表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽元日記  作者: サツマイモ
スポーツの先駆者―――水瓶丹香編
22/99

21日目:安心安定の人刀っ!

「そこに一人の少女がいた。

「非常にちっこくて、可愛かったなあ。

「彼女は、俺たちにこう言った。こんなことをするんだったら、初めから私のスポーツに参加しないでと」


「カチンと来たさ。俺たちは正々堂々やってきた。そして、この試合だってそうだ。変わらない。審判にだって、ちゃんと抗議した。なのに、彼女には届かない。結局、そういうことだ。真面目にやっても意味がない。俺たちは、大人にならなきゃいけなかった。

「でも、その時はまだ子供だった。

「撃ち殺したさ。そいつの兄貴を」


平然と、淡々と、こいつは言った。

悪びれもせず、謝りもせず、普通に。

その姿は、鬼と呼ばれるべき態度だった。


「どうして?その子に、罪は無かったんだろ?」

焦りと恐怖で声が上ずる。

こちらの状況も知らず、彼は簡単に言った。


「だって、肉親が死んだら、誰でも黙るだろ?」

「……いや、でも、そんなのって」

「だから俺たちは子供だったんだよ。カッとなったら何するか分からない、子供だったんだよ。大人しいって、大人って書くけど、つまりはそういうことなのかもしれないな。大人と言うのは、つまり静かであり、冷たく、客観的に見ることができ、目をつむることができる人。ってことなんだろうな」

一生、俺にはなれねえや。成れねえし、馴れねえし、慣れねえだろうな。


こいつは、後ろを向き、後方の仲間へこっちへ来いと合図した。

端的に言うと、こいつと同じような体躯の奴が、5人集まってきた。

雰囲気は、完全にあちらに分がある状態だ。


「可愛い姉ちゃんじゃあありませんか」

「ほう、いい娘じゃねえか」

「可愛いねえ、可愛いねえ、可愛いですねえ」

「おやおやおや、可愛いのう」

「You are so very cute!!カワイイネエ!」

どうする気だろうか。


「勿論、決まっているだろう。せっかくのご褒美だぜ、色々と使わせてもらうよ」

「……あたしは別に、美味しくないぞ?」

「女性ってだけで、美味いんだよ」


『囲む彼らのまなざし強く、彼らの笑顔は狂気そのもの。

勝てる気なんて起こりもしない、闇の中。

奇跡を起こすは、一本の刀。

人刀、『笹指冴枝』。いざ、参らん!』


あたしの声では全くない。ただ、あたしたち以外に人がいないのもまた事実だ。

ともすると、本当かどうか怪しいものだが、消去法から言って、刀しかないだろう。


柳生一花、もしかして死んでいないのか?


「行くぞ、おめえら!」

「よっしゃあ!」

「ひ、人刀っ!『笹指冴枝』っ!」


袋から取り出した瞬間、刀は際限なく伸び、そして枝分かれし、それぞれの大男に巻き付いた。刃はそのままで締め付け、体は真っ二つに切り裂かれた。

そして、残ったのは最初の一人のみ。

刀はすぐに戻り、そして最初の一人に向いた。


「な、何なんだ、それは⁈刀じゃねえぞ!」

「刀じゃないんだよな、これ。あたしもあんまり使ったことないんだけど」


あたしは、冷静さを取り戻した。

まあ、でも、冷静さよりも、驚きの方が勝っているんだけどね。

慣れねえんだよ、これ。慣れないし、馴れないし、狎れない。


「あ、早く逃げないと、同じようになっちゃうよ?お前みたいに鬼じゃないから、家族はさすがに殺らねえけども」

「お、覚えて」

遅かった。早く逃げればよかったのに。


後ろを向いたその瞬間、背中のちょうどど真ん中にこの刀が刺さり、刀自ら首の方へと上がっていき、斬りきった。


「ふう。じゃあ、この先にあの球体が、あるってことかな」

こいつがあれば、問題はない。


そんな気がする、刀だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ