6−5−6 【Side】天桜望來&天安院月菜
時は暫し前まで遡り、破壊痕目立つ建物の屋上でのことだった。
ねぇ、ルナ
何、ミク
そこには剣を握る二人の少女と、呆然と地に座る金髪の少女が佇んでいた。
そろそろ、この悪趣味な世界壊さない?
張り詰めた空気の中で長い黒髪を靡かす天安院月菜は、振り向くことなく刀を自身の脇から突き刺して。
同感。製作者しばき倒して地獄の苦しみの中で殺したい
肩より少し先まで伸びた黒髪揺らす、天桜望來も刀を手にした腕を薙ぎ。
「「いつまで地面転がってるつもり? 死にたいなら今すぐ勝手に死んでくれない?」」
低く冷徹な声を響かせ背を合わせ、剣の切っ先を同じ場所に向け吐き捨てた。
「「これ、あなたの管轄でしょう」」
それと同時に空間歪んで濡れた漆黒の髪が全身覆う、血痕により鈍紅に染まる服着た少女が鋏を手に薄ら笑う。
「討魔士も一応討伐できるけども」
「本来、これってあなた達の仕事だよね?」
凄惨で残酷な笑みで対する望來と月菜は満面の笑み浮かべ、蔑む瞳を暗く光らせながら低く妖艶に囁いた。
「「さぁ、魔女狩りを始めよう」」
剣を勢いよく振り下ろした瞬間に、数多の銃が現れ並び火を吹き怪異の体を無数に穿つ。
ぃぇ……?
蚊の鳴く如き微かに揺れる声が響いたと同時、その体は粉となり。
………アアァァァァァッッッッ!!!
叫び声の出力反映される頃、影が広がり闇より人形起き上がる。
下がって! これ、本体じゃない!!
嗤う少女の跳躍と叫び声が重なって、間を置くことなく少女も影も弾け飛び。
呪い? ううん、もっと暗くて重いの……
重い声を響かせながら立ち上がる、魔法少女の瞳より彩が消え。
「ねぇ、あなた達……討魔士って言ったよね……?」
「えぇ、まぁ……そうだけど……」
沈痛な面持ちで紡がる声に望來と月菜は互いの顔へ視線遣り、戸惑った声紡ぎながら蠢く怪異を蹴り飛ばし。
なら、知ってる? 魔女と怪異がくっついたもの
重々しい声音で続く声聞くや、苦々しげに吐き捨てた。
「「えぇ、知ってる」」
「それって……」
「「意味不明なくらい面倒くさい」」
「えと……倒し方は……」
「検討は付いているんでしょう?」
強張った顔を動かすことなく怯えた視線向ける金髪へ、言い終わるを待たずに冷徹な声が突き刺さる。
押し黙る姿を見て残酷な笑み浮かぶ、望來には暴力と死の衣が見えたと語られる。
核。あの薄気味悪くて悪趣味な廃校に戻るの
自虐的かつ投げやりな響きを持つその声に、聞く者は震える足を引き。
「でも、あそこには何も……」
「「次元をずらしたことはあった?」」
予兆なく眼前に現る二つの顔に、体の中心線より液体を撒き散らしながら気絶した。
うっわ、汚ね
液体物の真上に落ちる顔を見て、呆れ隠さず吐き捨てる声が重なって。
「「気絶したくらいで待ってやるとでも思ったか?」」
「―――ぎゃああぁぁぁぁっっっ!!!」
「「お前、人間としての尊厳ないの?」」
手に雷電を纏わせ振り放ち、跳ね起きる者へ奇妙な物でも見るが視線を突き刺しながら平坦な声を響かせる。
「てめぇらにこそ人の心あるのか聞きたいね!!」
「「黙れ豚畜生」」
「じゃあお前らは狐畜生かこの悪魔ども!」
「「安心して、和輝はもっと鬼畜だから」」
泣き叫び喚く少女だが、そんなことなぞ関係なしに腹を力の限り踏みつけ囁く者がいて。
は……?
冷淡で残酷な、嘲笑うかのような声に呆然と息を吐く、踏まれる者の顔には恐怖の感情しかあらず。
「さて、向こうもお迎えの準備できたみたいだし」
「神殺し、始めようか!」
「「あ、臭いから近づかないでね」」
軽快な声投げる二人の様子に宇宙を眺め数拍後、意識取り戻すや太く低い絶叫を響かせた。
……ド畜生があぁぁっっ!!
そんな魂の叫びへ微塵の興味も向けぬ者たち消失し、頭抱える金髪の少女引き連れ全く異なる場所に現れた。
廃校の中にある、理科室へと。
「やっぱり、誰かがもう暴れてるみたいだね」
「うん、じゃなけりゃ結界で弾かれてたはずだし」
床の感触を確かめながら周り見回す望來と月菜はそう言うと、大きく息を吸ってはまた吐いて。
やりますか
重い声が静かに重なるや望來はその瞳を深蒼に、月菜はその瞳を深紅に輝かせて腕を振る。
それと同時に望來は鮮やかな紅輝く装束を、月菜は深い蒼輝く装束を身に纏い。
何を言わず虚空より刀を取り出し抜刀し、虚を突き空間に穴を開け。
「「行くぞ、変態」」
「いや、ちょ……あんたらのせいでしょが……」
涙堪えながら少し離れた位置保つ、微かに呟く金髪の少女と空間に開けた穴潜り。
「「何これ?」」
壁を抜けて廊下を歩き、氏原と呼ばれた少年の死体に目を留め息を飲む。
動かす視線の先にある、死骸の奥に残骸晒す、闇より暗くただただ昏い漆黒の珠を見て息漏らす。
「「何これ?」」
疲れたように吐き捨てる望來と月菜だが答え求める響きなく、黒い珠を手に取る月菜が放り投げ。
「「おいお漏らし女、とりあえずこれ持っとけ」」
振り返ることなく追従者に投げつけて、呆然とする様を捨て置き歩を進め。
「「「アハ……ハハハハハ!! 全部纏めて消し飛ばしてやるよ!!」」」
辿り着いた目的地で和輝とスラオシャと幽霊が、三つ巴の殺し合いを始めている現場に目を剥いて。
は?
そんな声が重なり響いたのは、暫し経ってからのことだった。
私、何やってるんだろ
中心地付近では遠い目を虚空に向けて虚ろな声を吐く、事態の推移に連れ回され続ける茶髪の少女がいた。




