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陽元日記  作者: サツマイモ
スポーツの先駆者―――水瓶丹香編
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23/99

22日目:ネタばらし

確かに、ここまでの流れとして、めちゃめちゃ順調に行ってんなあとは思った。「順調すぎて逆に怖い」なんてよく言われるが、正直なところ、順調に行っているときなんてそんなことは全く思わない。むしろ、「あれ、もしかしてあたしってラッキーガール⁈」と思っている。今回だってそうだ。あれほど長期戦になると予想して、食料についてあれこれ考えていたのに、もうクエスト達成まであと少しと言うところまで来ている。


「油断は禁物」というのは、あたしに言わせてみれば、ありがた迷惑な助言にしか聞こえない。無駄な箴言とも思う。


だって、物事って、そうなるほかないし。

自分が何を考えようと、最終的には同じ局面に立つ。

だから、この旅も、最終的には元に戻すことになるのだ。

歴史を変えるなんてことは無いし、世界を動かすなんてこともない。

と考えても、もしかすると歴史はひょいっと変わるかもしれないし、コロッと世界が動くこともある。

それが、人の油断とかで決まるわけがない。


そんな簡単に決められるんだったら、皆こんなに苦労しないでしょ。


「はてさて、この道で合ってんのかなあ」

夜であることで、すこし気分が高揚しているのか、心臓がバクバク波打っていた。

ただもう一つ、嫌な予感がしていたというのもあるが。


あ、ここでもう一つ、最終決戦を前に行っておきたいことがあるんだけど。


ある事象―――まあ、誰かを苛めたとか、大学を志望したとか、別に何でもいいんだけども―――にまつわる根拠って、どうして一つじゃなきゃいけないんだろうな。

世界情勢とか見ればわかるのに。別に、戦争を起こした理由が一つじゃないってことくらいは。だから、そこにはまっとうな理由もあるだろうし、不純な動機もあるだろうし、頓珍漢な根拠もあるだろうし、それらすべてを総合してその事象を行うって決めたわけなんだから、それを一言で答えろって言われてもなあ。


つまり、何が言いたいかって言うと、物事と言うのは、色々なものが総合して形成されているわけだ。

もっと言うと、だからこそ一方の目線だけで見ちゃいけないということだ。

それに気づいたのは、今この時だ。


夜でも晴天だったことで、煌びやかに光る星々が、天空を覆う。

暗闇の中にも光があり、街が見え、小屋が見え。

小屋の中には、凄惨に笑う5歳児が、今にも折れそうな机の上に座っていた。


左手に、球を持ち、右手は親指を立てて、人差し指をあたしの方へ向けていた。


「っバーンッ!」

満面の笑みを浮かべ、こちらを見つめる。

瞳は完全に悪戯を成功させた子供の様であり、悪魔の様であった。


「お疲れ様ですっ!そんな感じじゃあ、4,5人は殺しましたかねっ?」

足をブランブランと動かし、楽しそうに話す彼女ではあったが、発せられている言葉は、その真逆を行っている。まさかの言葉である。


「……たんか、水瓶丹香。どういうことだ?」

憤りと驚きと戦きで訳が分からなくなったこの現状を、彼女にぶつけた。

「…うーん。そうですね。全部嘘なんですよ」

「……は?」

「だって、あなた覚えてないんですもの」

「……へ?」

「ずうっと、思い出してほしくて、ずうっと待っていたのに」

「ちょっと待って、最初から説明して?」

憤りはすうっと冷めていった。


その分だけ、困惑が増した。混乱とも言っていい。


「でーすーかーら、あのおっさんから始まって、北の鬼とか、あと老紳士とか、それからかの事件とか、その辺はぜーんぶ嘘なんですってっ!」

「……嘘?」

「まさか、本当に殺してしまうとは予想外でしたけど、まあ彼らは犯罪者なんで、汚れ仕事に回ってもらいましたけど。

「あ、もうちょっと考えてもらって構いませんよ?」


お言葉に甘えて、夜空の下、10分ほど思考した。


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