に声を投げるは、茶髪の女子生徒と金髪の少女で。
聞く者たち頭上に疑問符浮かべる顔へ疑問を返し、何が解らないのかと顔で言い。
「あぁいうのって、敵の都合が悪くなったら生存者の場所を強制的に変えるでしょ?」
「「……そういうもんだっけ?」」
「しかも、そういう時って全員離すのが定石なんだけど」
「何故かあたしら固まってるし、何なら場所すら変わってないし」
「空間がずれたくらいで、さっきと何も変わってないんだよねこれ」
「「―――うんうん、それでそれで?」」
あんたらねぇ……!!
聞く者たちの顔は完全に考えることを放棄していたものだったと、自他共に認める光景そこにあり。
額に血管浮かべて拳を握る望來と月菜だが踵を回すや刀を虚空に放り投げ、大剣取り出しては眼前に佇む半透明の禍々しい骸骨見据え呟いた。
「「あぁ、なるほど」」
「こっちの獲物か」
その瞬間、虚無広がる口開け闇と共に移動始める骸骨を叩き割る。
ウソ……どうやって……
そもそも、あれって物理攻撃通る類?
呆然と呟く金髪の少女に対し、茶髪の少女は諦観の笑み湛えながら平坦な声を吐いていて。
魔力込めりゃ普通に当たるけど?
こいつらは何を言っているんだと、常識でも語るが口調で言葉を紡ぐ。
「この世界はね、意思さえ込めてりゃどんな存在にも対抗できるの」
「剣は意思が乗っているから何もしないで攻撃通るけど、銃とか飛び道具は意外と魔力乗っけるの難しいからすり抜ける印象あるかな」
大剣が真紅に輝いて、割れた骸骨より現る歪な人形たちが塵へと還る。
ほら、こんな感じで
実践求める目で振り返る存在あれど、視線受ける者たち戸惑い隠さず顔合わせ。
「いや……うん、私、魔法とかさっぱりなんだけど」
「大丈夫、あーしも魔法なんてさっぱりだから☆」
明るく笑い飛ばす金髪に、声にも成らぬ息漏れた。
あんた、魔法少女って言ってなかったっけ?
僅かな時置き発言の釈明求めど対する少女の晴れやかな、満面の笑みが逆に不気味であったを態度で語る者揃い。
「あーし魔法少女だけどさ、そんなもん杖のひと振りで解決するタイプだから正直魔力とか魔法とかさっぱりなん……何その表情!? 『こいつ使えねー』とか雑魚みる目は止めてくんない!?」
「事実でしょ」
「うぐ……見てろよ! エクスカリバー!!」
口開いて僅かな時置き集まる見下す視線に涙を貯める、涙声で吐き捨てた魔法少女が取り出すは、太い棘のついた物々しく巨大な棍棒で。
困惑混じる強張った声が響くと同時、少女は再生始める巨大な骸骨へと向け棍棒を力の限り振り下ろし。
「死ねえぇぇぇ!!!」
骸骨の頭部に穴が空くを見ず飛び退いて、空洞より覗く闇へと炎線突き刺して。
魔法……少女……?
響く断末魔を聞き呆然と呟く茶髪の声に振り返り、弾けんばかりの笑みを浮かべて得意げな声を響かせた。
「どう? 凄いでしょ!」
「…………ごめん、筋肉少女にしか見えないよ」
「うわあぁぁぁんんんん!!!」
微妙な笑顔を受ける者、心臓が抉られたかのような痛みを覚えたと後に泣く。
そんな少女に追い打ちかける顔あれど、慰める者なき状態が暫し続いてからのこと。
「こっちはやることなくなったし……」
「戻ろうか」
飽きたと態度で語る支配者たちが、手を打ち鳴らしたときのことだった。
校舎を大きく揺らす爆発音が鳴り響き、乾いた声が重なった。
――――――――――――――――――――――――
廃校が揺れると同時期の、全員が同じにして別々の空間に飛ばされた天界勢たちは。
「何だったんですかね?」
「さぁ? 嫌がらせじゃないですか?」
「そろそろ悪餓鬼の手も尽きてきた頃よの」
さも当然が如く次元を移動し集まって、何事もなかったが様相で顔を突き合わせていた。
そんな中、得意げに不敵な笑みを浮かべるラファエルは腕を組み。
「ふっふっふ……!! 皆さんこの超絶可愛くて有能なラファエルちゃんに感謝してください!!」
「「何故?」」
「うぐっ……真顔やめて……」
秒も置かず突き刺さる感情のない声に、胸を抑え膝を就く。
泣き真似しながら僅かに顔上げる桃髪の肩に優しく手を置いた、慈愛に満ちた微笑み浮かぶウリエルは、聞く者曰く優しさを塗った槍で魂を突き刺した。
「でもなぁ、ラファエル……お前、記憶ってあるか?」
「は……っあぁぁぁっっ!!?? 脳筋なはずのウリエル先輩が精神攻撃!!!!??? 今日って世界の終焉でしたっけ!!!!!?????」
「おうこらラファエル、話があるなら拳で聞こうじゃないか」
涙目で叫ぶ大天使の胸ぐら掴む、凶悪な笑顔浮かべた紅髪の大天使が拳を握る。
指の関節鳴らせど臆せぬ者の罵詈雑言に挙動止まるは一方で、推移眺める者たち息を吐き。
「せやなぁ、ラファエル言うたらスラオシャの次に色々やらかしとるもんなぁ……」
「アンドロメダ様に言われたくありませんが!?」
「当然の評価」
「ま、まぁラファエルさんですし……」
「―――ちっくしよおぉぉぉぉ!!! わざわざみんなの空間座標ずらされないように頑張って妨害したのにいぃぃぃぃ!!」
小声重ねて聞く者の響かす絶叫に、飛鳥姫巫女命を除いた誰もが首傾げ。
ウリエル殴り飛ばして慟哭する様と、不思議な生物でも見るが顔で対峙して。
まぁ、それは置いといてだな
ミカエル先輩!!??
ふと気づいたかのような顔をする、何もかもを捨て置くミカエルが声投げた。
「色々聞きたいことはあるが―――あの悪魔級の怪物が、実は存在しないってのはどういうことだ?」
纏う雰囲気は終わらぬ業務にでも赴くかのようで、様相は戦後処理でもするかのようとの感想集めるミカエルに、さめざめと泣くしかなかったと語る者があり。
……はぁ。 分かりましたよ、言えばいいんでしょ言えば
暫し経ってからのこと、ラファエルが不貞腐れを全身で語りながら吐き捨てる。
もう、本当にしょうがないんだから。
微かな笑み浮かべる静かに声吐いた、サキエルは吐いた以上に息を吸い。
「…………ラファエル可愛い宇宙いち!」
「ラファエル有能ー 尊敬するー」
響かす声に納得の表情浮かべたクリューネルの間延びした声を契機とし、理解したと顔で言う天界勢が、口々にラファエル褒め讃える言葉を感情の籠もらぬ声で出す。
そ、そんなんで私を……
称賛の言葉と共に頭上に伸びた一房の髪振り喜び隠しきれぬ声漏らす、その様子にもう一息と視線飛び交って。
邪悪と評されし笑みを浮かべた天照が近づくと、肩に手を置き聖母が如く慈愛に満ちた声を響かせた。
ラファエル。貴女が実は凄い人だってこと、みんな知っていますよ
陥落するまで微塵の時も経過せず、輝くほど明るい喜びに満ちた表情向くまで秒もなく。
「え、えへへー! 実はですね……!!」
「「へっ、扱いやす」」
嬉しそうに語るラファエルを見て、飛鳥姫巫女命を除いた誰もが邪悪な笑みを浮かべて呟いた。
ん? 何か言いました?
何も?
無邪気に言葉を紡ぐ桃髪の大天使に、即興の笑顔を揃えた者たちそう告げて。
ほんに、ようやるのう……
呆れと感嘆の声混じった静かな声を吐く、飛鳥姫巫女命は開いた距離を静かに詰める。
「実はですね! あの幽霊……忌み子という設定だったんですよ!!」
「設定?」
「詳しいことは、本人煽りながらにしましょうか!!」
「お、おいラファエル……?」
対して満面の笑み浮かぶ者、困惑するミカエルを引き摺り和輝のいる世界へと転移する。
顔を見合わす他の者たちも転移したのは数拍後、世界を包む眩い光に強張った声を響かせた。




