ドッチにしろ逃げられなかったんだぜ
「あぁ...まぁソレは構わねぇが、俺とお前さんがこれからヨロシクする事はねぇんじゃねぇか?」
ネメリアと名乗った赤髪の女性が頭を下げてきた。ギルド職員にしては何処か気品のある物腰の彼女を見ながら、俺が疑問を投げかけると
「今はそうでも、行く行くは関わる事になるでしょう」
「ゲビックよ、今日コヤツらに会った事は他言するでないぞ」
ネメリアと呼ばれた女性は更に謎めいた事を言い出し、大将に至っては喋るなと言うじゃねぇか。
「ソレは嬢ちゃんやマルヴェラにもって事ですかい?」「そうじゃ」
「忘れ物してなくてもアナタには告げる予定だったから安心してね」
しかも改めて確認すると、大将よりも奥様の方が恐い事を言い出した。
「ソレを聞いて安心出来る奴ぁ居ねぇですぜ」「うふふ♪」
相変わらず優しそうで何処か抜け目のない女性だと思っていたら
「まぁ今日会えたのは丁度良かったんじゃねぇですかい?」
「ソレもそうじゃの。ゲビックよ、コヤツらの案内は儂らがするから、お主に設備の説明を頼んでも良いかのう?」
ベンの言った一言で、俺の休みが無くなっちまったんだぜ。だがまぁ
「さっき奥様が言ってましたがココを秘密裏に見学しようと思ったら、どちらにしろ皆が居ない日を選ばなきゃならねぇ。だがそんな日はそうそう無ぇですぜ?」
俺が従業員全てが居ない日なんて滅多に無い事を告げると
「ソレは後日お主だけ呼び出して、アレで解説してもらう予定じゃったからの」
大将はまだ試作段階のアレを指差して、笑い出しやがったんだぜ。
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